小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


by polimediauk

ロンドン五輪⑦ つづりの間違い?いいえ、反骨スピリット

 BLOGOSさんに、ロンドン五輪開催直前の雰囲気をリポートしている。もしよかったら、ご覧ください。

 ロンドン五輪、開幕直前 -へまを想定しながらも、静かに盛り上がりつつある英国
  http://blogos.com/article/43843/

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 先日、前にこのブログでも紹介したことがある、市民参加型ニュースサイト「BLOTTR」で面白い写真を見た。ある衣料店(正装用コスチュームを販売およびレンタル)のウインドウにあった、ロンドン五輪を示す文字であった。

ロンドン五輪⑦ つづりの間違い?いいえ、反骨スピリット_c0016826_2329988.jpg


 でもよく見ると、つづりが間違っている!特に、オリンピックOlympics をOimplycsとやっているため、後者の発音が「オインプリックス」などになる。この「オイン」という言葉の響きだが、つづりは違うが「oink」(豚の鳴き声、ブーブーなど)という言葉の響きにも似てくるし、失笑してまった。

 しかし、である。

 このショーウインドウ、どっかで見たことがあるなあと思ったら、私が時々使うバス停前にある店舗のものだった。昨晩、このバス停付近を歩いていて、発見したのである。

 じっと見ていたら、下に白い紙が貼られていた。中には、「ロンドン2012」も、「オリンピック」も「ロンドン・ゲームズ」(ロンドン競技、ロンドン大会の意味)も、使っていけないことになっている、だからこういう表記にしてみた、と書いてあった。

 
ロンドン五輪⑦ つづりの間違い?いいえ、反骨スピリット_c0016826_23315172.jpg

 なんと、わざと間違ったつづりで書いているのだった。

 なぜ普通に「ロンドン2012」という表記を使ってはいけないかというと、もしそうすれば、27日から始まる五輪大会とビジネス上の提携関係にあるという意味になってしまうからだ。

 ロンドン五輪競技およびパラリンピック競技法(2006年)と五輪の象徴(保護)法(1995年)の下、限られた数の公式スポンサー(マクドナルド、コカコーラなど)のみがこうしたロゴの使用可なのだ。それ以外のビジネスが使った場合、違法となる。ケーキ屋も五輪競技をほうふつさせるような5つの輪を飾りにして作ってはいけない、と言われてきた。

 BBCの参考記事によれば、使用に制限がかかる言葉はグループAとグループBに分かれている。Aグループから2つ、あるいはAから1つ、Bから1つで合計2つの言葉を使用した場合、五輪のスポンサーシップの規則に違反したことになるという。

Protected words

Use of two words in Group A, or one word in Group A and one in Group B, could see you falling foul of Olympics sponsorship rules:

Group A
•Games
•Two Thousand and Twelve
•2012
•Twenty-Twelve

Group B
•London
•Medals
•Sponsors
•Summer
•Gold
•Silver
•Bronze

 こうした縛りについて、行過ぎた官僚主義と考える人は多い。

 「ロゴ使用禁止」の縛りに対し、故意に違うつづりを使って抵抗した衣料店に反骨スピリットを感じた。

参考
London 2012: The great Olympics sponsorship bandwagon
http://www.bbc.co.uk/news/magazine-18182541
by polimediauk | 2012-07-26 23:30 | ロンドン