小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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ロンドン市長選 大接戦 仕事の引継ぎ 

 ロンドン市長選の結果が未明確定し、大接戦でボリス・ジョンソン保守党議員(ボリス)が勝利した。ジョンソン氏は116万8,738票でケン・リビングストン現職が102万8,966票だった。なんという接線だろう。

 夜中、生中継されたそれぞれの候補者の勝利スピーチ、敗退スピーチでは、ジョンソン氏はリビングストン氏をねぎらい、リビングストン氏は「労働党の(不振)のために負けたのではない。8年間やってきて、人のせいで負けたとは言えない」とした。批判をされるであろうブラウン首相をかばった。

 8年間やってきた市長職を振り返り、声がやや涙っぽくなりながら、無念さとロンドンへの愛情を語ったリビングストン氏。私は氏が「ロンドンナー Londoner」という度にじーんとしてしまう。

 両者のスピーチのビデオはBBCのサイトで見れる。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/politics/7380947.stm

 ところで、私が驚いたのは、昨日付け「ロンドンペーパー」に載っていた、市長の仕事の引継ぎの話である。

 これによると、2日朝、リビングストン氏は市長として市庁舎の建物に出勤したが、真夜中、対抗馬だったボリスが勝利したので、市庁舎を出る時は、警備員とともに出ることになると言う。氏や氏のスタッフが破棄するべきではない書類などを破棄しないようにするため。

 そして、机の整理などをリビングストン氏側は今日3日の真夜中までに終えなければならない。当選(落選)から28時間以内に、市庁舎の鍵を新しい市長に渡し、市庁舎を去らなければならないのだ。大ロンドン市庁法(グレーたー・ロンドン・オーソリティー・アクト)がそう決めている、という。

 日本はどうなのだろう?ロンドンはずいぶん「引継ぎ」が早いものだ!

 ロンドン市庁のウエブサイトを開けると、既にボリスが市長に。当選した時点で、市長になる、というのは分かりやすいが、なんと早いのだろうと驚いてしまう。

http://www.london.gov.uk/

 (ちなみに、07年4月8日の都知事選で当選した石原都知事の初登庁は4月23日。都知事になったのが何日付になるのかは不明だが、ロンドンよりは若干、初仕事までに余裕があるように見えたが。)
by polimediauk | 2008-05-03 15:48 | 政治とメディア