小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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ジェイド・グッディ、亡くなる

 末期がんで死期が近いと言われていた女性タレント、ジェイド・グッディが22日、亡くなった。27歳だった。日本でも注目されていたようだが、どのような印象を持たれているのだろうか?

 グッディのことをまとめたものとしては、「英国ニュースダイジェスト」の3月12日号のウイークリーアイ・コラムがある。サイトから、電子ブックでこの号を選ぶと5頁めにある。

 グッディが著名になったのはドキュメンタリー番組「ビッグブラザー」に2002年出たのがきっかけだ。上のコラムによれば、「驚くほどの一般的教養の欠如を露呈し…他の出演者と口げんかをしたり、酔っ払って裸になるなどの行為で、タブロイド紙から嘲笑と憎悪の対象」として書きたてられたそうである。

 私が彼女の存在に気づいたのは2007年の「セレブレティー・ビッグ・ブラザー」という番組で(有名人などの数人が共同生活を送る様子をカメラが追う)、インド人女優のシェルバ・シェティーに人種差別とも受け取れかねない発言をして、大きなニュースとなった時だった。他の番組参加者とともに、シェティーに罵声を浴びせる様子がニュース番組で何度も繰り返して放映された。見るのがつらい感じがした。

 コラムによれば、グッディは「特に芸才はないが、『ビッグ・ブラザー』同様のいわゆる『リアリティーTV』と呼ばれるテレビ番組に出演したり、自身の名を冠した香水や自伝などを発表するかたわら、芸能雑誌に自分の生活について語り」、彼女は有名人であることで有名な人物になっていった。

 また、BBCによれば、多くの人にとっては、グッディは「知的レベルの低い英国、テレビ出演で自分でも認めた無恥、悪い言葉づかい、いじめ」の象徴だったが、「自分の名声から財をなし、勇敢な笑顔で病気と闘った素晴らしい女性」と見る人もいる、という。

 がんにかかって余命いくばくもないことを知ったのは、昨年、インド版「ビッグ・ブラザー」に出演している時だった。それからは自分の闘病の様子を描くドキュメンタリー番組に出演し、今年に入ってボーイフレンドと結婚した時は、結婚式の独占報道権を芸能雑誌「OK」に、独占放映権をデジタルチャンネルのリビングTVにそれぞれ巨額で売って、またまた注目(批判も)を集めた。グッディには二人の子供がいる。父親はテレビ司会者。2005年、麻薬の過剰摂取で実父が死亡している。

 グッディのPRは超有名人のPR管理で著名なマックス・クリフォードが担当している。これだけでもう、すごいなーと私は思っていた。ここまで来ると、かわいそうにもなってくる。

  人の死まで娯楽にしているという批判が出るもの避けられなかった。がんにかかっても黙って死んで行く人もいるのだし、「利用して大金をもうける」のはどうか、という声も出た(コラムより)。

 ・・そういう人が亡くなったのである。子供たちの将来のために、なるべくたくさんのお金を稼ぎたいとグッディは生前語っていた。すごい人生だったが、子供たちが幸せな人生を送れることを祈りたい。

 また、グッディのおかげで、子宮がん予防のためのテストを受ける女性たちが増えたそうである。

以下参考記事

http://www.news-digest.co.uk/news/index.php
http://news.bbc.co.uk/1/hi/entertainment/7957852.stm
http://news.bbc.co.uk/1/hi/entertainment/7928596.stm
by polimediauk | 2009-03-23 07:15 | 英国事情