ウィキリークス

米司法省が、ツイッターに対し、アサンジやアイスランド議員の個人情報開示を要求

(nofrills さんのコメントもご覧ください。特にラモ+ワイヤードの件)
 (これらの経緯、下記で当事者(アイスランドの議員、米国の技術者アペルバウムら)と、法務周りの人々、およびニュース系の人々のtweetをまとめてあるので、データベース的に共有・ご参照ください。
http://togetter.com/li/87263

エイドリアン・ラモのチャットのログをWiredが公開しない件についても、Togetterでまとめてあります。
http://togetter.com/li/82372
http://togetter.com/li/83478)
 

 話がどんどん進んでいるので、もし速報を追う場合、「ウィキリークス」か「wikileaks」のキーワードで探し出したツイッターアカウントを追うのが一番早いと思う。私自身が見つけた情報も、日本語・英語ツイッターで出している。@ginkokobayashi(日本語)@ginkotweet(英語)ー私自身が情報を取るのが早いというよりも、「早い人をフォローしている」ので、これを読まれた方も、どんどん早い人を探してみてください。

                   ***

 なかなかある程度まとまった日本語情報が出ないので、情報はまだまだ不正確も知れないが、ひとまず概要をまとめてみた。

 BBCとガーディアンの記事によれば、米政府はツイッターに対し、ウィキリークス関係者のつぶやきや個人的な情報を提出するよう命令したという(以下はその中から抜粋した情報である)。

http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-12141530
http://www.guardian.co.uk/media/2011/jan/08/us-twitter-hand-icelandic-wikileaks-messages

 昨年12月14日、米政府は、バージニア州の地方裁判所を通じて、ツイッターが持つ、ウィキリークス関係者に関する個人情報の引渡しを命じた。この情報要求は「現在継続中の犯罪行為の捜査に関連」しているそうだ。

 ツイッターは情報を渡すまでに3日間の猶予期間を置かれ、情報を要求された件や捜査の存在を口外しないように言われた。

 しかし、同じ裁判所が、この規制を1月5日解除。ツイッターが利用者側に対し、情報の提出要求の件を通知できることになった。

 「ウィキリークス関係者」とは、ウィキリークスの代表ジュリアン・アサンジ、メガリークの情報源といわれているブラッドリー・マニング兵、アイスランドの国会議員ブリギッタ・ヨンスドティル(女性)、オランダのハッカーRop Gonggrijp 、米国のプログラマー、ジェイコブ・アップルバウムである。最後の二人は、以前、ウィキリークスの中で働いていた。

 要求している情報は、ユーザー名、住所、接続記録、電話番号、支払い情報の詳細だ。

 7日、議員がツイッターで事の次第をつぶやいたことから、この件が広く知れわたった。

 ヨンスドティル議員は、7日、米司法省がツイッターに対し、自分の個人情報と2009年11月以降のすべてのつぶやき情報を渡すことを要求した、とつぶやいたのだ。この要求に対し、これを控訴するための時間が、10日間あると書いた。

 「米政府が、私の2009年11月以降のすべてのつぶやきを知りたがっている。私がアイスランドの議員だって言うことを知っているのかしら」-これがその時のつぶやきの1つだ。

 「これは私の情報だけの問題ではない。ウィキリークスに関係しているすべての人に対する警告だ。こんなふうに米司法省が力を持って威嚇するのは到底受け入れられない」「私は幸運だ。議会の代表者だから。でも、他の人たちはどうするのか?この(力の)乱用を止めるのが私の義務だ」

 ツイッター側はこの件に関してコメントを出すことを拒否したが、こう言っている。「司法当局や政府が個人情報の開示を求めた場合、ユーザーの権利擁護を支援するため、ツイッターはユーザー側に開示の件を通知する。(ただし)法律上、ユーザーへの通知を阻まれた時は別である」

 アサンジは8日、「嫌がらせ行為だ」とする声明文を出した。「もしイラン政府が」同様のことをしたら、人権団体や世界中が声を上げるだろう、と。

 ワシントンにある、ネットの監視団体「電子プライバシー情報センター(EPIC)」の代表マーク・ローテンバーグは、米司法省がウィキリークスとアサンジを訴追する準備を始めているという。

 EPICは、これより前に、司法当局に対し、マスターカードやビザ、ペイパルなどを通じてウィキリークスに募金を行った人に関する当局の調査内容をEPICに引き渡すよう要求してきた。

 ローテンバーグは、「政府には情報を取得する権利があるが、法の範囲内でやらないと。ウィキリークスに対する、合法な起訴はありうるだろうか?私には、ありそうにないように思える。しかし、この点が、今米国で大きな問いになっている」と述べる。

