小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「なぜBBCだけが伝えられるのか」(光文社新書)、既刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)など。


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グーグルこぼれ話・追加情報⑤非グーグルの世界と未来のサーチ

 コメントを残された方も指摘していたが、日本も含めて、グーグルが検索エンジンとしてはトップではない国が世界にはある。こうした国での検索エンジンのシェアをフィナンシャルタイムズの9月16日付けがグラフにしている(The non-Google world)。元々は米コムストアの調べ。中国、ロシア、韓国、日本、チェコのグラフである。

http://www.ft.com/cms/s/0/4fddc05e-841e-11dd-bf00-000077b07658.html

 グーグル・サーチの未来に関しては、創立10周年ということで、グーグルのオフィシャルブログにThe future of Search (by Marissa Mayor, VP, Search Product & User Experience)というエントリーがある。

http://googleblog.blogspot.com/2008/09/future-of-search.html

 コンピューターでキーワードを打ってサーチするのは煩雑すぎるのではないか、と、ブログの書き手マリッサ・メイヤー氏は問いかける。友人との会話の中に出てきた言葉を拾って、これをあっという間にサーチしてくれるようになればいいな、と彼女は思っている。サーチエンジン自体は探す人のニーズに合うように常時変化しており、いわば「まるで友人のように、あなたのことを知っている」存在になる。あなたの居場所や、誰に会ったか、どんな好みを持つかを、サーチエンジンが知れば知るほど、あなたに最適の検索結果を探し出せる、というわけである。最高の検索エンジンとは、「世界中の事実に瞬時にアクセスでき、あなたが見たり知っていることをまるで写真のようにはっきりと記憶している、あなたの親友」である。やや薄気味悪いと思う人は多いのではないか?

 さらに、コンピューターや携帯電話でなくて、「まだ開発されていないが、あなたの身に着ける装置」が検索をしてくれる様子を思い描いている。これは一種の人工知能ではないだろうか?

 ・・・ということは他の人ももう既に指摘しているのだろうけれども、そういう方向にグーグルが向かっている、向かわざるを得ないことを公式ブログで読んで、改めて「これは一体どうなるのか?」と思った。また、これがグーグルという一社がやると考えると懸念が出るが、一つの公的サービスになっていく・・・としたら、どうなのだろう?それでも今のところは不快感が出るが。何故不快に思うのか、という問いも出てくるだろう。

 グーグルを考える時、この会社自体の将来というよりも、「グーグル的存在」つまりはデジタル社会がどうあるべきかという問いに関して、私たちは考えることになるのだろう。
by polimediauk | 2008-11-18 19:22 | ネット業界