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プロフィール・予定
在英ジャーナリスト&メディア・アナリスト。英国のメディア事情や社会・経済・政治事情を新聞業界紙、朝日新聞社「Journalism」、放送批評懇談会の「GALAC」、経済誌、WEBRONZAなどに寄稿。ニュースサイト「ニューズマグ」(http://www.newsmag-jp.com/)運営。著書は『英国メディア史』(中央公論新社)、『日本人が知らないウィキリークス (新書)』(共著、洋泉社)など。今年6月、一時帰国の予定です。取材執筆、講演などのご依頼は、ginkokoba@googlemail.comにご連絡ください。 ツイッター
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2012年 02月 24日
英国のテレビ界の団体、ロイヤルテレビジョン協会(RTS)は、毎年、英国内外の優れたテレビ報道を選定し、これを数々のRTS賞として発表している。23日、2010-11年度の各賞が発表された。
最優秀ジャーナリスト賞は、「アラブの春」など海外の事件を報道した、スカイ・ニュースのアレックス・クローフォード(女性)が受賞した。彼女は4年連続の受賞である。リビア報道も優れており、特に「カダフィ大佐が自国民を攻撃している証拠を最初にスクープ」するなど、数々の勇気ある報道が高く評価された。 最優秀チャンネル賞はアルジャジーラ英語チャンネルが獲得。やはりアラブの春での圧倒的な報道がほかと差をつけたようだ。 スクープ賞、国内の最優秀時事報道賞、若いジャーナリスト賞を取得したのが、BBC1という、BBCの基幹テレビチャンネルで放送された、時事報道番組「パノラマ」及びジャーナリストのジョー・ケーシーであった。制作チームは、ある養護施設でいかに患者が手荒く扱われているか、その虐待ともいえる状況を隠しカメラで捕らえ、これを「パノラマ」で放映した。 独立部門賞は、ITN/チャンネル4で放送されたクリップを作った、ジャマール・オスマンが受賞。オスマンは政治混迷が続くソマリアで、オリンピック出場を目指す人々を追った。 最優秀報道番組賞は、BBC2で夜10時半から放映される、ニュース解説番組「ニューズナイト」が取得。 そして、審査員賞はNHKに与えられた。その受賞理由の説明を抜粋すると、昨年3月11日、大きな地震が日本を襲うと、NHKは「数分で中継のストリーム放送を開始し、NHKの報道チームが目撃者の証言を集め」、津波がやってくることを該当する地域の人に伝えたという。14機のヘリコプターと70台の衛星用トラックを使い、NHKは「巨大な津波がやってくる様子を生中継で伝えた」。 「NHKには地震の際の緊急体制」があったものの、それでも実際に地震が起きると、大変な仕事であった、世界中の放送局がNHKから画像を取ることができた、「空から、しかも生中継で、津波の全威力の画像を放送するのは、私たちにとって初めてであった」。 参考: プレスリリース http://www.rts.org.uk/rts-television-journalism-awards-2010-2011 「プレスガゼット」記事 Alex Crawford is RTS journalist of year for 4th timehttp://www.pressgazette.co.uk/story.asp?sectioncode=1&storycode=48820&c=1 2012年 02月 23日
エリザベス女王が、2月6日、即位から60周年を迎えた。英国の君主としてはビクトリア女王に次ぐ長い統治となる。父親ジョージ6世の急逝により、25歳で女王に即位した。6月上旬には即位60周年を祝う記念式典が開催され、さまざまなイベントが目白押しだ。邦字週刊誌「英国ニュースダイジェスト」最新号に女王の半生とその時代について書いている。以下はそれに補足したものである。
(ご参考:「英国ニュースダイジェスト」の解説記事には女王のこれまでの年表図がついている。http://www.news-digest.co.uk/news/news/in-depth/8605-uk-nhs.html) エリザベス女王(85歳)は、1926年4月、ヨーク公夫妻(国王ジョージ5世の次男となる父アルバートと母エリザベス)の長女として、ロンドン・メイフェアーで生まれた。エリザベスは王位継承順位では第3位であった。父の兄にあたるエドワードが継承順位では第1位で、その後を継ぐのはエドワードの子供たちと考えられていたため、エリザベスが将来女王になるだろうと思う人はほとんどいなかった。 4歳になると、妹のマーガレットが誕生した。家族の絆は強く、エリザベスは幸福な少女時代を過ごしたといわれている。 1936年、ジョージ5世死去後、エドワードが国王エドワード8世として即位したが、その時代は1年も続かなかった。離婚経験がある米国人女性ウォリス・シンプソンと交際していたエドワードは、離婚女性と国王との結婚が許されないことを知って、王位を捨てる方を選択したからだ。 そこでエリザベスの父アルバートがジョージ6世として即位し、その統治は1952年まで続いた。健康が悪化していた父の代わりに、夫のフィリップとともに外国を訪問中だったエリザベスは、同年2月6日、父が亡くなったことをケニアで知った。 女王として英国に急きょ帰国したエリザベスを、当時の首相ウィンストン・チャーチルが飛行場で出迎えた。25歳という若くかつ美しい女王の誕生に、国民中が湧いたという。戴冠式は翌1953年。その模様がテレビで放映されると、国内外の視聴者は画面に釘付けとなった。女王は国民のアイドルになっていた。 ―変わる英国とともに60年 エリザベス女王の統治の当初は、ちょうど大英帝国が解体しつつある頃であった。インド、パキスタンの両国が独立したのは1940年代だったが、その後もかつての植民地国の独立が相次いだ。元植民地国を中心とした各国は1931年に英連邦としてまとまり、現在までに54カ国が加盟。人口は約18億人で、これは世界の人口の約三分の1にあたる。女王は英連邦の元首である。また、英国教会の首長という役割も持つ。国を代表して外国からゲストを迎えるとともに、議会を開会するのも女王の重要な役目だ。英国を代表する「顔」ともいえよう。 複数の世論調査では王室の存続を支持する人が過半数を占め、エリザベス女王の人気も高いが、その影響に影が見えたことが、一時あった。 長男チャールズ皇太子と結婚したダイアナ妃が不仲となり、1980年代から90年代にかけて、夫婦の不倫関係などのゴシップ記事がメディアで連日報道された。夫妻は1996年に正式離婚したが、翌年、ダイアナ妃がパリで交通事故で亡くなった。 多くの国民がダイアナ妃を慕い、女王から何らかの追悼の言葉を欲していたが、事故死から数日間、女王一家はスコットランドにある避暑用住居バルモラル宮殿にこもり続けた。これが国民の大きな反感を買った。後、女王はロンドンに戻り、国民がダイアナ妃にささげた追悼のカードや山のような花を見て、その死が国民にもたらした悲しみと衝撃の深さを知った。女王はテレビに出演し、ダイアナ妃の突然の死をいたむメッセージを送り、国民の怒りは氷解していった。(ここら辺の経緯は、2006年公開の英映画「クイーン」でもよく分かる。) エリザベス女王の側近らの話によれば、女王は恥ずかしがり屋で、人間よりも動物に話しかけるほうが楽と考えるタイプだという。女王の犬好きや競馬好きはよく知られている。派手なことを嫌い、「名声にも興味がない」(ウィリアム王子)女王は、その一生を女王としての役割を全うするために生きてきた。叔父のエドワードが王位を放棄したことへの衝撃と、「絶対に自分はそんなことをしない」という強い思いが、女王の日々の活動の糧になっていると、女王の伝記を書いた作家ロバート・レーシーは述べる(『ロイヤル』)。 移民出身の国民が全人口の10%を占め、キリスト教以外の信者も増えている。スコットランド、ウェールズ、北アイルランドではそれぞれ独自の地方議会が成立した。英王室は分権化、多様化が進む英国を、ゆるやかに1つにまとめる、象徴的な存在だ。