 今回のメガリークでリーク者となったとされるマニング上等兵だが、彼に関する情報を当局に渡したのが、ハッカーのエイドリアン・ラモである。

 ラモは、マニングが最初にウィキリークスと接触を持ったのが、2009年11月末としている。この「09年11月」というのが、まさに、米司法省が要求する、アイスランド議員のツイートの時期と重なる。(ラモの件は、様々な情報が飛び交っているようだー下にある、宮前さんのコメントもご覧ください。)
 ラモの話を暴露した米雑誌ワイヤードが、ラモとマニングのチャット内容を一部しか報道しておらず、「何かを隠しているのでは?」という声も、米ネット界であがっている。(この件は、英語圏のネット上でかなり盛り上がっているようだ。ご関心のある方は、キーワードで探してみればと思う。)

 昨年7月、アサンジの同僚の一人で、先に名前も挙がったアップルバウムが、米当局に3時間尋問されている。

 アイスランド議員のウィキリークスとのかかわりだが、彼女は、アイスランドの「モダン・メディア・イニシアチブ」法施行の動きに中心的な役割を果した。この法律は、アイスランドを調査報道と言論の自由の安息地にすることを狙ったもの。

 また、昨年4月、ウィキリークスが暴露した、2007年のイラク戦争で米軍のアパッチ戦闘機が民間人を殺害した様子を撮影した動画の制作にも議員は協力した。

 一説には、議員はウィキリークスの支援活動からは今は身を引いていたとも言われる。彼女は、アサンジがもっと目立たない動きをしたほうがよいといったそうだ。

 TUP通信の宮前ゆかりさんによる以下の文章の中にも、アイスランド議員とウィキリークスのつながりの話がある。

速報864号 ウィキリークスとジャーナリズム
http://www.tup-bulletin.org/modules/contents/index.php?content_id=892

以下は一部抜粋

■アイスランドの画期的メディア政策(2010年12月13日)
今年六月、アイスランド議会は「アイスランド現代メディア構想」法案を満場一致で通過させた。スコットランド、英国、フランス、ベルギー、ノルウェー、スウェーデン、アメリカなど世界各国の「言論の自由」擁護の法律の中から特に優れた内容を取り入れ、内部告発者や調査報道を保護し、表現の自由や開かれたコミュニケーションを保障する画期的な法案だ。アサンジもこの法案作成に参加していた。さらに、この法案には表現の自由擁護分野における「ノーベル賞」級の新しい世界的規範設立が含まれている。

法案の作成と立法化に取り組んできたブリギッタ・ヨンスドティル議員は、イラクでの殺戮ビデオを編集しウィキリークスで公開したプロデューサーの一人だ。調査報道機関のサーバーをアイスランド管轄圏に保護したり、ジャーナリズムのハブとなる教育機構を構築したり、世界各国の内部告発者を擁護するための法律的なシステムを確立するなど、アイスランドが世界の「言論の自由」のメッカとなるための本格的な取り組みがすでに始まっており、国境を越えた民主主義の新しい展望が生まれようとしている。

****

 「ツイッターよ、お前もか?」になるのかどうかー?今のところ、「ツイッター・がんばれ、踏ん張ってくれ」の気持ちだがー。

 考えてみると、ネット関係の大手はすべて米企業ーグーグル、アップル、フェイスブック、イーベイ、ツイッター・・・。なんと切ないことだろう、これほどまでに頼り切ってしまっていたとは。

****

裁判所の命令の翻訳は、Tassaさんの翻訳をご参考に。
http://tassaleaks.blogspot.com/
http://t.co/p8iqP00


コメント欄にもありますが、個人認証システムをやっていらっしゃる方がいます。

http://timeowner.aa0.netvolante.jp/

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Commented by nofrills at 2011-01-09 00:37 x
こんにちは。今回Twitterはがんばりました。あのcourt orderでは、Twitter社はユーザーには何も言わずに当局に情報を渡すこともできたそうです。しかし今回はユーザーに連絡をした。これにより、当該ユーザーはTwitter社から司法省に情報が渡されるのを阻止するために手続をとる時間(10日間)を得た。

これらの経緯、下記で当事者(アイスランドの議員、米国の技術者アペルバウムら)と、法務周りの人々、およびニュース系の人々のtweetをまとめてあるので、データベース的に共有・ご参照ください。
http://togetter.com/li/87263

エイドリアン・ラモのチャットのログをWiredが公開しない件についても、Togetterでまとめてあります。
http://togetter.com/li/82372
http://togetter.com/li/83478
Commented by polimediauk at 2011-01-09 00:45
nonfrillsさん、

本当にいつもありがとうございます。

上に入れておきます。

ウィキリークス、ツイッター、本当に情報が多いので、また早く見たい人が多いので、共有の道がベストです。大感謝します。
Commented by 宮前ゆかり at 2011-01-09 04:43 x
小林さん、

