日本関連

映画「SAYURI」の裏事情?


 先日、映画を観にいったときに、予告編の1つが「Memoirs of Geisha」という小説を映画化したものだった。日本語でも「さゆり」(主人公の芸者名)という題名で翻訳・出版されている。米国人アーサーゴールデン氏書いたベストセラー小説だ。私自身は原作を読んでいなかったものの、題名だけは知っていた。

c0016826_20262271.jpg 予告編を見ていてあることに気がついた。この映画のポスターはロンドンの地下鉄によく貼られているので、知識としては知っていたのだが、映像で見るとまた迫力が違う。つまり、小説の中の日本人芸者は日本人の女優さんが演じていないのだ。

 主演の中国人女優チャン・ツィイーは、前に他の中国(香港)映画で見たことがあって、きれいな人だなあという印象があった。顔だけ見ると、何人、というところまでは通常は分からない。

 そこで、英国の映画館で、「日本の芸者の話」を中国人の俳優たちが演じているのを見ると、これでいいのだろうか?という思いがあった。着物の着方も全然違うし、髪形も、典型的な芸者の髪型ではなく、全く違う。数人の日本人の俳優も出ている。英国では、「これが日本だ」と思われるのだろうなあと思うと、一種滑稽なような気もした。

 それはさておき、日本では、中国人俳優らが演じる「さゆり」をどう受け止めるのだろうか?と思っていたら、記者会見があったようで、短いニュースが出ていた。映画は「SAYURI」になっている。この短い記事だけでは、受け止め方の反応は分からない。英ガーディアン紙に出ていたので、それを出してみたいが、ガーディアンではブロガー二人の書き込みを入れた記事になっている。このブロガーたちが日本と中国の人々の深層心理を表しているものとして、おもしろい、と思って入れたのかどうかは、分からない。また、最後の中国人女優のコメントも、どのような質問の後にこのコメントが出たのか、書かれていないので、この記事が真実をついた記事だったとしても、結果的にややセンセーショナルな印象になってしまったように思う。

 いずれにせよ、中国人女優が主人公の日本人を演じる映画が、ハリウッド製とはいえ、「日本映画」として世界中に(おおげさかもしれないが)配給されることに関して、日本人の多くは、あるいは日本の映画評論家はどう考えているのだろう?(英人俳優が米国人を、あるいはドイツ人などなどを演じる例は、英テレビではしょっちゅうやってはいるのだが。)

 まず、ヤフーに出ていた、夕刊フジの記事。

渡辺謙「SAYURI」アピール、ワールドプレミア
 
芸者の純愛を描いたスティーブン・スピルバーグ製作のハリウッド映画「SAYURI」(ロブ・マーシャル監督、12月10日公開)のワールドプレミア会見が28日、都内で行われた。主演の中国人女優、チャン・ツィイー(26)のほか、俳優の渡辺謙(46)、役所広司(49)、桃井かおり(53)、マレーシア出身女優のミシェル・ヨー(43)らアジアのスターが勢ぞろい。会見には、約700人の報道陣が詰めかけた。

 ツィイーが「私たちアジアの俳優の才能を全世界に見せつける機会です」と気勢を上げると、“世界のケン・ワタナベ”も満足げな表情で「誇りにできる作品に仕上がった」と同調。英語に苦労したという役所も「素晴らしい経験ができた」と興奮気味に語っていた。
(夕刊フジ) - 11月29日17時1分更


 ガーディアンの東京特派員が書いた記事からは別の側面が見える。

 
映画公開前から、ハリウッド映画「SAYURI」は中国と日本で厳しい批判が出た。

 日本の批判の矛先は、監督のロブ・マーシャルが主演の芸者役に中国人の女優をあてた点だ。あるブロガーは、「この映画をボイコットして、メッセージをハリウッドに送るべきだ。何故日本人を馬鹿にするような映画を作ったのか?日本人がいなければ何もできないくせに」。

 中国の批判は、慎み深い芸者役の主演女優が、1930年代の京都で、舞台上で踊っているシーンが、「まるでロサンゼルスのストリップ・ショーで踊っているように見える」ということだ。

 この映画では、映画の中心となる主人公が中国人のツィイーに、もう一人重要な役割となる登場人物の役がマレーシア系中国人のミシェル・ヤオーにいった。

 しかし、日本の批判は中国の批判に比べれば、たいしたことはないのかもしれない。ある中国人のブロガーは、かつての中国の一部を植民地化した日本に関わる映画に出たツィイーは「魂を売り、祖国を裏切った。殺すだけでは十分ではない」としているという。

 東京での記者会見に姿を見せたツィイーは、「サユリ」はアジア人の俳優達にとって、一歩前進だ、と述べている。「人が考えるよりはるかに多くの事ができると思う」(注:一歩前進というのがハリウッド映画に出られたのでよかったという意味と、アジアの俳優同士が協力できて良かった、ともとれる)。

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