即位60周年記念は、さまざまなイベントに参加することで英国に住む隣人との一体感を感じたり、英国のここ数十年の変化を振り返る機会となりそうだ。 ―関連キーワード: Jubilee: 「ジュビリー」、通例50年目の記念行事。旧約聖書のレビ記の第25章で「ヨベルの年」として言及され、「50年目の聖なる年」の意味に。この年に奴隷が解放され、借金が帳消しになり、野に自然に生えたものを食するよう書かれている。これに沿って、ローマ・カトリック教会でも、聖地を巡礼した者に罪の特赦を与える「聖年」が定められた。Siliver jubileeは25周年記念日あるいは式典、diamond jubileeは60周年の記念日あるいは式典を指す。 ―60周年記念の主なイベント 6月2日(土曜):エプソン・ダービー ロンドン郊外エプソン競馬場で開催される、「ダービーステークス」(または「エプソン・ダービー」を女王が鑑賞。競馬好きの女王は熱心なファンの1人。 6月3日(日曜):「ビッグ・ジュビリー・ランチ」 近所の人や友人、知人らとランチを共にすることでコミュニティー意識や友好を楽しく深めることを目的として始まったイベント「ビッグ・ランチ」を即位60周年記念にも実行しようという試み。参加希望者はウェブサイトから「ランチ・パック」を申し込むと、イベントの始め方、ポスター、料理のアイデアなどを入手できる。www.thebiglunchcom/ テームズ川でのダイヤモンド・ジュビリー・ショー: 英国内外からやってきた、1,000隻以上の船がテームズ側を下る。先頭には王室の一家が乗る「ロイヤル・バージ」号が位置する。川くだりの様子はバタシー公園の特別イベントでも視聴できる。http://www.thamesdiamondjubileepageant.org/ 6月4日(月曜):ダイアモンド・ジュビリー・コンサート バッキンガム宮殿の前で、BBCにより開催されるコンサート。著名アーチストが出演予定。5000枚の無料チケットはくじ引きで割り当てられる。締め切りは3月2日。 申し込みは以下のサイトから。http://www.bbc.co.uk/diamondjubilee/concert-tickets.shtml. 女王のダイヤモンド・ジュビリーのかがり火: 2,000以上のかがり火施設が、国内の各地に設置され、午後10時過ぎに点火される。ロンドン内には「ナショナル・ビーコン」と名づけられた施設が設けられ、午後10時30分頃、女王が点火を行う。www.diamondjubileebeacons.co.uk/ 6月5日(火曜):聖ポール大寺院でのミサ 聖ポール大寺院で、即位60周年を祝う特別のミサが開催される。女王のための祈りが大寺院のウェブサイトに公表されている。ミサの開始時間などの詳細は後、発表。www.stpauls.co.uk/ ほかの情報は以下を参考に: http://www.thediamondjubilee.org/ http://www.2012queensdiamondjubilee.com/ 2012年 02月 15日
![]() 普通の人(=自分も含め)がインターネットを使って何かを発見したり、楽しんだり、学んだり、消費行動をしているとしたら、世のアーチストたち(=創造性にあふれ、その創造性を使って、さまざまなことをしている人たち)は、さぞや、さらに面白がってインターネットとか、デジタル機器を使っているんだろうなあ、まったく新しい地平線ができているのだろうなあーーそんなことを、最近、考えていた。 ある英国のアーチストの作品の作り方に衝撃を受けてから、こんなことを考えるようになった。 それと平行して、BBCのラジオ番組(映画の番組)で、映画監督がデジタル機器を使って、これまでにないほどの低予算で短編映画を作った、と聞いた。ロバート・レッドフォードが始めた、米サンダンス映画祭への出品作品の1つだったと思う。 次に、その人が言ったのは、「何せ、お金がない」ので、低予算で短編を作った後、宣伝費とかがまったくない。そこでどうしたかというと、使ったのはソーシャルメディアだった。フェイス・ブックなり、ツイッターなりを大いに駆使して、情報を広めたのだという。 次に出たゲストの人も、同様のことを言っていた。そうか、映画もそんな感じなんだなあと思っていた。 しかし、最初の大きな衝撃は、英国が誇るアーチスト、デービッド・ホックニーから来た。今、ホックニーは展覧会をロンドンのThe Royal Academy of Artsでやっているのだが(4月まで)、これに出展したのが、とってもきれいな、大胆な色使いの絵の数々(上の図をご覧ください)。そして、なんと、これをアイフォーンやアイパッドだけを使って描いたのだという。 私はこれにとても驚いた。なんだか、ガーンとした。 展覧会の情報(ぜひこのサイトを開いてみてください)http://www.royalacademy.org.uk/exhibitions/hockney/ そして、ホックニーがいうところによれば、アプリの「brushes」というのを使ったそうである。こういう話はアート関係の人からすれば、当たり前すぎる話なのだろうけどー。以下がそのアプリの紹介サイト。米国の雑誌のイラストもこれでやっている、という話が聞けるビデオがついている。 http://www.brushesapp.com/ ホックニーが描くところをテレビで見ていたら、とても簡単そうにやっている。私もやってみようかなと、絵心がまったくないのに思った。しかし、このアプリは有料だったので、ひとまずartstudioという無料アプリを試してみた。以下はその説明のサイト。 http://itunes.apple.com/jp/app/artstudio-lite-o-huikaki-peinto/id395508420?mt=8 私はこのアプリをアイフォーンで開いて、適当に描いてみた。そしたら、すぐに絵ができたのである。早速、保存した。知らない人が見たら、誰もこれを私がアイフォーンのアプリを使って描いた、それも絵なんか描くのは学校以来ということも知らないだろうな、と。頭の体操にもいいかもしれないと思う。ちょっとしたイラストを手紙とか、メールとか、名刺とかに入れるのも面白いかも。夢は広がるのである。 今度は音である。音楽はまったく???なのだけれど、そして今のところ試すつもりはないのだけれど、「サンデー・タイムズ」の2月5日付に、ポール・マッカートニーの話が載っていた。彼は新しいアルバムを出したので、いろいろなところでインタビューを受けている。その中で注目したのが、メールとかインターネットとかをほとんどやらないというマッカートニーが、音楽作りでコンピューターを使うことに夢中らしいのだ。 まず、アップルのマックを使っている。そして、オーケストラの音を作るときに立ち上げる。大きな画面の前で、「とっても簡単」という、Cubaseというソフトを使っているという。これの案内は以下のウェブサイトから。 http://www.steinberg.net/en/shop/cubase.html これを使うと、まるで「中毒になったみたい」になって、「何時間も」やっているそうなのだ。ただ、メロディー作りには、今までのやり方、つまり、ギターと鉛筆を使うそうだが。 ネットはほとんどやらないけど、Cubaseで何時間も時を過ごす・・・かなり、好きなんだと思う、このソフトが。 最後に、上の2つの話とは直接つながらないのだけれど、前から一度ブログに書き留めておこうと思ったことがあったので。それは坂本龍一さんのこと。「英国ニュースダイジェスト」昨年10月13日号に掲載された独占インタビューでこんな一説があった。 まず、インターネットを使った音楽や映像の配信サービスについて、「こういうことがあったらいいな」と思う技術があるか?と質問されて、その答えがこうであった。 「ユーストリーム中継でライブを観る人が、ライブそのものやアーティストに対して働きかけるチャンスを与えられるような仕組みがあればよいなあと思っています。僕は常々、『おひねりを投げる仕組み』って言っていますけど」 「分かりやすい例を挙げれば、コンサートの生中継を行っているアーティストの映像を観ながら、そのアーティストの曲を買うことができるような仕組み。その映像を流している画面にリンクを貼って、CDの販売サイトとかアイチューンズに飛んでもいいのだけれど、そのまま同じ画面で、つまりハードルがもう少し低い状態でおひねりを投げられるといいなと。そういうのを作ってくれともう何年も頼んでもいるんですけど、あまり広がらないですね」 「ただ技術的には、例えばインターネットの決済サービスであるペイパルを使ってできないこともないはずです。東日本大震災の発生直後には、ニュース映像を観ながら、同じ画面上でクリックすれば寄付できるという仕組みをユーチューブで見かけましたし。それが早く普及するといいですね」。 *** アーチストの側から見た、ネット、あるいはデジタル機器の使い方。なんだか結構面白いと思う。 2012年 02月 13日
