小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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ますますサイト有料化の話

 米ニューズ社のルパート・マードック氏が社の業績発表の場で、傘下にある新聞サイトの有料化推進の発言をした。FTのバーバー編集長に続き、有料化へ一歩舵を切るような動きが出てきている。前に、マードック氏はウオールストリートジャーナルを発行するダウジョーンズ社を買収したとき、有料購読制を持つWSJを無料にするかも、と発言したことがあった。ずい分と変わったものだ。

http://news.bbc.co.uk/1/hi/business/8186701.stm

 もう1つ、おもしろいのは、少し前に発表された、ニューズグループの中にあるが、衛星放送BSKYB(有料契約者が顧客)の業績だ。6月決算で、前年度は損失を出したのに、今回は利益が出た。そして、契約者数も40数万人増えて、900万人となった。

http://news.bbc.co.uk/1/hi/business/8175898.stm

 不況で家でテレビを見える人が増えたからではないか、という見方があるようだ。BBCラジオを聞いていたら、あるアナリストの発言で、何でも、BSKYBの総収入の中で、広告に頼るものが7%だけという。このアナリストの見方は、「広告費に頼らない経営体制で成功した」という。FTも前から広告だけに頼らないモデルを作りたい、と言っていた。

 こうした考えの反論は、FTやWSJなどの経済紙は専門紙だから有料化ができるのであって、一般紙は無理というものだが、FTのバーバー氏などは一個一個の記事に課金する方式や、分野の専門化(スポーツやエンタテインメントなど、しかしこれに限らない)で、課金が可能、という見方をしている。

 前に朝日GOBEに書いた、BBCに関する原稿がサイトで読めるようになった。

 http://globe.asahi.com/mediawatch/090727/01_01.html

 他の方の記事も含め、このサイトに載ったものは半永久的に掲載されている。今のところ、無料提供。これもまた新しいやり方だが、例えば先のバーバー氏の考えで行けば、こうしたものを有料化する、ということになるのかな?とちらっと思った。
by polimediauk | 2009-08-06 22:44 | 新聞業界