日本関連

「クーリエ・ジャポン」があれば

 「クーリエ・ジャポン」10月号には、「米国メディア戦争」と題して、マードックのウオール・ストリート・ジャーナル紙買収の分析記事(翻訳)が載っている。米「アトランティック・マンスリー」の記事がオリジナルだ。米国側から見るとこうなのかなあと参考になる。「FT記者が分析する英・米のジャーナリズムはこう違う」という記事も。米国のジャーナリストたちは自らを弁護士や銀行員と同じく世間的に「立派な職業」に従事していると考えている・・・そうである。英国では、「ジャーナリストは自らをアウトサイダーだと規定している場合が多い」。

 例のロシア・グルジア・オセチアの話もたくさん載っており、その一つはFTの記事で、グルジア・サーカシビリ大統領の評価をクエティン・ピール記者が書いている。元記事の日付が出ていないが、「遅すぎた革命家、サーカシビリの野望」という題がつく。大統領の行動が性急過ぎたのでは?という視点。ロシア、グルジアの紙面、ウクライナとのリンクなど、読み応えのある構成になっている。(「コーカサス国際関係の十字路」集英社新書、書店ですぐ見つかりました。)

 「クーリエ・ジャポン」の本物誌面を手に取ったのは初めてだったが、これは非常におもしろいなと思った。(元記事のアドレスや日付が一切ないのは、翻訳として加工しているせいなのか?)世界のメディアといっても、主に英・米・欧+アジアで、アラブ系の定期メディアは特には入っていないようだったけれど、英米とは言え、日本で紹介されていない記事でおもしろいものがたくさんあるようだから、これはこれでいいのだろう。

 日本特集で「A・キャンベル」という人が書いた村上春樹の記事を思わず最初に読んだが、英国にいる人なら誰でも知っている「あの」キャンベル氏が村上春樹のファンだったとは(それにレズビアンに恋した男の物語「スプートニクの恋人」が好きだったとは)、(大)驚愕だった。で、細かい話だが、英国に住む皆様、キャンベルとは「アリステア・キャンベル」(=スピン・ドクター、元国防省顧問ケリーさんを間接的に殺したかもしれない人、イラクの大量破壊兵器の脅威を誇張させた張本人)なのですよ。で、キャンベル氏は「英国の著名政治家」となっていた・・・・。目次と記事の見出しで。いつ彼は政治家になったのだろう?これはもしかしたら、もしかしたら、間違いではなかろうか?

 それでも、次も読みたいと思わせる雑誌だった。

 
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Commented by elmoiy at 2008-09-11 21:41 x
>ロシア・グルジア・オセチアの話

http://www.j.u-tokyo.ac.jp/~shiokawa/ongoing/books/EmpireLite.htm
イグナティエフ『軽い帝国――ボスニア、コソボ、アフガニスタンにおける国家建設』
http://www.j.u-tokyo.ac.jp/~shiokawa/ongoing/books/Ignatief.htm
イグナティエフ『ヴァーチャル・ウォー――戦争とヒューマニズムの間』

こちらはソ連研究者の塩川伸明氏が書いた書評ですが、欧米人が旧ソ連やバルカン諸国について書くときにかかっているバイアスについて批評
しています。
Commented by マッドマン at 2008-09-12 20:29 x
元祖ジャパンクールの村上春樹。英国人にはわれわれ日本人以上に影響力がありますよねえ。
それと昨日の晩BBC2でピチカートⅴがかかったけど、この人たちも
元祖ジャパンクールですねえ。日本以上に英国で評価されている
文学と音楽の人たちだと思います。
それに影響された人が政治家とかクールブリタニカの英国の中枢に
座っているのが2008年と分析できるのではないでしょうか? 
ぎんこさんとか僕なんかが英国に住む前の80年代とか90年代に
まかれた日本文化の種が育っていたということでしょうかね?
われわれは東京でバブルをやってたもんね。ジュリアナ東京1日復活
には足を運ばなかったですかあ(冗談です)
Commented by 歩厘 at 2008-09-12 22:50 x
私も今日、『クーリエ・ジャポン』を書店で見ました。月刊誌というので『世界』や『中央公論』のようなものを予想していたのですが薄いですね。確かに、Harper’sにせよThe New Yorkerにせよ厚さはあの程度でしょうが(もう少し薄いかな・・・)。ちなみに、The Atlantic MonthlyはThe Atlanticに名前を変えているようです。