雑誌「ワイヤード」日本語版の、「読むを考える」のシリーズから、ヒントになったことをメモしている。
ご関心のある方は、以下が元記事です。 「本」は物体のことではない。それは持続して展開される論点やナラティヴだ – 読むが変わる from 『WIRED』VOL.2(ケビン・ケリーのインタビュー) http://wired.jp/2012/01/28/future-of-reading-kevin-kelly/ 「雑誌」とは何だ?とずっと自問自答している。その答えは、いまも出ていない – 読むが変わる from 『WIRED』VOL.2(クリス・アンダーソンのインタビュー) http://wired.jp/2012/01/29/future-of-reading-chris-anderson/ そして雑誌はやがてアンバンドル化する – 読むが変わる from 『WIRED』VOL.2(小林弘人さんのインタビュー) http://wired.jp/2012/01/30/future-of-reading-kobayashi-hiroto/ *** まず最初が「ワイアード」の元編集者で、サンフランシスコに住むケビン・ケリー氏の話。本好きのケリー氏は、最近、読み方が変わってきたという。アマゾン・キンドルで読むことが多くなったからだ。 同氏は、「読み物とインタラクトしたい動的なタイプの読者」なのだという。「書き込みをしたいし、カット&ペーストしたいし、読んだものを『シェア』したい。タブレットの登場によって、こうしたことがより簡単になった。つまり読書は『ソーシャルな行為』になったと言える」。 私自身は、映画についてはこんな思いを強く感じるが、本についてはそういう感情を持ったことがほとんどないがー。 私にとって話が広がってゆくように思えたのは、ケリー氏が、本は紙だけでなく、電子書籍にもなる、つまりフォーマットが変わると、「『本とはなんだ』という再定義が必要になってくる」と考えていること。 「『本」は、その物体のことを指しているわけではない。『本』とは、持続して展開される論点やナラティヴ(語り/ストーリー)のことだ。雑誌も同様だ。ぼくが考える『雑誌』とは、アイデアや視点の集合体を、編集者の視点を通して見せるというものだ」。 「雑誌=アイデアや視点の集合体を、編集者の視点を通して見せる」-改めて、はっとする、つかみ方だ。 「かつて読書という行為はソーシャルなものだった。字が読める人が少なかった時代、読書は読める人が読んで聞かせる行為だったからだ。そしていま、読むという行為は、またソーシャルなものになりつつある」 「テキストや本はネットでシェアされ、テキスト同士はハイパーリンクでつながっている。グーグルがこの世のすべての本のスキャンを実現できたら、巨大なヴァーチャルの図書館ができる」。 ケリー氏は10年後には、(紙の)本そのものが無料になる、という予測も出している。 次に、「ワイヤード」編集長クリス・アンダーソンの話。 「ワイヤード」のアイパッド版を作るとき、制作に相当苦労したという。しかし、それ以上に大変だったのが「読者がいったい何を求めているのかを見極めることだ。画面は横向きがいいのか、縦がいいのか。そもそも表紙は必要なのか? 読者はテキストを『読む』ことを望んでいるのか? どのくらいの頻度で出版すべきなのか? どうマーケティングするのか? 適性な価格は? つまり『雑誌』とは何なのだ?という質問」を自問自答し続けたという。こうした疑問の答えは、「いまなお出ていない」と告白している。 アンダーソン氏は、「社会が複雑になればなるほど、キュレーターやガイドの必要性は大きくなると見ている。そういう意味では『雑誌』の役割は変わらないと思うし、編集者の役割は、むしろますます大きくなってくると思う。雑誌をクラウドソーシングでつくるなんていう話はナンセンスだとぼくは思っている」。 最後は、旧『WIRED』日本版編集長、デジタル・クリエイティブ・エージェンシーinfobahn代表取締役の小林弘人の話。 小林氏の本(の1つ)を、実は私も持っている。『新世紀メディア論』という本で、読みながら、大いに刺激を受けた。小林氏は日本の電子書籍の現状と未来を聞かれる。非常に示唆に富む答えがどんどん出てくるのだが、まず、 「自分が監修した本がeBookになったり、仕事で出版社の人とかと会うなかで見聞きしてるのは、100万部のミリオンセラーが電子書籍では50万円しか収益がないというような状況です。ニッチどころじゃなくて、マーケットが存在していないということですね」。 やっぱりなあ・・・と。しかし、米国でも「Kindle前夜は同じ状況でしたから、いまの段階でマーケットが成り立たないと同定するのは時期尚早だと思います。基本これはプラットフォーム戦争なので、ハードの問題は二の次。『アマゾン』というすでにぼくらが日々利用しているプラットフォームがあるので、あとはKindleが出てくるのを待つばかり、という状況だと思います」。 eBookに向いたあるいは向かないコンテンツというのは、「ない」という。「大事なのは読書体験で、それはデヴァイスに作用されるものではない」。 「最も存続が危ぶまれるのは、フローでもストックでもなく、その中間にある紙の雑誌です。一部の雑誌以外はすべてウェブに取って代わられることになるだろうと思いますね」。 残ってゆく雑誌の形とはどんなものか?これに対し、小林氏は、「最良のかたちにおける雑誌を、ぼくはソフトでもない、ハードでもない『マインドウェア』という言い方で呼んでいるんですが、これは心に浸透していくようなもののありようを指しています。そういうものとして読者が雑誌を認知できるなら、その雑誌は残っていくでしょうね」。 この「マインドウェア」というのは、英国では新聞関係者がいうところの「ブランド」にも通じるのだろうか?たとえば、経済紙フィナンシャル・タイムズだと、市場経済の信奉、世界の隅々を主に経済を軸に、しかし政治・社会面の要素も忘れずに追う・・などなどの特徴があって、読むほうもこうした特徴があることを知って、それに共鳴してあるいは予想しながらページをめくる、など。 ものを見るときの一定の姿勢というか、考え方があって、それにひっかっかったトピックを紙面にちりばめているわけで、これを読者も期待して・予測して、特定の新聞を手に取るのであるー。 最後に、出版業の将来はどうなるのだろうか?小林氏はこんな風に述べる。 「今後、コンテンツを提供する人は出版社のような仲介業を抜きに活動できるようになっていくでしょうね。村上春樹やスティーヴン・キングなんかは、もう出版社なしでも活動できるはずです。誰かが彼らのデジタルマーケティングやリーガルのコンサルをやって自前でeBookを取り扱えるようになったら、出版社はいよいよ立つ瀬がないと思いますよ。ぼくはCursorっていう出版プラットフォームに注目していますけど、彼らはクラウドソース・出版社なんですね。これは非常に21世紀的なスキームだと思います。電子書籍をめぐる状況はいま本当に過渡期で、そうであるがゆえに面白い。編集者や書き手が、自前で新しい出版ビジネスを立ち上げるのに、いまほど面白いタイミングはないと思いますね」。 なんだか、勇気が湧いてくるようなコメントである。ぜひ、もと記事のご一読を。(①から③まで続いたこの項、今回で終わり) 2012年 02月 12日
組織ぐるみの電話盗聴事件が発覚した、英国の日曜大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」が、昨年7月、廃刊になったことを覚えていらっしゃるだろうか?
