新聞業界

グーグルの感想+英インディペンデントが全面カラーに

 東洋経済のグーグル特集は50数頁の大規模なもので、欧州部分に関与した私自身、まだ全貌をつかめないでいる(!)。

 グーグルはこれからどうなっていくのだろう?

 たまたまなのか、週刊ダイヤモンドも別の意味からの「グーグル特集」をしていた。こちらの方は中小企業がいかにネット広告を利用してビジネスを急成長させるかに焦点が置かれ、実際の米企業グーグルを分析したものではなかったが。

 グーグルに関しては山のように本が出ており、定番は佐々木俊尚氏の「グーグルGoogle」(文春新書)だろうか。

 私のひっかかりは「一企業が世界中の情報を一堂に集めよう・管理しようとしているところ」や「自分のネット上のコミュニケーションに即した広告が出る時の違和感」だ(誰か人間が見ているわけでなく、ロボットがそうしているのだと説明されても、不快感が残ってしまう)。さらにひっかかるのは、このような私の違和感が、単なる古い考えなのかどうか分からない点だ。そのうち、「そんなことにこだわるほうがおかしい」となるのかどうか。グーグルの技術力に関して十分に説明を受け、これを十分に納得したら、つまりは「教育」されたら、こだわりや違和感はなくなるのだろうか?

 特集紙面を見ると、欧州各国でのグーグルの人気はダントツだ。しかし、プライバシーに対する懸念、違和感が、欧州で大きなグーグル離れを起こす可能性を、私は真っ向から否定できない。特に第2のグーグルがもし出てきた時には。これはあくまで大胆な予測である。エンジニア関係の方は一笑に付すかもしれない。「グーグルを追い抜ける企業はいない」と。しかし、欧州にある、漠然とした反米(あるいはねたみ、見下ろした態度、実体はないかもしれないのに感じる優越感)感情にも似た、反グーグル感情が大きなうねりとなって、シェアを低下させる、ということは起きないのだろうか?長く生きて見届けるしかないが。

 さて、英高級紙の1つインディペンデントが全面カラー化した。ガーディアン、タイムズ、テレグラフはすでにこれを実行している。これで4大高級紙すべてが全面カラー化された。カラー紙面は、慣れてしまうと珍しくなくなるが、それでも最初の頃はインパクトがある。どの新聞も台所事情は苦しく、慢性的な発行部数の下落に悩むが、一つの新聞がある(高い)スタンダードを作ると、他の新聞もこれを追わざるを得なくなる。今日本にいるので、インディペンデントの新紙面を実際に手に取ることができない。紙の質のせいなのか印刷のせいなのか、紙面には少し暗い感じがあったが、今は「あかるーく」なったのかどうか、見ものだ。業界の先陣を切って、小型タブロイド判を導入したインディペンデントにすれば、遅い動きでもあった。

 現在の発行部数は約23万部でこれは前年比で4%の減。他紙と部数を比較すれば、テレグラフは80-90万部、タイムズのは60万部、ガーディアンは30数万部となり、インディペンデンは最小だ。全面カラー化直前にはそれまで80ペンス(約160円)だった一部当たりの価格を一挙に25%上げて、1ポンド(200円)とした。読者からは不満が相次いだと言う。いくらなんでも上昇率が急すぎる感じだが、インディペンデント側は「将来に備えている」(編集長のロバート・オルトマン氏、ガーディアンの取材で)。

 インディペンデントの全面カラー化は、元オブザーバー紙(日曜紙)の敏腕編集長だったオルトマン氏の、新編集長としての「お手並み拝見」という側面もあった。英新聞業界の暴露本「フラット・アース・ニュース」を読んでいたら、氏のエピソードが出ていた。その昔、オブザーバーの編集長となったばかりのオルトマン氏は、デービッド・ミリバンド(現外相)に、「今度はどんな新聞にするつもりか」?と聞かれたという。ミリバンド氏は「どんな政治スタンスになるか」を知りたかったのだが、オルトマン氏はセックスとスキャンダルと答えたようだ。すでに「ポスター紙面」と言われた、鋭いメッセージ性を持ったポスターのような1面構成をやめているが、今回の紙面刷新でも、娯楽性を強めたという批評がガーディアン紙に載っていた。特に手厳しい批判をしてきた評論家ロイ・グリンスレード氏は今回も厳しい。

