放送業界

NHKの受信料制度 BBCとの若干の比較


そんなに急いで、一体どこへ?

 内閣府の規制改革・民間開放推進会議が、規制改革案の答申を21日、首相に提出した。http://www.kisei-kaikaku.go.jp/publication/

 この答申がどこまで忠実に規制改革推進計画に入ることになるのか、現時点では分からないが、新聞報道及びこの答申のPDFの該当頁を読むと、どことなく、あっさりと受信料の見直し(つまりは廃止)を提言しているようであることに、驚いている。NHKの方からは、早速反論が出ているようだが。

 ざっと見たところでは、「番組の編集の独立性を保つために」、企業や政府がお金を出すのでなく、視聴者が受信料という形で公共放送の運営を維持するべきだ、という論は見当たらなかった。だから悪い、という意味ではなく、英BBCの場合、やはり受信料(テレビライセンス料)を将来的にどうするか?という議論があるのだが、受信料の大きな存在理由の1つが、「編集の独立性」だからだ。

 NHKの場合、現時点での印象として、政府側及びこの答申を書いた推進会議の中で、あるいは日本全体の中でかもしれないが、「民営化=良いこと」、「見たい人が視聴料を払う=市場原理にかなっている」、「ビジネス、競争、市場原理=良いこと」という暗黙の了解か、願望があるような気がする。

 逆に、英国の場合、BBCの将来を話すときに、「民営化=悪い影響があるかもしれない動き」、「市場原理=コマーシャリズムに走る恐れ」、という暗黙の了解があるように思う。公共放送はどうあるべきか?という問いが常に議論の底にある。

 答申の中で言われている、放送業界の状況、公共放送としてのNHKの役割、受信料制度の抱える問題など、殆どが、英BBCの場合と重なる。(ただし、スキャンダルにより未払いが増えているということは、ないのだが。また、デジタル放送に完全にスイッチするのは、英国では2012年の予定。日本は2011年の7月という。PDF文書の中で、該当箇所を探すのに実はやや時間がかかった。ちなみに79ページから86ページ。)

 しかし、細かい状況、ニュアンスは日本にいないと分からないが、どうも、推進会議が、受信料問題をいとも簡単に片付けてしまおうとしている感じがひっかかる。「そんなに急いで、どこへ行きたいのか?」と思ってしまう。NHKいじめ、ということもあるのだろうか?

 以下は、若干の動き。

 
受信料制度の見直し検討 NHK経営で規制改革会議

 政府の規制改革・民間開放推進会議(議長・宮内義彦オリックス会長)は21日、NHKの受信料制度の見直しなど公共放送の在り方で2006年度早期に結論を出すことや、独立行政法人6法人の業務を、官民で受注を競う市場化テスト対象事業にすることを明記した答申をまとめ、小泉純一郎首相に提出した。
 22日の閣議で答申内容を各省庁が最大限尊重する方針を決め、3月末の規制改革・民間開放推進3カ年計画改定に反映させる。
 答申はNHKの受信料不払いを「一時的現象と見るべきでなく、構造的な問題」と指摘。同会議はこれまでBSデジタル放送の有料化など受信料制度の見直しを強く求めてきた。しかし、竹中平蔵総務相の私的懇談会など、通信と放送の融合をめぐる議論が活発化してきたことから、具体的な実施時期などを明示しないことになった。(共同通信) - 12月21日21時43分


受信料制度に影響を懸念 NHKの原田放送総局長

 NHKの原田豊彦放送総局長は21日の定例会見で、受信料制度の見直しを求める規制改革・民間開放推進会議の答申内容に「受信料制度の在り方そのものに影響するのは具合が悪いと思う」と懸念を表明した。
 スクランブル化の導入については「分け隔てなく放送することや多様なソフトの提供が、公共放送の大きな使命。(スクランブル化は)ちょっと考え方が違っている」と現行制度の維持を強調。
 また原田総局長は「受信料制度の保障がなければ公共放送は持たない。経営計画で財政的な見通しを皆さんに示して、われわれがやるべきことをやっていく」と自主的な改革に意欲を示した。 (共同通信) - 12月21日20時24分更新


NHK有料化、来年度結論=受信料制度「構造的問題」-規制改革会議

 政府の規制改革・民間開放推進会議(議長・宮内義彦オリックス会長)は21日午後、規制改革に関する最終答申をまとめ、小泉純一郎首相に提出した。焦点のNHK改革では、受信料制度を「構造的に抱える問題」と指摘。地上波デジタル放送のスクランブル化(有料化)について「2006年度早期に一定の結論を得るべきだ」と導入の検討を求めた。
 答申を受け、NHK改革に関する政府・与党内の議論が本格化する。政府はこの問題の扱いを含め、来年3月に「規制改革・民間開放推進3カ年計画」を改定する方針だ。 (時事通信) - 12月21日19時0分更新