今月11日、同じくニューズ・インターナショナル社が発行する、今度は日刊の大衆紙「サン」の編集幹部ら5人が、警察や公的機関への情報提供をめぐる贈収賄容疑で逮捕される動きがあった。 http://www.bbc.co.uk/news/uk-16999659 逮捕されたのは、5人に加えて、英南部サリー州の警官、英軍関係者、国防省関係者それぞれ1人で、合計8人である。 「サン」は、日刊紙市場最大の約270万部の発行部数を誇る。 「サン」で逮捕された人物とは、BBCの推定によると、写真エディターのジョン・エドワーズ、チーフ・リポーターのジョン・ケイ、外国特派員ニック・パーカー、記者ジョン・スタージス、アソーシエト・エディターのジェフ・ウェブスターだ。逮捕と同時に、それぞれの自宅やニューズ・インターナショナル社の事務所が家宅捜査された。現在までに、逮捕者全員が、保釈されている。 BBCニュースのウェブサイトは、「サン」が「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」のように廃刊になる可能性については否定する意見をいくつか載せている。私が見たところでは、たぶん、廃刊にはならないが、それだけ事態が真剣だということだろう。 それでも、「絶対廃刊がない」とも言い切れない。何しろ、ニューズ社は、電話盗聴に対する国民の怒りが大きくなり、広告主も腰を引き出すと、電光石火でニューズ紙の廃刊を決めたからだ。「廃刊の危機」というのが、現状に一番近いのかもしれない。 ―警察への賄賂がなぜ、今問題に? 少し過去をさかのぼると、電話盗聴事件というのはすでに2007年に、当事者が刑務所に入って、一件落着したと思われる事件であった。 しかし、盗聴という違法行為が、「一部の記者」だけではなく、広い範囲で行われていた、とする報道を、2009年ごろから、ガーディアン紙が開始。ニューズ社はこれをずっと否定し続けてきたが、昨年夏、失踪された少女の携帯電話にも、記者がアクセスしていたとガーディアン紙が報道したことで、国民的な怒りを引き起こしてしまった。 これが、日曜に発行されている新聞の中では最大の発行部数を持つ「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」の廃刊につながり、警察の大掛かりな捜査が前後して始まった。 この「ニューズ」紙での盗聴事件については、昨年夏に大事件に発展するまで、警察が同紙や発行元に対する捜査を十分にはしてこなかった疑いが出ている。 その理由というのが、どうも、警察や、あるいは政治家がニューズ紙、あるいは発行元のニューズ・インターナショナル社、ひいてはその親会社米ニューズ社の会長ルパート・マードックと「近すぎた関係を持っていたから」らしいのであるー少なくとも、そんな疑念が出ている。 大きなメディア、メディアの所有者、警察、そして、政治までもがくっついていた、と。お互いにぼろが出ないように沈黙を守っていた、と。 「政治」というのは、キャメロン首相が、何ヶ月か前まで、もとニューズ・オブ・ザ・ワールド紙の編集長を、官邸顧問として雇っていたのである。また、首相や閣僚らは、マードックやニューズ社が発行する複数の新聞の編集幹部らと、定期的に会合を持っていた。 廃刊をきっかけとして、警察はいくつかの調査を続行中だが、その1つはニューズオブ・ザ・ワールド」紙での電話盗聴事件の全貌を調べること、ほかには、メディアが警察にお金を払って、情報を買っていたかどうかを調べることにある。 「サン」編集幹部が贈収賄容疑で逮捕されたことで、警察の捜査が「ニューズ」紙のみならず、少なくともニューズ・インターナショナル社のほかの新聞にも及んでいることが分かる。 ちなみに、同社が英国で発行する新聞とは、サンのほかに、高級紙のタイムズ、サンデー・タイムズだ。 「サン」の編集長ドミニク・モーハンは逮捕に衝撃を受けたが、「新聞の発行を続ける」と述べているそうだ。モラルの低下を防ぐためか、今週後半にも、マードックが米国からやってきて、ロンドンでサンのスタッフに会う予定だ。 ニューズ・インターナショナル社の従業員がBBCの記者に語ったところによると、サンの編集スタッフは「怒り」、「経営陣に裏切られた」と感じているという。 今回の捜査につながった情報の出所とは、ニューズ・インターナショナル社が自ら立ち上げた、一連の事件解明のための委員会が警察に提出した資料だ。 元ニューズ・オブ・ザ・ワールドの副編集長だったポール・コンニュイ氏は、BBCの取材に対し、「警察内部や軍隊にいて、内部告発のためにメディアに連絡をしたい人たちが、後で逮捕されるようだとおびえてしまって、できなくなる」と懸念を示した。 ―タイムズもコンピューターをハッキングした情報を使っていた タイムズ紙といえば、英国内外で高級な新聞として評判が高いが、ぼろが出た事件が、最近あった。 電話盗聴事件を反省し、新聞界の倫理水準や慣行を調査するため、レベソン委員会という調査委員会が設けられた。今、メディア関係者を公聴会に呼んで、聞き取り捜査を行っているが、この中で、メディアの外の人が聞いたら、首を傾げてしまうような、独自の慣行が暴露されている。 以前、匿名の人物が書く「ナイトジャック」というブログが人気を博していた。警察官の仕事をしながらの見聞を書いたブログは、優れた政治ジャーナリズムに与えられる「オーウェル賞」を2009年、受賞した。 同年、タイムズで働いていた記者がブロガーの実名を探し当てた。ブロガーは実名が公表されないよう、報道差し止め願いを出した。これを扱った裁判で、ブロガーが負け、実名(リチャード・ホートン)が公開された。 このとき、タイムズの記者はブロガーのコンピューターに違法アクセスして、名前を見つけていた。タイムズの弁護士はこの経緯を知っていたが、タイムズのジャームズ・ハーディング編集長は、「この件に関して、何も知らない」とレベソン委員会で述べていた。 しかしどうも、ハーディング編集長は報道差し止め願いの裁判が起きていた段階ですでに「違法アクセス行為によって、情報をつかんだ」ことを知っていたようなのだ。差し止め裁判の裁判長は違法アクセスの事実を知らされていなかった。もしこの事実を知らされていたら、差し止めを支持する判決が出たかもしれないのだ。 つくづく、「人はなかなか、(保身やそのほかの理由で)本当のことを言わないものだなあ」、と思う。「違法行為でも、これを編集長がーーどこの新聞でもーー知っていて、やらせていた」という事例が、どんどん明るみに出ている。あまりよいニュースはない。 レベソン委員会が新聞界と警察との関係について、聞き取り調査をはじめるのは2月27日からである(13日、更新)。 2012年 02月 11日
いよいよ、アマゾンが日本で電子書籍端末(キンドル)の販売を開始する見込みだ。4月からというのが、いかにももうすぐだ。
