小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「なぜBBCだけが伝えられるのか」(光文社新書)、既刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)など。


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ビデオ・サービス「カンガルー」の実施、先行き暗し?

 BBCワールドとチャンネル4、ITVが協力して提供する、「カンガルー」と呼ばれているオンデマンド・サービスの実施の先行きがやや暗くなった。3日、「競争委員会」が中間報告を出し、新サービスが英動画市場を独占化する懸念があることを指摘した。最終結論が出るのは来年の2月で、カンガルー参加企業は提供するサービス内容の変更を求められている。例えば、放送から一週間までの番組をもう一度見れる「キャッチアップ」サービスなど。

http://www.paidcontent.co.uk/entry/419-breaking-kangaroo-will-be-anti-competitive-commission-says/

http://www.guardian.co.uk/media/2008/dec/03/project-kangaroo-competition

 カンガルー側は当初、今月からベータ版のサービスを開始する予定だったが、1月以降にずれこんでいる。さらにずれ込む可能性が出てきたが、どのようなサービス内容になるのか、不透明になってきた。

 オンデマンド市場はどんどん変化を遂げている。チャンネル4がキャッチアップサービスを始めたのは2006年末からだったと思うが、見逃した番組をもう一度見れるだけでなく、番組放送と同時にネットでも見れるサービスも段々広がっている。カンガループロジェクトを推進してきたBBCのアシュレー・ハイフィールド氏は既にマイクロソフトに転職してしまった。大人気のBBCアイプレイヤーの実現化にも大きな貢献をした人だが、待ちきれなかったのだろうか?

 〔今日から、ブログ内の検索機能をつけてみましたので、「カンガルー」に興味のある方は、使ってみてください。)
by polimediauk | 2008-12-03 23:32 | 放送業界