「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」、ガーディアン、あせる労働党
テレビ画面には大きくルパート・マードックの顔写真が出た。マードックは米ニューズコープのトップだが、ニューズオブザワールド紙はその傘下にある・・・。
驚いたニュースだったが、あれ?と思って見ていた。というのも、盗聴なり、他の違法(すれすれ)の手を使うのはニューズオブザワールドだけではない。また、ガーディアン自体もぎりぎりの手を使っていたはずで、そのくだりはガーディアンのジャーナリスト(今はフリーの)ニック・デービーズが書いた「フラットアースニューズ」に書かれていた。ガーディアンも偉そうなことを言うなあ・・・と思って見ていたら、何とそのデービーズが画面に出て、インタビューに答えている!何だか紙芝居的というか、裏がありそうだな・・と思った。
今朝、ガーディアンを買うと、1面トップがこの記事である。そして、その記事を書いたのはデービーズ記者だった。にっこりして、いかにも「格好いいジャーナリスト」のような顔写真付きである。2年前の話なのに、何故今これが出てきたのだろう?つまりは、テレグラフの議員と金問題のスクープの向こうをはったということなのか?それにしても、「古いネタを掘ってみました」というのがアリアリだった。つまるところ、労働党時代からブラウン首相の側近だったマクブライドが、右派ブロガーやテレグラフなど他紙のスクープで官邸の職を辞めざるを得なくなった事件が4月にあったけれど(2,3日前にこのブログにも載せたけれど)、そういうことが裏にあるのかなと思った。保守党のイメージを何とか悪くしたいというのがアリアリである。
何だか露骨な話だなあと思っていたら、「2年前の事件の時に、すべて情報は出尽くしており、今回、新しい情報はない。また、政治家などを盗聴していた証拠はない」ということを、ロンドン警視庁が発表し、警察の捜査には至らないことが分った。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/8143120.stm
そこで右派ブログ「ガイ・フォークス」を読むと、ガーディアン記事が出る前の夜、ブレア元首相の片腕だったアラステア・キャンベル元官邸戦略局長から電話があって、「マクブライドの敵をとる」と言ったそうだ。何せ「うわさ」を扱うブログであるから、100%は信用できないかもしれないが、おもしろい。
http://order-order.com/2009/07/09/coulson-coulson-coulson/
BBCの政治記者ニック・ロビンソンのブログを読むと、「保守党に損害を与えようとした」、「政治的」な目的を持つ動きが引き起こした・・・という箇所があった。キャンベルがやった、とは書いていないけれども。
キャンベルがやったと「もし」すれば、何だかあまりにもお粗末だったなあと思うけれども、そのお粗末さが彼らしいのかもしれない(分りすぎるという意味で)。
・・・というのは、あくまでも1つの仮説である。
それにしても、いやだなと思うのは、ガーディアンがいかにも「自分は全くのシロ」というスタンスでこういうトピックを扱うことだ。(100%シロのメディア、人間はいないと思う。)もっと正直であってくれれば、もっと好きになれるのに。
BBCラジオ4の夜10時からのニュースの中で、ジョン・ロイド(ロイターがやっているジャーナリズム学校にいる)が、「この際、(業界全体を)きれいにするべき」と言っていた。同感である。(でも違法ぎりぎりの手を使うという習慣はなくならないと思うけれど・・・。)