米アマゾン、日本で電子書籍端末 ドコモから回線 http://www.nikkei.com/tech/news/article/g=96958A9C93819696E3E2E2909E8DE3E2E2E0E0E2E3E09F9FEAE2E2E2;da=96958A88889DE2E0E2E5EAE5E5E2E3E7E3E0E0E2E2EBE2E2E2E2E2E2 インターネット通販で世界最大手の米アマゾン・ドット・コムは4月にも電子書籍端末「キンドル」を日本で発売する。NTTドコモから回線を調達し、携帯回線でネット上の電子書籍を入手できるようにする。価格を1万数千円に抑え、電子書籍サービスの顧客獲得につなげる。 すでに電子書籍を出している佐々木俊尚さんが、日本の出版社もすでに電子書籍を出版しており、アマゾンがキンドルで出す書籍はたぶんラインアップ的にはそれほど変わらないかもしれないが、違いがあるという。それは、アマゾンがやるということで「安心感」を与えることではないか、と書いていた(フェイスブック・フィード)。 キンドルは、使ってみないとその便利さがいまいちピンと来ないだろうと思う。これを機会に電子書籍市場がどっと拡大すればいいなと遠くから思っている。 *** 「ワイヤード・ジャパン」で年末紹介されていた、「読むが変わる」シリーズ(1から6)やその関連シリーズの記事が、電子書籍の将来や「読む」ことの意味について考えるために、非常に示唆に富む内容になっていた。一歩先を進んでいる米国の話で、日本の動きと重なるものもあれば、「なんだかはるか遠い話」に見えるところもあるかもしれないが、ご一読をお勧めしたい。文章はKei Wakabayashiさん、写真はYasuyuki Takagiさんである。 http://wired.jp/2011/12/19/new_medium_new_forms_new_stories_1/ http://wired.jp/2011/12/20/new_medium_new_forms_new_stories_2/ http://wired.jp/2011/12/21/new_medium_new_forms_new_stories_3/ http://wired.jp/2011/12/22/new_medium_new_forms_new_stories_4/ http://wired.jp/2011/12/23/new_medium_new_forms_new_stories_5/ http://wired.jp/2011/12/24/new_medium_new_forms_new_stories_6/ 私が目に留めた部分の抜粋をすると、まず、最初の問いかけが、端末が「いくら進化したところで、面白いコンテンツがなければ、なんの意味もない。じゃあ面白いコンテンツってなんだ? 電子ならではのコンテンツってなんだ? ぼくらはいったい何を読みたいのか? 書き手はそこでいったい何ができるのか?」であった。 そこで筆者とカメラマンは米国に飛ぶ。思い出したのが、米ワイヤード編集長クリス・アンダーソンが言った、電子版の登場で「新しいストーリーの語り方が可能になる」という話だったという。ストーリーの語り方=ストーリーテリング、である。そこで筆者は、雑誌は「物語りを語るもの」であったと気づく。欧米の雑誌には「ストーリー」としか呼びようがないような、「長文の記事が掲載されている」。 一方、日本ではこの意味でのストーリーにはなかなかあたらず、それは、筆者によれば、「雑誌も本も『物語』ではなく『情報』を扱うメディアになってしまった」から。雑誌のみばかりか、あらゆるメディアが「ひたすらカタログ化の一歩をたどった」。 ・・・なるほどなあとしばし、考え込んだ一節である。 筆者は電子端末がいったいどんな「ストーリー」を提供してくれるのかを探るため、米国で様々な人に会う。 実際に米国で電子書籍で本を読んだ人に話を聞くと、実は最後まで読みきった人が意外と少ないことに筆者は気づいた。しかし、最後まで読めた本として挙げられたのが、犯罪もののノンフィクションで、これを出版していたのがTHE ATAVIST(ジ・アタヴィスト)であった。 電子本出版社アタヴィストが新しいのは、普通の雑誌記事としては長いが、一冊の本にするには短い、「シングル」というサイズのストーリーの出版に目をつけた点だ。「雑誌には載せられないような長いノンフィクション記事を、単体で安価に販売する」というアイデアである。当初はうまくいかなかったが、アマゾンが「キンドル・シングル」というセクションを設けたことで、ビジネスが軌道に乗り始める。 出版社側は「雑誌のストーリーがウェブに引っ張られる形でどんどん断片化していく状況に不満を感じている書き手・読者のためにロングフォーム・ジャーナリズムを提供する場を作りたかった」という。 この記事の中でも紹介されているが、英ガーディアン紙も、「ショーツ」というジャンルで、キンドル・シングル向けの電子本をどんどん出している。 http://www.guardian.co.uk/info/series/guardian-shorts 新聞社にはコンテンツがあるから、こういうこともありだろうなと思う。(ちなみに、朝日新聞でもウェブ新書というのを出している。) 次に、「ワイヤード」のWakabayashiさんが出かけたのは、BYLINERバイライナーという電子書籍専門の出版社。現在、3500人のノンフィクションの作家6万件の記事を販売。一つの作品は大体1万から3万5000ワード。それぞれの作品は「雑誌記事でも本でもない、その中間にあるフォーマット」だという。 「ただ本を出して、お客さんが集まってくるのを漠然と待っているやり方はしない」と心に決めていたのだと出版社の人は言う。「わたしたちが扱っているノンフィクションに興味のある読者を、こっちに集める」。ある作家に興味のある読者が集まってくることで、コミュニティーが成立する。そこに向けて、出版社は直接、商品を投下する、と。「読者と書き手をここで結びつけることで、ひとつのエコシステム」ができるようにしたかった、と。 このシリーズで最後に訪問したのは、TED BOOKSのジェームズ・デイリー。デイリーはもと「ワイヤード」の編集長だったそうだ。TEDはご存知の方も多いだろうが、「1984年に始まった非営利組織」で、広める価値のあるアイデアを広く知らしめることを趣旨に、世界中で会議を開催してきた。これまで、その活動は主に「講演会」だったが、昨年から、読み物を制作しだした。 TEDの趣旨は「新しくてエキサイティングなアイデアをスピーディーに広める」ところにあるが、「通常の出版の形態の中でやるのは難しい」。講演だけでは物足らないが、「専門書をちゃんと読む時間もない」読者に、「シングルのサイズ感はぴったり」。 この箇所、本当に、個人的にもうなずける。自分が読み手、書き手、買い手、情報の収集者であるとき、「簡単な解説書はないかな」、「編集者の手を通って、正統性があり、かつ本ほどは長くないもの」がほしいと何度も思う。