「グルジア紛争に見る各国パワーゲームの裏側」という記事はThe New Statesmanからの翻訳のようですね。私は学生時代にThe New StatesmanやThe Nation、The New Republicなどを英語の練習としてたまに読んでいたので久しぶりという感じがしました。書店でチラッと見ただけなので記事の中身を詳しく読んでいないのですが、The New Statesmanは左の雑誌なので「まあ、こんなものかな」という感じで受け取ってしまいました。(続く)
Commented by 歩厘 at 2008-09-12 22:59 x
あまりネガティブなことばかり書くと出入り禁止にされそうですが、個人的には『クーリエ・ジャポン』は、どうかなという気がします。今はネットが発達しているので、かなりの情報がネットで読めると思うんですね。確かに、The AtlanticやThe New Statesmanなどは、日本では定期購読するか大学の図書館で読むしか方法がないでしょうから一部分でも翻訳して紹介する価値はあるのかもしれません。ただ、カタブツ雑誌が冬の時代を迎えているときに生き残れるかどうか個人的には疑問です。

ちなみに、The Economistがグルジア情勢に関して面白い投票をやっています。投票は今月19日までらしいのでよろしければ御覧ください(私はThe Economistの回し者ではありませんが・・・)。(終わり)

(The EconomistのHPの右下に「Products and events」というのがあり、そこに「Live online debate」というリンクがあります。それをクリックするとディベートが見れます。)
Commented by マッドマン  at 2008-09-15 20:10 x
歩厘さん、大丈夫ですよ、私がまだ出入り禁止になっていませんから。
『現代』が年内までだから、唯一残った月刊誌『世界』がいつまでがんばれるかですよねえ。
『WILL』というのもあるらしいけど、これもひどいの? 
Commented by polimediauk at 2008-09-16 21:44
elmoiy さま、いつもありがとうございます!
「欧米人が旧ソ連やバルカン諸国について書くときにかかっているバイアス」という表現がありました。日本人として(と大げさに書くことはないですが)英国でメディア報道などを見ていると、国際関係などで特に「見方の違い」が目に付きます。バイアスから抜け出て物事を見るのは簡単ではありません。しかし、大雑把な言い方ですが、「自分の見方=世界の見方」的な書き方をしているのが、時として、「!!!」と思いますね。本当に大雑把な見方ですが。
Commented by polimediauk at 2008-09-16 21:46
マッドマンさま

ジュリアナ東京のニュース、テレビでやっていましたよ、こっちで。懐かしいなあと思ってみていました。でも、今やることないのにな・・・と。リーマンがだめになりましたね。私がいたCS-ファーストボストンはCSになってしまいましたからね・・・。
Commented by polimediauk at 2008-09-16 21:53
歩厘さま

ネガティブなことを書いても出入り禁止とかそういうことにはなりませんので、気にせずお書きください。すべて常識の範囲内です。(読みにきた方にも不快感を与えるようなものは一定の掲載の後、消そうかなと今は思っていますがー。)それはそれとしてー。

「ニューステーツマン」に関して言うと、少なくとも私の見る限りではかるーい感じがしますね、英国では。部数が思うように伸びなかったので、編集長が辞任していますよね(実質解任かも)、去年ぐらいに。時々買っていたんですが、最近はあまりにも軽い+浅いので、見出しだけ見るように。今は見出しも見なくなりました・・・。いったいどうしたのか。「左」の雑誌は苦戦している感じがします、英国では。

 「クーリエ・ジャポン」は、外国(主に英語圏)の記事を読みたいが、現地語では読む時間がない人にぴったりではないかと思いました。個人的には、がんばってほしいなと思っています。
Commented by polimediauk at 2008-09-16 21:55
+それと、エコノミスト(ライブの議論が見れるとは知りませんでした!!)とアトランティックの名称の件、ありがとうございました。
Commented by 歩厘 at 2008-09-16 23:35 x
マッドマンさん

『WiLL』の中身についてはよく分からないです。読んでいないので。ただ、保守系雑誌の中ではかなり健闘していると思います。実売では6~7万部らしいです。
by polimediauk | 2008-09-11 20:21 | 日本関連 | Trackback | Comments(10)

ジャーナリズムの話いろいろ+欧州事情も


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