新聞業界

安いあるいは無料新聞ばかりでは、物足りない

 前回英国の無料新聞の拡大についてのエントリーを書きました。この原稿を書いていて、流れの中に入らなかったのだけれども、非常に重要なことがありました。それを、コメントをいただいて思い出したので、補足しておきます。

 それは何かというと、この、「短くて読みやすい、安い値段あるいは無料の新聞だけじゃ、物足りない」ということなのです。確かに、電車の中とかで、ささっと読むにはいいのですが、そして、忙しい通勤者とか、若者とかだったら、ほかにやることがたくさんあるだろうし、携帯電話でニュースをさっと見る感覚で、こうした、安いあるいは無料の新聞があるのは、非常に便利です。また、広告主にとっても、都合がいいです。

 でも、それだけじゃ、物足りない。

 いくら忙しくても、やっぱり、(時には)深い記事を読みたかったり、もっと知りたかったり、感動したかったり、はっと気づいて、考えるヒントがある・・・そんな情報を、読み手は欲していると思います。

 実際、私という一人の個人の例を見てもそうです。確かに、私は新聞を読むことが仕事の一部ではありますが、例えば映画評論家と映画の関係がそうであるように、個人として知的に面白いかどうかが、新聞を読む(あるいは映画評論家だったら映画を見る)行為の根っこにあります。

 そんな私にとって、無料新聞の記事だけだったら、ちょっとつまらないです。実際には、電車の中で楽しく読んではいるのですが、これだけではさびしいです。もう少し詳しいものが読みたいし、もっと知りたいのです。自分よりもっと深いことや新しいことを知っている人が書いた論考などを読みたいです。また、安い新聞「アイ」のような、子供っぽいデザインも、あまり好きではありません。すでに読みたいという気持ちがあるので、過度にこびてもらう必要はないのです。自分でお箸を持ってご飯を食べられるので、誰かに口元まで食べ物を運んでもらう必要はない、と

 一定のクオリティーのある情報が詰まったものを読みたいという欲求はこれから、決してなくならないでしょうし、こういう欲求を持つ人もいなくならないでしょうーこれまで、何百年もの間、「知りたい」という人間の知識欲が世界を動かしてきたのですから(新聞産業の収益構造は変わるでしょうけれど)。
 









 
by polimediauk | 2012-05-16 23:54 | 新聞業界

ジャーナリズムの話いろいろ+欧州事情も


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