また、書き手ということに限れば、「この件に関しては、詳しいんだけれど、一冊の本として出すには時間と手間がかかりすぎる」、「世の中にすぐに出したいのに(=情報が広がる、かつ生活の糧になる)」と思うこともしばしばである。 記事に戻れば、電子書籍だからといって、「書き手が書いた原稿がそのまま商品になるわけではない」「制作のプロセス、クオリティーは『本作り』のプロが管理する」という。これもいいなあ、と思う。 何人かの作家の方が、最近ネット上で書いていたけれど、書き手が見出しも含めてほぼすべてを書いて、ほぼそのまま本になっているように見える場合でも、やはり、いったん、編集者というか、他者の視線が入っているのは大切だし、より質が向上するのは真実だと思うからだ。 ご関心のある方は、上記のアドレスからじっくり記事を読んでいただきたいが、この「シングル」、あるいは「ショーツ」がーーーかつ、短いだけではなく、ある程度長く、しっかりと内容のあるものがーーアマゾン・キンドルの日本語版開始で、花開くといいな、と思う。 2012年 02月 10日
「ワイヤード」という雑誌をご存知の方は多いだろうと思う。
私自身は最近、知人に勧められてネット上で「ワイヤード・ジャパン」の記事を読むようになった。テクノロジーのみならず、ものの考え方について教えられるような、多くのトピックに出会った。私が今住む英国では英国版「ワイヤード」があって、米国には本家「ワイヤード」が出ているのだけれど、日本語版は記事が厳選されているのか、あるいは編集がうまいのか、自分自身にとっては参考になる記事が多かった。 そこで、思わず、いくつかをクリッピングしたのだが、どこに感動したかの記録を自分でも書きとめておこうと思い、ブログにつづることにした。(「ワイヤード・ジャパン」から宣伝料をもらっているとか、そういう関係では一切ないので、念のため。) まずは、MIT(米マサチューセッツ工科大学)メディアラボの第4代所長となった、伊藤穰一氏のインタビュー(2011年4月28日付)。少々前の記事であるのをご了承願いたい。 伊藤氏は: 2010年に辞任したFrank Moss氏に代わってMITメディアラボの所長を務めることになる。メディアラボは、1985年にNicolas Negroponte氏によって創設された。Negroponte氏は、『Wired』誌の創刊当初に重要な役割を担った人物でもある。 という。 そして、「伝統的な科学では、ひとつの専門を深く研究するように教育され」るが、専門と総合のバランスについてはどう考えるかを聞かれた伊藤氏は、こうこたえる。 「望ましくないのは、全部の新聞の見出しを読み、他の人が消費するような内容を消費して、自分をジェネラリストと呼ぶような人です。それでは役にたちません。そういった人は、他の誰もがすでに知っていることを知っているだけであり、おそらくは同じ考えを思いつくだけでしょう」 シリコンバレーについての見方にもはっとさせられた。同氏によると、「現在のシリコンバレーは、あえて危険に挑戦することや機敏に行動を起こすことには本当に長けていますが、長期的視野にたって行動するのは苦手です。その原因は、ベンチャー・キャピタルの本質から来ます。公的な市場の圧力により、売上を第一に考え、早い段階で勝負を挑んで成果をあげ、さっさと退散せざるをえないのです。だから、素晴らしいことを思いついて成功をおさめたとしても、すぐに売上を上げることに意識を集中することになるのです」。 アップル、フェイスブック、グーグル、あるいはツイッターでもいいが、米国のいまやとても大きくなったビジネスについて、日本での論調を見ていると、「xxxはすばらしいが、でも、まだ黒字化できていない」という落ちがよくつくのに気づく。もちろん、黒字化して、ビジネスが拡大するのはすばらしいのだが、「お金をもうけられたかどうか」で、最終的な判断をしてしまうのが、何ともつまらない思いがしていた。つまり、お金がもうかったかどうかの部分よりも前の、新しいサービスなり、プラットフォームなり、コミュニケーションの仕方なりを思いつき、これを誰もが簡単に利用できる形で世に出したことーーこれこそがすごいことなのにな、と。 少し話を広げれば、10年前に日本に住んでいたとき、新聞やテレビのニュースで、いつもトップのほうにあったのが経済関係の話だった(ように思う)。たとえば、1面トップの大事件といっても、大企業が官庁に大きな賄賂を払っていたとか、何かしらお金にかかわる話が大きく扱われていた印象がある。いつしか、自分の中に、「経済=世の中でもっとも重要なこと」という意識が刷り込まれ(重要なことであるのには間違いがないとしても)、たとえば徹夜して働いたという会社の同僚や先輩の話が、尊敬の思いで社内で語られることを普通に思い、びしっとスーツで決めた、働く女性・男性が格好良く見えたりした。 英国に来て、あれ?と思ったのは、経済以外にももっと面白いことや重要なことがある、ということ。たとえばそれは国際関係かもしれないし、文学かも、あるいは人権擁護かもしれない。移民問題かもしれない。あるいは有名人が何を着ていたか、かもしれない。いずれにしろ、「経済=国の、そして国民の最優先事項」ではない(すくなくとも、「ではないかもしれない」)・・・これがじわじわと分かってきた。 話は飛ぶようだが、そこで伊藤さんのインタビュー記事を読んで、「ふむ」と思ったのだった。もっとも、伊藤さんは米国の読者を想定して話しているわけだけれども。「新聞の見出しの全部を読む」=「同じようなことを考える」ことにつながる、という話や、「素晴らしいことを思いついて成功をおさめたとしても、すぐに売上を上げることに意識を集中する」ことで、失うものもあるのだろうな、など。頭の体操として、含蓄がいっぱいと感じた。 MITメディアラボ新所長、伊藤穣一氏に聞く http://wired.jp/wv/2011/04/28/mit%e3%83%a1%e3%83%87%e3%82%a3%e3%82%a2%e3%83%a9%e3%83%9c%e6%96%b0%e6%89%80%e9%95%b7%e3%80%81%e4%bc%8a%e8%97%a4%e7%a9%a3%e4%b8%80%e6%b0%8f%e3%81%ab%e8%81%9e%e3%81%8f/ 2012年 02月 06日
英国で初の女性の首相で、11年にわたる長期政権を維持したマーガレット・サッチャー(在任1979-90年)の伝記映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」(原題「The Iron Lady」)が、1月上旬、英国で公開となった。英国でもっとも著名な首相経験者の一人の伝記、しかもサッチャーを演じるのは、2度のアカデミー賞受賞経験がある、米国の名女優メリル・ストリープとあって、公開前から話題が沸騰した。日本でも3月16日からTOHOシネマズ日劇などで全国上映される。
