小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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グーグル、年末までに有料ニューズサイト実施か?

 しばらく間があいてしまったけれど、伝統メディア(新聞、テレビ、書籍)の将来はいかに?というテーマで取材をしていたら、本当にこの業界は動きが激しいものだ。1つ新しい動きが出たなと思って、原稿を書き上げると、地図が塗り変わる動きがまた1つ出てしまう。

 「ペイドコンテンツ」の報道(17日付)によれば、グーグルが有料のニュースサービスを年内に実現できる見込みだという。

http://paidcontent.org/article/419-google-reportedly-launching-a-paid-content-system-for-italian-publisher/

 イタリア紙「La Repubbilca」が元のネタになるのだけれど、グーグルが名づけるところの「ニューズパス」(Newspass)に参加したいニュース企業を募っているところだという。

 このプロジェクトは(グーグル側は「現時点で発表できることはない」)、昨年秋、グーグルが全米新聞協会に提案したものに似ているようだ。その時の売りは、ニュース業界が1つの電子コマースのサイトとして利用できることと、有料サイトだが検索に引っかかるようになっていること。

 ひとつのサインイン(ログイン)だけでいろいろなニュースが読める利点がある上に、ニュース企業側は購読料タイプか、1つの記事毎に販売するマイクロペイメント型かを選べるようになっている。

 グーグルは過去に、イタリアのニュース企業とひと悶着あったという。グーグルニュースに記事を無料であげているのに、オンラインからニュース企業側が十分に収入を得ていない、また検索エンジンの仕組みが不透明であるなど。

 いつになるかは不明だが、もしこれが実行されれば、7月から予定されているタイムズとサンデー・タイムズのサイト全面有料化と合わせると、「オンラインの大手新聞などのニュース記事は有料で」という動きが加速化される可能性もある。
by polimediauk | 2010-06-21 22:21 | ネット業界