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「リビア、反体制勢力は分裂」、「戦いはこれで終わるだろうか?」とコックバーン記者

 リビアでは反体制派軍が首都トリポリ入りし、英テレビのインタビューなどで、複数の市民や反体制派軍関係者らが、「これで自由になった」「カダフィ大佐の40数年の支配が終わった」と喜びの声を上げている。

 しかし、喜ぶのはまだ早いかもしれない。インディペンデント紙の中東専門記者パトリック・コックバーンが、22日付の紙面で「幸福感漂うが、抵抗軍側は分裂している」と題する記事の中で警告している。
Despite the euphoria, the rebels are divided
http://www.independent.co.uk/news/world/africa/despite-the-euphoria-the-rebels-are-divided-2341792.html
 
 リビアの反体制派勢力はこれまで、北東部ベンガジを根城にして力を拡大させてきたが、数ヶ月前から英メディアが発していた問いが、「一体、誰が指導者になるのか」「カダフィ政権の後を継ぐ準備は万端なのか」であった。それに対して、非常に希望に満ちた市民たちが「大丈夫」「ちゃんとしている、心配しなくて良い」と答えていたのが印象に残っていた。

 コックバーン記者の記事から、若干抜粋すると

 「リビアの将来の鍵を握るのはカダフィ体制がどのように崩壊するかによる。果たして逃亡するのか、姿を消してまた戦うのか、あるいは逮捕されるのか、最終的には殺されるのか?」

 「カダフィに戦い返すほどの力が残っていないとしても、抵抗勢力にもそれほど力があるわけではない。北東部ベンガジから侵攻途中、3月には負けていたのが、NATOの空爆で助けられた経緯があるからだ。今回、トリポリに入ることができたのも、NATOから戦略上の支援を受けていたからだ」。

 「現在、反体制派組織『国民評議会』(TNC=Transitional National Council)が、世界の30カ国(米英を含む)から、リビアの正式政府として承認されているという驚くべき事態が生じている。しかし、首都に入ってきた反体制派軍がこの組織を正式な政府と見なしているかというと、疑問だ。ミスラタで長い間戦ってきた反体制派軍の戦士の中には、『従う気はない』という人もいる。反体制派勢力は大きく分裂している」

 「数週間前(7月末)には、反体制派の軍司令官アブドルファッターフ・ユーニス・オベイディ氏が、武装集団に襲撃を受け、拷問をされた上、殺害されている。TNC幹部は、ユーニス指揮官の死因を十分に調査できなかった、TNCの『臨時内閣』を解散させている。これはおそらく、指揮官が属する『オベイディ』(Obeidi)族が指揮官の死について説明を求めたからだろう」

 「カダフィが負けたのは確かだが、果たして勝ったのは誰なのか?」

 「半年ほど前に、リビアの一般市民を守るという名目で、フランスと英国が軍事介入したが、これはすぐに『体制交代のための軍事行動』に変わっていった。一旦介入が始まったら、NATOはカダフィが政権を退くまで、軍事手段に訴え続けるしかなくなった。もしNATOの助けで、反対派勢力がここまでカダフィを追い詰めたのなら、カダフィ政権崩壊後も、NATOはリビアの新体制の下で何らかの役割を果たすのだろうか?」

 「思い起こせば、イラクのサダム・フセイン大統領だって、それにアフガニスタンのタリバン勢力も、国民には不人気だった。しかし、だからといって、フセインやタリバンに代わって政権を取れる野党勢力が存在していたわけではなかった。イラクでもアフガニスタンでも、まもなくまた戦いが発生し、外国の軍隊は占領軍と見なされるようになった」

 「外国の軍事力によって、リビアの反対派勢力はここまで来たーーイラクやアフガニスタンのときのように」

 「カダフィが去るだろうことは分かったが、これがリビアの中で本当に戦いが終わったことを意味するのかどうかは、まだ分からない」。
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Commented by elmoiy at 2011-08-24 08:29 x
最悪の場合、リビアは分裂するかもしれませんね。こちらの記事も参照。

コラム:リビア、懸念すべきシナリオ
2011年02月20日付 al-Quds al-Arabi紙
ttp://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/html/pc/News20110221_112501.html

エジプトとチュニジアの革命勝利は、蜂起した人々の粘り強さゆえにもたらされた。そして両国は、部族社会ではなく都市社会であり、その柱は強力な中産階級と産業従事者(農業を主とする)であった。しかし、リビアはイエメン同様部族社会の様相が濃い。革命の動向、政権が残るか崩れるかは、部族的要素が演じる役割の多少により変わるだろう。大部族アル=ワルファラがインティファーダに参加した後、アル=ムカーラハ、アル=アビィーダート、アッザンターンといった部族はどう出るか。
Commented by elmoiy at 2011-08-24 08:40 x
>複数の市民や反体制派軍関係者らが、「これで自由になった」「カダフィ大佐の40数年の支配が終わった」と喜びの声を上げている。

そもそも、すべてをカダフィ個人の責任にしてしまっていいのでしょうか?佐々木良昭氏は、『革命と独裁のアラブ』(ダイヤモンド社)で、「独裁者は大衆が創り出すものである」と指摘しておられます。

…カダフィ大佐が全国を行脚して、地域の住民と直接対話する様子が報じられた。そのとき、この若き指導者が思い描いていたのは、民主主義の実現である。リビアの民主主義の実現を目指し、理想に燃えていたはずだ。
ところがこの全国行脚で、彼は最初の壁を感じた。国民には民主主義という概念など頭になかったのである。
Commented by elmoiy at 2011-08-24 08:42 x
対話を通じて国民からカダフィにもたらされたのは、
「何もしなくても、食えるようにしてほしい」
「俺たちも産油国の国民じゃないか。クウェートやサウジアラビアの国民みたいに、 ロンドンのカジノに行きたい。プレイボーイ・クラブでバニー・ガールを見てみたい」
そんな世俗的な要望だった。
カダフィは各地の大学で、これからのリビアを担う若者たちとも対話した。学生相手なら、自分が思い描く民主主義の理想が共感を呼んで迎えられると予想していたはずだが、学生たちからもたらされたのは現実的な声だった。
大学の運営の仕方に問題がある。単位取得をもっと簡単にしてくれというのである。
カダフィは、
「おまえらは、カンニングでもする気か」
と、苦笑するしかなかった。…こうして、国家・国民のためという高邁な理想を掲げていたリーダーたちが、力によって国民を支配する独裁者になっていくのである。
Commented by polimediauk at 2011-09-01 02:17
elmoiyさん、

いわゆる「アラブの春」がおきましたが、「何故こんなにも、何十年も支配する独裁者が多いのか」と疑問に思う方も、結構いらっしゃると思います。エジプトの話ですが、エジプトでは「強いリーダーの存在を欲する」という雰囲気があるそうですーもちろん、だからと言って、圧制になっても当然だという意味でまったくありませんが。

えらそうなことはいえませんが、「民主主義」という考え方や実際にどう機能するのかを知らない人も、世界には結構いると思います。(例えば、ロシアの富豪で今は英国の新聞を所有するレベジェフさんも、そう言ってました。英国に住んでから、学んだ、と。)
by polimediauk | 2011-08-23 05:42 | 新聞業界 | Trackback | Comments(4)

ジャーナリズムの話いろいろ+欧州事情も


by polimediauk