ネット規制 英国の問題は児童ポルノサイト
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080606-00000060-zdn_n-sci
英国の状況とすぐ比較できるかと思ったが、報道内容を読むと、どうも焦点が違うようだ。今回、少々、ずれた話になるかもしれないのをお許しいただきたい。
英国でよく問題になるのは、青少年に対する有害サイトの話よりも、未成年・児童が出るポルノ画像の話だ。この規制をどうするか。児童ポルノといっても「たまたま」出くわすようなものよりも、特設サイトにクレジットカードを使って料金を払って会員になり、アクセスするものが多いようだ。こうしたポルノを見る人は性犯罪を起こしやすく、かつ、見ることによって需要を作るので、犠牲になる児童がまた増える、という悪循環も作るーという考えが社会に定着している。
英国の場合、私の認識では、2段階の規制があるようだ。まず、子供が有害情報(定義はどうであれ)をネット上でアクセスするかどうかは親が決める。親が子供に有害な情報にアクセスして欲しくないと思ったら、フィルタリング設定のソフトなどを使い、子供が使うコンピューターにつけることができる(これをやっている親がどれくらいいるのか、不明だが)。また、誰がネットを使うかに関わらず、有害情報と判断されているもの(児童ポルノや死体との性行為など、後で詳述)に関しては、ネットプロバイダー側が管理することになっており、こうしたサイトを見つけたユーザーは、監視団体にこれを通報することができる。
BBCとウイキペディア英語版から、後者のフィルタリングの流れを見ると、
http://en.wikipedia.org/wiki/Censorship_in_the_United_Kingdom
http://news.bbc.co.uk/1/hi/technology/4689386.stm
インターネットプロバイダーとしてのBT(日本のNTTにあたる)が、児童ポルノの画像が入ったと見られるサイトを識別する「クリーンフィード」と呼ばれるサービスを利用して、ネットのトラフィックをチェックしている。このサービスは「インターネット・ウオッチ・ファウンデーション」と呼ばれる団体が作ったものだ。ユーザーが有害なサイトにアクセスしようとすると、「このサイトのURLが見つかりません」というメッセージが出る。BT以外のネットプロバイダーも同様のソフト(別名)を使う。(この流れは2007年時点のもの。以降、変更点などお気づきの方はご一報ください。)
児童ポルノに限らず、一般的なネット上のポルノ規制は、2003年、ジェーン・ロングハーストさんという女性が、ネットポルノに異常に執着していたとされる男性に殺された後、締め付けを厳しくする世論ができた。そこで、単純所持も違法となってゆく。以下の法の項目64を参照のこと。
http://www.publications.parliament.uk/pa/cm200607/cmbills/130/07130.43-46.html#j400
これによると、「極度のポルノグラフィックなイメージの所持」が違法である。「ポルノグラフィック」とは性的欲望を喚起するもので、「極度」とは?「人の命を脅かす、あるいは脅かすように見える場合」、「人の尻の穴、胸あるいは性器に重大な傷をおわせる、あるいはおわせるようにみえる場合」、「人の死体と性行為をしているあるいはそう見える場合」、「人が動物と性行為あるいはオーラルセックスをしている、あるいはそのように見える場合」など。
英国でポルノの単純所持が違法というと、「え?所持だけで違法?それは厳しすぎる」と思えるかもしれないが、ここまではっきり書かれると、「無理もない」感じを持つ人もいるだろう。「イメージ」とは動画やデータも入る。
さて、インターネット・ウオッチ・ファウンデーションだが、その目的はネット上の非合法のコンテンツを最小限に抑えることだ。
http://www.iwf.org.uk/public/page.20.212.htm
非営利の「自主規制団体」で、運営資金は欧州連合とオンライン業界が出している。業界(プロバイダー、携帯業界、メーカー、ソフトウエアの会社など)が自分たちでやっているのだ。政府との協力関係も維持する。ファウンデーションが対象とする「非合法のコンテンツ」とは、児童ポルノサイト、犯罪になるほどのわいせつなコンテンツ(「極度のポルノグラフィックな」コンテンツはここに該当するのだろう)、人種憎悪を扇動するサイトである。
*児童ポルノサイトに関する過去記事もご参考まで
http://ukmedia.exblog.jp/6817474/