政治とメディア

サウジアラビアでの拷問 聞き語り

「今でも殺人者」

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(サウジアラビアのテレビで告白をするサンプソン氏 BBCオンラインより)

 ロンドン市内で、拷問に関するイベントが、8日夜、あった。人権団体ヒューマン・ライツ・ワッチが、2006年の世界の人権侵害状況に関する報告書を出版したのでhttp://hrw.org/wr2k6/、これを機に拷問が正当な情報収手段といえるのかどうか?に関して議論をする、というものだった。

 3人のパネリストの中の1人が、ウイリアム(ビル)・トンプソン氏という男性で、実際に、サウジアラビアでつかまり、拷問を受けた人物だった。

 当人が語った言葉と、BBCオンラインからの情報をやや付け加えて、再現してみたい。

 ことの起こりは2000年11月。サウジアラビアの首都リビアで、爆発がおき、英国人男性が死亡。妻も重症に。運転していた車が爆発した。男性はリビアの軍用病院で働いていた。当時3万人の英国人がサウジアラビアに居住しており、多くが軍事産業に従事。その後も、一月ほどの間に、英国人数名がターゲットにあったという。

 その後、英国人、カナダ人、ベルギー人らがサウジアラビア当局に逮捕され、拘束される。このカナダ人がビル・サンプソン氏だった。(カナダ人ではあるが、英国との二重国籍を持っているようで、現在は英国在住。)

 拘束後、3人は拷問にあった、とサンプソン氏は述べている。

 2001年2月、サウジアラビアのテレビで、3人は爆発物を仕掛けたのは自分たちだ、と、「告白した」。

 サンプソン氏は、この告白の中で、自分は、サウジ・インダストリアル・デベロプメント・ファンドというところに勤める、マーケティングコンサルタントである、としている。他の2人と協力の上、爆破物を仕掛けた、と述べた。

 サウジアラビアの法廷で、サンプソン氏を含めた3人は、殺人者としての決定が下される。

  ロンドンの昨晩のイベントで、サンプソン氏は、「自分は拷問をされたために、殺人者だ、と自供した。この日まで、この汚名は晴らされず、今でも殺人罪を犯した、ということになっている」。

 「拘束中には、ありとあらゆる拷問を受けた。さかさまにつるされ、眠りを奪われ、レープされた。あまりにも拷問がきついので、体の感覚がなくなった。背中や腰、肩の感覚が今でもおかしい。心臓発作を何度か起こした。独房にも長期間入れられた」。

 「私たちが解放されたのは、キューバにある米軍グアンタナモ基地収容所にテロ容疑者として収容されているサウジアラビアの男性たちと『人質交換』のシステムを通じて、英国に返されたからだ」。

 「サウジアラビアで私たちが拷問を受けていることを、英政府は最初から知っていたと思う」。

 「解放されてから、拷問を受けての自供だったので、殺人者ではないことを証明するために英外務省の協力をあおいできたが、現在まで、進展はない」。

 「他の2人のうちで、ベルギーはサウジアラビア政府に対する訴えを起こしていると聞いたが、英政府は何もやっていない。英国ではできない、と言われた。私にはサウジアラビア政府に対する訴えを起こす権利がない、という。いくら私が、拷問状態では私の精神及び体の状態が尋常ではなかったことを示す診断書を提出しても、ダメだった」

「何故英政府が動かないのか?私の推測だが、英政府はサウジアラビアに対して多額の武器取引があり、これをだめにしたくないのではないか?」

―毎日、何を心の糧に生きているのか?

サンプソン氏「体も心も、まだ拷問の後遺症に悩む。しかし、いつか、汚名を晴らしたいと思って、英外務省との交渉を続けており、これが生きがいになっている」。

 「自分自のことを、サウジアラビアの件の前は、マッチョで、強い男だと思っていた。しかし、自宅のドアを開けられ、サウジアラビア当局の数人に突然殴られ、逆さづりにされたとき、私は叫び声をあげつづけるしかなかった・・・」。これ以上の描写もあったが、再現するのは難しい。

 時々言葉につまりそうになりながら、目をやや赤くしながら語るサンプソン氏。

 イベントが終わって、二言、三言、言葉を交わした。今でも殺人者となっているとはどういうことか?自分自身、衝撃を受けた夜だった。

 体験を本に書いたという。「無実の男の告白」(Confession of an innocent man)だった。

 (上記は聞き語りなので、正確でない情報もあるかもしれません。もし何かご存知の方はご一報ください。詳細が分かり次第、アップデートしたいと思います。)

もう1つ、どうしても頭から離れないので、皆さんご存知のトピックだが、貼り付けておきたい。

 
イラク 香田さん殺害のファハミ被告、動機語る
  【カイロ高橋宗男】イラク内務省特殊部隊に逮捕され、04年10月の香田証生さん(当時24歳)の殺害を自供したフセイン・ファハミ被告(26)は8日、バグダッドの毎日新聞助手の取材に応じ、香田さんら外国人の殺害について「イラク人やイスラム教徒が殺りくされ続けていた現実を世界に知らしめるため実行した」と動機を語った。
 ファハミ被告は「世界が騒ぐのは、米国人や日本人のような外国人が殺されるときだけだ。イラク人が毎日、(米軍などに)殺害され続けていることに、なぜ一切興味を示さないのか」と毎日新聞助手に怒りをぶつけた。また、同被告が所属するグループが香田さんの殺害を決定した直後に「処刑役」として呼ばれたと語り、「殺害を後悔していないか」との助手の問いかけには「いいや。言うべきことは何もない」と語った。
 同被告によると、香田さんの拉致は同じグループのウィッサム・キリとアイヤッド・キリ(ともに愛称)の2人が実行。同被告のほかグループのリーダー、サーイル・サイヤッドとアブドル・カーディルの計3人が殺害した。カーディルという男はいまだに逃走中という。


 「バグダッドの助手」に語った話、ということになっている。聞くほうもさぞつらく、かつ、複雑な感情だろう。




 
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by polimediauk | 2006-03-09 23:52 | 政治とメディア | Trackback | Comments(0)

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