 もう1つ、やや前の記事になるが、事情が良く分かる。

 NHK揺らぐ公共性 改革論議本格化

竹中氏ら民営化も視野/民放連は有料化に反対
 受信料不払い増加をきっかけに噴き出したNHK改革の論議。公共放送のあり方をめぐり民営化を含めた経営形態の見直しを進めようとする政府・与党と、公共放送と民放という「二元体制の維持」を求めるNHK、民放の主張がくっきり分かれた。不払いが視聴者の三割に達した受信料制度の改革は待ったなしだが、あくまで公共放送を維持するのか、有料化から民営化への道を歩むのか。二十一日には政府の規制改革・民間開放推進会議が一部の有料化を求める答申を行うとみられ、論議は本格化する。(NHK問題取材班)
≪政府・与党≫
 「すでに受信料制度は破綻(はたん)している」
 今月六日に規制改革・民間開放推進会議議長の宮内義彦オリックス会長は、こう言い切った。
 答申では、BSデジタル放送について受信料を払った世帯だけが見られるスクランブル化を盛り込み、将来は地上デジタル放送にもスクランブルを拡大すべきだという考えを打ち出す方向だ。
 いわば、現行の受信料制度から、見たい人だけが支払う有料放送化に踏み出すことを求めている。
 また、竹中平蔵総務相も六日、「なぜNHKで不祥事がこんなに続いているのか。オープンに議論すべきだ」と、NHKの経営形態見直しなどを掲げた私的懇談会を設置する意向を表明。受信料制度をはじめ、組織のチェック態勢、さらには有料化や広告導入も論議の視野に入れているといい、「宮内氏との連携でNHKの民営化を推し進めようと考えているのでは」(NHK関係者)。
 政府の動きの一方で、自民党電気通信調査会の小委員会(委員長、片山虎之助元総務相)も絡んでくる。
 先の総選挙で郵政族議員の多くが党外に出たこともあり、片山元総務相は「政府・与党で論議する本格的な場はこの小委員会だ」と、その権威を強調する。
 小委員会では「スクランブル化は公共放送の性格をゆがめる」との意見が出るなど宮内・竹中路線を牽制(けんせい)する動きもあるが、「金融や郵政の改革で、官僚はもとより国会議員の動きも無視してきたのが小泉-竹中ライン。NHK改革でどれだけ官僚や議員に配慮するか」(ある民放事業者)と、小委員会の影響力に疑問を投げかける声もある。
 NHK改革では、小委員会が通常国会での放送法改正を、竹中総務相が政府の骨太方針への盛り込みをそれぞれ狙う。国会会期末と政府の骨太方針の閣議決定が重なる来年六月が大きなヤマとなるのは間違いない。
≪強い危機感≫
 こうした政府・与党の動きに、NHKや民放の危機感は強い。
 スクランブル化について、NHKの永井多恵子副会長は「スクランブルをかけた時点で、公共放送とは性格が異なってくる」と反論。スクランブル化や有料化がNHK離れを助長しかねないという不安も強く、現行の受信料制度を死守する方針を崩していない。
 また、スポンサーや視聴率を気にせずに番組制作ができることを“強み”に、伝統文化の継承などNHKならではの質の高い番組を生み出してきたことも事実だ。
 ただ、不払いが徴収対象の三割という現状が続けば、視聴者の不公平感が募り受信料制度が崩壊に追い込まれるとみており、NHKは簡易裁判所を通じた支払い督促などの法的措置という「最終手段」に来年度から踏み切る。
 あるNHK幹部は「視聴者の反発も考えられるが、受信料制度を維持するため『背水の陣』で臨む」と打ち明ける。
≪援護射撃≫
 民放も、NHK擁護に懸命だ。日本民間放送連盟の日枝久会長は「NHKの有料化は、豊かな放送文化を築いてきた公共放送と民間放送の二元体制を壊す」。TBSの井上弘社長も「スクランブル化を言うのは簡単だが、そう簡単に金を払って見るかということもあり、NHKの経営健全化に向けてのいい案とはいえない」と述べ、「共存共栄」を訴える。
 こうした民放側の支援の根底には、NHK民営化への恐れがある。子会社や関連団体を含めると約二万人を擁する巨大組織が民営化されれば、民放の経営が圧迫されることは確実だからだ。
 さらに平成二十三年に完全移行が予定されている地上デジタル放送の技術開発や中継所建設では、NHKの体力に頼っている現状もあり、「対岸の火事」では済まない事情もあるようだ。
(産経新聞) - 12月18日2時42分更

by polimediauk | 2005-12-22 03:33 | 放送業界

ジャーナリズムの話いろいろ+欧州事情も


by polimediauk