http://www.guardian.co.uk/media/greenslade/2008/sep/24/2 

 上記アドレスから飛ぶイブニングスタンダードの氏のコラムでは、インディペンデントのジャーナリズムの質を問題にしている。「あまり読みたいと思う記事がない」という部分があり、これは私も知人などからよく聞く。売りの「ポスター紙面」を失ったインディペンデントの新しい売りは何になるのだろう?
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Commented by マッドマン at 2008-09-25 13:53 x
店頭の新聞コーナーが見た目は明るくなりましたね。それでも、各誌の表紙はしょせんは街頭で配布されて既知の無料誌(LONDONPAPER,
LITE,METRO、CITIYAM)と全く同じ写真やヘッドラインじゃ、この金融危機に貴重な現金を1ポンド払う気は僕には失せますね。ネットと無料誌
とBBCの放送でお腹一杯ですから。
「一企業が世界中の情報を一堂に集めよう・管理しようとしている」の危惧には全く同感です。グーグルとは商業版のエシュロンじゃないか。
世界恐慌になってきて、NEW WORLD ORDERという言葉が登場するようになってきたので、なおさら気になります。
Commented by mik at 2008-09-25 20:37 x
7月末にgoogle出身者により、Cuil(クール:www.cuil.com)という検索エンジンがリリースされたようです。ちょっと期待。
cuilの報道 internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/07/29/20406.html
あとGoogle phobiaで検索すると面白いかも知れません。

偶にはお笑いを Gov. Palin and Senator Clinton address the nation
ttp://www.nbc.com/Saturday_Night_Live/video/clips/palin-hillary-open/656281/
日本のメディアもこれくらいやれば良いのに。
Commented at 2008-09-25 20:57 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by アルルの男・ヒロシ at 2008-09-29 18:12 x
欧米で実際に新聞をスタンド買いしてみますと、どれもインクですぐ手が真っ黒になりますね。日本は日経が多少ありますが、他は最近汚れません。欧米でインク汚れ問題が浮上したことはないんでしょうか?
Commented by polimediauk at 2008-09-30 23:14
アルルの男・ヒロシ さま

実際、まとめて読むと手が真っ黒になります。英国で「手が汚れるからいや」っていう話は、あまり浮上していない感じがします。変ですね・・・。
Commented by マッドマン at 2008-10-03 21:30 x
それはなかなかいい点に気がついたね。FTとかのインクのべたべた問題。ぎんこさんの印刷所のレポートにあったような観点からは語られていないものね。確かに、今度のカラー版って、インキのしみがにじみでない
ような感じがする。ただ、がさつな英国人が日本人みたいに「インキの汚れ」を気にするかね?日本人みたいに包み紙とかに使わないしね。
アルル君やぎんこさんのような「職業人」の悩みじゃないのかなあ、
インキのしみ、って問題。さすが、ダニに苦しんでいる「病み上がり」の
アルル君ならではの面白い視点でした。
Commented by polimediauk at 2008-10-03 23:09
インクの件ですが、まだ調べてはいないのですが、英国は本当にアバウトなんですよね・・・ラフというか、大雑把というか・・・。確かに手が汚れないようにということはあまり「もしかしたら」優先事項に入っていないかもしれませんね。

日本に来てそろそろ1ヶ月になります。だんだん疲れてきました。アバウトな、寒い英国に早く帰りたくなってきました。緑の多い公園に座って、ぼうっとしてみたいです。





Commented by japanhandlers2005 at 2008-10-06 00:32
え、まだ日本におられたのですか?英国のテレビについて書かれていたので、とっくに英国に戻られたと思っていたのですが・・・・?ネットがあると本当に現在地が分からなくなりますね。私もさっき、アメリカのチャーリー・ローズのインタビューものを三本も纏めてみていましたから。
Commented by マッドマン at 2008-10-06 16:10 x
ぎんこさん、時間があったらアルル君と吉祥寺の「居酒屋」あたりでゆっくり語らったらどうですか?僕はもう1年帰っていないからあの賑やかなクリスマスと正月の「里帰り」が楽しみです。倫敦は陰鬱な冬ですよ。部屋でストーブを炊いています。どんよりした天気とセーターとコートが3時頃から必要。「緑の公園」はそうですね。東京ってそれで疲れる街なんですよね。通勤電車も嫌ですねえ。私のように東京生活を42年した人間でも、最近は「お上りさん」で年一の里帰りで右も左もわからず、すぐ「疲れます」。観光客ですよね
Commented by polimediauk at 2008-10-08 19:11
その2

いやー、早く帰りたいですね。日本がいやなのでなく、自分がズボラになってしまったからです。
Commented at 2008-10-08 20:36
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by polimediauk | 2008-09-24 23:43 | 新聞業界 | Trackback | Comments(11)

ジャーナリズムの話いろいろ+欧州事情も


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