これを機会に、月刊「メディア展望」(新聞通信調査会発行)2月号に出した筆者原稿に若干補足したものが以下である。 元首相を知る人々にとって衝撃だったのは、映画がサッチャーを認知症に苦しむ、孤独な老女として描いたことであった。亡夫デニスが登場し、これを現実と錯覚するサッチャーが夫と会話しながらこれまでの人生を回想する設定だ。 数々の政治的業績がフラッシュバックのように流れるが、じっくりとは描かれておらず、政治家の伝記映画であるにもかかわらず、「政治的要素に欠ける、不思議な映画」(ガーディアン紙、1月8日付)と評された。サッチャーがまだ存命中に認知症の老女として登場させるのは残酷とする声も出た。 しかし、サッチャー支持者も非支持者もおおむね認めるのがストリープの名演技だ。「信念の政治家」として、国民や内閣の反対にもかかわらず、自分が正しいと信じる政策を貫いたサッチャーの最盛期や年老いた現在の姿を、発声から顔の表情の一つ一つ、身体の動かし方まで生き生きと再現してみせた。政治映画としての評価はまちまちだが、人間ドラマとしての評価は一様に高い。 ー欧州問題に影落とす サッチャーが首相の座を降りてから20年以上(訂正変更、2月13日)経つが、その「遺産」は現在でも政治や社会の様々な局面で顔を出す。 その具体例の1つが英国の対欧州政策である。1980年代、EC(欧州経済共同体、後の欧州連合=EU)は域内での市場統合、さらには通貨統合から政治統合へと向かう動きを議論していた。サッチャーは通貨統合への環境整備となる欧州為替相場メカニズム(ERM)への参加や、その先の政治統合に対し、強く反対の姿勢をとった。その強硬な反欧州の姿勢に加盟賛成派のローソン財務相が辞任し、同じく賛成派で長年サッチャーに忠誠を尽くしてきたハウ外相が実質的な権限がない副首相に更迭された後、90年11月、辞任した。ハウは議会での辞任演説で強い口調でサッチャーの独善的政治手法を批判。その演説から2週間もしないうちにサッチャーは首相の座を失った。 「過激なほど反欧州の右派政党」―そんなイメージが、その後も保守党について回った。サッチャーを引き継いだメージャー政権を経て、1997年、18年間の野党生活の後に成立したブレア労働党政権は、当初、親欧州の姿勢を見せた。しかし、EUの共通通貨ユーロへの参加を見送ったことで、欧州との間に一定の距離を置く、相変わらずの政治姿勢となった。 2010年発足の連立政権で首相となったキャメロン保守党党首は、昨年末、欧州債務危機を収拾するための欧州理事会会議で、財政安定化に向けての基本条約には参加しないことを決めた。ドイツ、フランスの両国はEU27カ国全体の合意となることを望んだが、英国が反対したためにEU条約の改定とはならず、一部関係国間での合意を目指すことになった。 この一件は英国では「キャメロンが(条約改定に向けて)拒否権を発動した」と報道された。交渉に参加した27カ国中一国のみ合意しないという状況は、キャメロンが「国益のために合意しないことにした」と説明すればするほど、反欧州強硬派サッチャーの影が色濃く見えるようであった。サッチャーはEC農業補助金にかかわって割戻金を獲得するなど、自国の利を最優先したからだ。 もともと、独立独歩の精神が強い英国民の中にはEUへの不信感が強く、「欧州懐疑派」が少なからず存在する。1対26カ国という結果になったことで、キャメロンの交渉手法は「稚拙だった」という声が政界、メディア界では強かったものの、「拒否権発動」以来、キャメロンおよび保守党の支持率は上がっている。保守系歴史学者ニール・ファーガソンは「英国がEUから脱退しても問題はない」、「むしろその方が経済的、政治的に好都合」と何度となく述べ、一定の支持を得ている。 欧州の債務問題の解決に時間がかかり、フランスをはじめとしたユーロ圏数カ国の格付けが下がる中、ポンド維持の強みが日々、顕在化している。めぐりめぐって、欧州統合には一定の距離を置くのが得策として、「やっぱりサッチャーは正しかった」という結論が出ないとも限らないこの頃だ。 ―国を二分した首相 サッチャーの「鉄の女」の映画公開日、イングランド北部ダービシャーで数十人の元炭鉱労働者たちが抗議デモを行った。プラカードの一つには「真の鉄の女たち」と書かれていた。映画は「サッチャーが男性優位の既得権を持つ層に勇敢にも立ち向かい、男女同権運動の主導者であったかのように描いている」が、これが「まったくの虚構だ」ということを訴えたかったという。 サッチャーは国営企業の大規模な民営化を続々と実行し、労働法の改正によって労働組合を改革した。公営住宅の払い下げによる住宅取得を奨励して中流階級の拡大を目指す一方で、採算の取れないビジネスとなっていた炭鉱を閉鎖し、大量の失業者を生み出した。イングランド地方北部、スコットランド、ウェールズ地方は、炭鉱閉鎖や製造業の衰退でもっとも大きな影響を受けた地域である。住民は、サッチャー政権が貧富の差を拡大させたことを忘れていない。 現在、キャメロン政権は政府債務の削減に躍起で、緊縮財政を実行中だ。大幅な公的部門の雇用削減や地方自治体の予算削減で打撃を受けやすいのが、官の雇用の比率が高いイングランド北部だ。ロンドンがあるイングランド南東部と比較して、北部は失業率が高い。英国の中で南北に経済格差がある状況は数世紀にわたって変わらないが、人々の記憶に残っているのは、サッチャーの自由主義的経済政策が失業や貧困などの痛みをもたらしたことだ。 北東部での雇用創出のために、「人権擁護の面では不十分な(外国の)政権」にも、「武器売却を行う」必要性があるー。昨年末、こうした言及がある書類も含め、1981年以降の様々な政府の機密文書が一般公開の運びとなった。 武器売却にかかわる一連の書類を分析したBBCラジオ4の特別番組「UKコンフィデンシャル1981」(昨年12月30日放送)によると、イラン・イラク戦争(1980-88年)時に、英国は戦争には加担せず、中立であること、両国どちらにも弾薬などの殺傷兵器を売却しないなどの取り決めを政府として掲げていた。しかし、「大きな市場となる可能性」(政府筋)から、「殺傷兵器」の定義を「できうる限り狭める」ことを、サッチャーのお墨付きで、政権内で極秘に合意したという。 「中立」の立場から表立って武器売却ができない状態にいた英国に、イラク・フセイン大統領から「英国製戦車を補修してほしい」と依頼が来る。元は英側がイランに売った戦車だったが、これを戦争中にイラクが獲得したのである。しかし、直接イラクに出かけて補修するわけにはいかないので、第3国としてヨルダンを選んだ。ヨルダンでの補修はまもなくイラクでの作業に取ってかわり、武器売却ビジネスが拡大してゆく。 2003年、ブレア首相が米国とともに攻撃を開始したのはフセイン政権下のイラクであった。何とも皮肉なめぐり合わせだ。サッチャーが撒いた種から育った風土や仕組みの中に、現在の英国民の生活がある。(終) 新聞通信調査会ウェブサイト http://www.chosakai.gr.jp/index2.html 2012年 02月 01日