今日もいそがしいですね。

ちょっと横から失礼。

ラモがいったいどういう役割を担っているのか、今のところ不透明です。「ワイヤード」誌にはFBIの人間が「記者」や「編集者」の役割を名乗って入り込んでいることは、Glenn Greenwald 氏のブログで追跡されています。ラモが自分の罪を軽くしてもらうためにFBIのおとりとして動いいた可能性もあり、Greenwald がずううっと追跡中です。

ですからラモが言ったことが本当なのか実際に確証が出るまではなるべく断言的表現にならないように気をつけたほうがいいかもしれません。

Commented by Tassa at 2011-01-09 11:11 x
Exciteの会員でないので、トラックバックの代わりにコメントで失礼します。お忙しいとは思いますが、ご覧になって頂けたら幸いです。『ツイッターへの個人情報開示を請求した裁判所命令の翻訳』http://t.co/p8iqP00

ブログを書いていて悩むのが、同じ人(一定のコミュニティ)の間でしか情報が回っていないのではないかということです。
大事なニュースが、どうやったら新しい人、関心がない人にも届くのだろう…と。
と、ジャーナリストの方にはすごく基本的な問題なのかもしれませんね。

どうしたら情報が
Commented by j19850726131431 at 2011-01-09 12:10 x
国家権力はインターネットメディアを通じて個人を監視支配しようとしています。アサンジ氏もツイッターやグーグルのデータベースに個人情報を登録している限りアメリカ政府の監視支配から逃れることはできません。そこで私はメディア上に架空の個人(アバター
)を設け、そのアバター名を使って言論活動を行うことで、権力からの監視支配を逃れるシステムを開発しました。私はこのシステムをウィキリークスなど言論の自由を擁護する全ての個人に提供する意志があります。具体的にどうすればよいのかまだわからないのですが。
Commented by polimediauk at 2011-01-10 02:44
宮前さん、ありがとうございます。

本文にちょっと付け足しました。

ラモ+ワイヤードの件、見ようと思いながらも、なかなかそっちに回らずー。米報道を追っている方にたよるしかありません・・・・。

感謝します。
Commented by polimediauk at 2011-01-10 02:51
Tassaさん、ありがとうございます。
本文の中に入れさせていただきました。

確かにそうですねー広く情報を届けるにはどうするかー。

私は今のところ、ツイッターに頼っているのですが・・・・。


Commented by polimediauk at 2011-01-10 02:54
j19850726131431 さん、

ありがとうございます。本文の中にも入れさせていただきました。

「国家権力はインターネットメディアを通じて個人を監視支配しようとしています。アサンジ氏もツイッターやグーグルのデータベースに個人情報を登録している限りアメリカ政府の監視支配から逃れることはできません」私も全くそう思います。

英メディアではこの論点が、最近、皿によく出てくるようになりました。

Commented by polimediauk at 2011-01-10 02:57
BBCのウェブサイトにあった、ある記事は、「最後には国家権力が勝つ」とありました。今はウィキリークス(無国籍)が勝っているようでも、国家権力はさらにいろいろなやり方を工夫し、裏をかく方法を考える、と。どっちもバージョンアップしていく、と。

悲観的見方かもしれませんがー。

報道の自由とか、言論の自由って、幻想だったのかなともちらりと思いますねー。
Commented by 寝太郎 at 2011-02-18 17:27 x
小林さま、いつも興味深い記事をありがとうございます。

国際的な権力者が全ての個人を監視する構図は、グーグルの企業目標と合致してますね。ネットの危険性は、個人の発信力増加とで相殺されると思います。

ところで、ガーディアンと言えば「フカひれ偏向報道」が話題になってますが、彼ら自身の野蛮性を恥じる気持ちの裏返しなのか、英国流ジョークでは済まされない日本に特化した敵意を感じますね。
http://www.japanprobe.com/2011/02/15/japans-shark-fin-trade/
捕虜問題にしても、戦勝国人による日本人捕虜虐殺記録もかなり残存しており、日本側だけが非難される筋合いはないと思います。牛蒡を与えられて木の根を喰わされたと批判する元捕虜が居ましたが、日本兵や国民が飢えるなか、捕虜を殺さなかっただけでも、日本人の人権意識は極限状況でも戦勝国側よりはマシだったろうと極自然に想像します。
Commented by polimediauk at 2011-02-20 19:54
寝太郎様

捕鯨にしろ、戦時捕虜にしろ+戦争の勝ち負け、及びその他のことでも、意見が一致しない部分はずいぶんと多いですね。中立はない感じがします。「客観的判断」も難しい。
戦中の日本軍による欧米捕虜の取り扱いをどうとらえるかー。少なくとも、「英国ではこう見られている」ことを知ることがまず大切かなと思います。
by polimediauk | 2011-01-09 00:03 | ウィキリークス | Trackback | Comments(11)

ジャーナリズムの話いろいろ+欧州事情も


by polimediauk