小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


by polimediauk

マーガレット・アトウッドはツイッターを「妖精の世界」と呼ぶ

 最近、自分はネットの世界ではどこに存在しているのだろう?と考える。紙媒体に原稿を書いても、それが雑誌などになって書店に並ぶまでには時間がかかり、また、その雑誌がたまたまその書店にない時は、読む人(+潜在的読者)から「見えない」、つまり存在しないことになる。

 紙媒体に掲載された記事は場合によっては後でネットに載る場合があり、そうすると、広く公開されたことになる。ただし、それが読み手の目にとまれば、だけれど。

 いろいろ考えると、自分が今いる世界はツイッターなのだと思う。ツイッターで情報を取り、おすすめのサイトに行って誰かの情報や考え方を知り、面白いと思ったものはつぶやき返したり、フォロワーになったりする。その世界の中で知ることがあまりにも多くて、考えてみれば驚くほどである。自分がフォローしているのはせいぜい100-150なのに、である。

 人によってツイッターの意味合いは変わるのだろうけれど、例えばニュースに関心がある人は、何せ「(ほぼ)みんながこの世界にいる」ので、とりあえずは覗いてみたくなる。その「みんな」というのは数的な「みんな」でなくて、「気になるやつみんな、大多数」の意味だ。

そんなわけで、私のツイッターアドレスは以下
英語語 @ginkotweet
日本語 @newsmagjapan

 英語は(前にも書いたが)以前、時事通信(元)の湯川さんが「英語のツイッターで英語をお互いに勉強しよう」というプロジェクトをブログで書かれたことがあった。いい考えだ!と思って英語でやることにした。今は英国に住んでいるので、英国の言語空間の中で怒り、悲しみ、笑い、共感しあう・・・ということをやるのに、ぴったりと思っている。

 日英ともに、主にニュース、メディア関係者をフォローしている。朝日新聞のつぶやきが非常に素直で楽しい。

 カナダの小説家でマーガレット・アトウッドという人がいる。(残念ながら私は彼女の小説を読んだことがないのだけれど。)ガーディアンに彼女がコラムを書いていて、その中でツイッター体験を書いている。

http://www.guardian.co.uk/commentisfree/cifamerica/2010/apr/07/love-twitter-hooked-fairies-garden

 彼女によれば、フォロワーたちは、「庭にいる妖精たち」のようだという。普段は目につかないのだけれど、庭に目をやると「いる」という意味だろうか。ツイッターは「コミュニケーションだ」と。人間が好んで行ってきた行為の1つだ、と。

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・・・と、ここで終わればきれいな結末になるのだろうが、ちょっと!!の記事を一つ。

ダイヤモンド・オンライン
NHKスペシャル『無縁社会』 大反響の“その後”を追う

http://diamond.jp/articles/-/7838

 これを読むと、書き手はツイッターをやっていないし、やろうともしていなんだろうなと思う。日本で「マスゴミ」という言葉が一時はやって、私はこれに同意しないけれど、こんな「上から目線」ではなあ、と非常にがっくり。ツイッター=若い世代・・・ではもはやないし。

 ツイッター、それにネットを日常的に使っていない人はたくさんいると思うし、人はいろいろで、何をしようとよいのだろうけれど(違法、犯罪行為ではない限りは)、ニュースを追うという意味では有効なツールの1つであろうと思う。

 それは「刻々変わるトピックを追う」という、何だかせわしい行為を指すのではなく(そうしている人もいると思うけど)、ニュースの意味、その文脈が分かる、という意味において重要なのだと思う。
by polimediauk | 2010-04-14 17:49 | ネット業界