英国では、昨年秋から、「レベソン委員会」の公聴会が続いている。
これは、英大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」(「NOW」、2011年夏廃刊)による電話盗聴事件の反省を機に、新聞業界の文化、慣習、倫理を検証するために立ち上げられた独立調査委員会で、委員長のレベソン控訴院裁判官の名を取って、通称「レベソン委員会」と呼ばれている。 言論・報道の自由を確保しながら、高い倫理基準を維持するためにはどんな規制・監督が必要なのかを模索中だ。 1月末時点での論点を以下に整理してみた(「新聞協会報」1月31日号掲載分に補足)。といっても、非常にたくさんの論点が出ている公聴会なので、以下は電話盗聴事件に直接かかわる話を中心にまとめてみた。(続報を後で出す予定です。) ―150人超が証言 電話盗聴事件とは、NOW紙の王室担当記者と私立探偵が王室関係者の携帯電話の留守番メッセージを違法に聞いていたことから、2007年、両者が実刑判決を受けた事件だ。 その後、公判で明らかにされたよりはるかに大規模な盗聴だったことが判明し、昨年7月、同紙の廃刊にまで発展した。当初、盗聴行為のほかの犠牲者を警察は捜査しておらず、NOW紙の発行元ニューズ・インターナショナル社と警察との癒着の可能性も指摘された。 昨年11月から本格的に始まったレベソン委員会は、4段階で進行中だ。 第1段階は新聞界と国民との関係や、違法な取材行為に焦点を当て、第2段階は新聞界と警察との関係、第3段階は政界との関係を検証する。報告書の提出が第4段階となる。検証作業は今年9月までに終了し、その後1年以内に報告書を出す予定だ。現在は第1段階の終わりにあたる。 これまでに証言を行ったのは、プライバシー侵害の犠牲者となった著名人に加えて、新聞経営者、記者、編集長、私立探偵、放送業界経営陣、人権擁護団体の代表者など、150人を超える。証言者は冒頭で真実を語ると宣誓することが義務付けられている。証言の様子は委員会のウェブサイトを通じてストリーム放送で視聴できる。動画、証言内容を書き取ったもの、証言者が提出した関連書類は、証言日の翌日にはサイトを通じて視聴・閲読できる。(タイムズやガーディアンをはじめ、英国の新聞の編集長がどんな顔で、どんな話し方をするのかという人間観察や、編集現場の様子など、なかなか面白いです。) http://www.levesoninquiry.org.uk/ ―「公益」とは何か NOW紙廃刊の直接のきっかけは、昨年7月上旬、2002年に失踪した当時13歳の少女の留守電のメッセージにNOW紙記者らがアクセスし、一部を削除していた、とするガーディアン紙の報道だった。 委員会に召喚された少女の母親は、娘の留守電のメッセージを聞いたところ、古い伝言が削除されていたために少女がまだ生きていると錯覚し、望みをつないでいたと述べた。ところが、ガーディアン紙の報道で、消していたのは少女ではなくNOW紙の関係者であったことを知り、衝撃で「3日間、不眠になった」という(後にNOW紙側は削除については否定。ガーディアンは、「アクセスはしていたが、削除については可能性があるという意味」と事実上の訂正記事を出した)。 ベストセラー小説「ハリー・ポッター」で知られる作家J.K.ローリング氏は、子供を出産後、パパラッチに追跡され、自分の家にいても「人質のような心境だった」と語った。俳優ヒュー・グラント氏は元の交際相手とのけんかがある大衆紙によって報道されたのは「電話盗聴以外に考えられない」と述べた。また、ポルトガルで家族旅行中に失踪した3歳の少女の母親は、喪失した悲しみをつづった日記をNOW紙で公開された時、「プライバシーをひどく侵害された思いをした」と語った。この記事を担当したNOW紙の元記者も召喚され、「掲載は間違いだった」と母親に謝罪した。 しかし、著名人あるいは話題になった人物に「プライバシーなどない」とする大衆紙関係者もいた。元NOW紙特集面担当のポール・マッカラン氏は「著名人を追いかけるのが楽しかった」「プライバシーは悪だ。誰も必要としていない」と述べた。 1980年代に大衆紙サンの編集長だったケルビン・マッケンジー氏も、「プライバシー侵害についてまったく考慮しなかった」「ネタがなければ、『作った』」と述べ、事実関係の信ぴょう性が薄いネタを記事化していたことを示唆した。 数々の証言から浮かび上がってきたのは、情報を得たい人物になりすまして情報を取る行為(「ブラギング」)、コンピューターへの違法アクセス、ネタの売買など、違法行為あるいは倫理上首をかしげるような取材方法が新聞界で広く実施されていることだった(決して、きれいごとではないのだ)。 ただし、高級紙関係者は通常の手段では入手できない情報を「公益のために」取得するため、例外として特殊手段を講じる場合があると説明したのに対し、複数の大衆紙関係者は「公益」を「多くの読者が知りたがっていることにこたえること」であると定義した。 ―PCCでは不十分 報道の自由と高い倫理基準とを両立させるには、新聞社によって構成される、英報道苦情委員会(PCC)のみでは十分ではないという点では多くの証人がほぼ一致した見方を示した。PCCは新聞界の監督機関として実質的には機能しておらず、電話盗聴事件の解明にも積極的に関与しなかった。 放送界には、規律・監督機関として情報通信庁(オフコム)が存在し、報道番組は「中立であること」を求められる。放送基準を逸脱すれば、罰金を科す権限も持つ。 新聞界の監督機関の在り方に関しては、「違反行為には罰金を科せるほどの強い権限を持つ、独立規制機関を新たに設置するべき」(フィナンシャル・タイムズ編集長)といった意見や、「規制の法制化は居心地悪い」(タイムズ編集長)、「PCCに調査機能を備えさせ、報道に関する苦情処理は仲裁機関を別に作るべき」(デイリー・テレグラフ編集長)など、さまざまな意見が出た。 自主規制の伝統が強い新聞界では、規制・監督機関が業界の外で発足することへの大きな抵抗感がある。しかし、その結果違法の取材行為が慣習化し、倫理の低下が起きたとすれば、何らかの新たな方法が必要となろう。 BBC経営陣トップ、マーク・トンプソン氏は、1月25日の委員会の証言で、「オフコムによる規制があっても、高い水準のジャーナリズムを追求することは十分可能」と述べたが、「それでも、新聞界にそのままオフコムのような組織を移植してもうまくいかないのではないか」と述べた。 2月中旬から始まる第2段階の調査では、警察と新聞界との関係を解明することを狙う。NOW事件の背後にあるメディアと権力との癒着にメスが入るとすれば、調査は「いよいよ正念場に入る」(ロンドン・シティ大学ジャーナリズム学部教授ジョージ・ブロック氏談)ことになる。 < 前のページ次のページ >
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