小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「なぜBBCだけが伝えられるのか」(光文社新書)、既刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)など。


by polimediauk

走り書きー銀行、ジョナサン・ロス

 いくつか、気づいたことのみの走り書き。

 ーフェビアン協会でのピーター・マンデルソンはやっぱり「役者」で、根っからのニューレイバーだ。「金持ちへの高額税金は反対」が本音のようだ。

 ー保守党のフロントベンチにケネス・クラークが戻ってきた。マンデルソン同様、ビジネス大臣らしいので、対マンデルソンというのもあるのだろう。いつ総選挙があるかは分からないが、実質的に選挙戦は始まっている。

 ー英国の銀行の支援策第2弾が発表された。とにもかくにも銀行がもっと貸し出しをしてほしい、ということだ。ずい分ごり押しだ。私が心配になるのは、つじつまの合わない面があることだ。これだけ「不況」、人員削減が起きている中で、銀行がお金を貸したがらないのはある意味まともではないか?かつ、自己資本率を増やせ、といわれているのだから。ブラウン首相の選挙対策の一環という意味もあるだろう。何かをやっているように見せないといけないのだから。「悪い資産」を買い取る、という話もあるが、日本の例を振り返れば、「悪い資産」というのは線引きがものすごく難しい。前に日本である外資系金融のエコノミストの人に取材したとき、「不良債権の金額はどうしても分からなかった。不可能だった」と聞いた。

 -そろそろ、英テレビ界の将来を左右するレポートが2つ出る。1つは通信団体オフコムが出す、「公共放送の未来」に関する報告書。もう一つは、政府が出す、「デジタル英国」の将来図を描いたもの。BBCは受信料を他局と分けたがらない。チャンネル4は分けて欲しいと思っている。溝が埋まらない。チャンネル4とファイブ(別の放送局)との合併案も報道されたが、チャンネル4は否定している。BBCが自分勝手に見えて仕方ない。

 -今週金曜日(23日)夜、ジョナサン・ロスがテレビに帰ってくる。BBC1の夜のトーク番組の人気司会者でタレントだ。「留守番電話事件スキャンダル」で謹慎状態になっていた。出ても謝罪する必要はないとは思うが、ゲストが楽しみだ。トム・クルーズや英国の才人スティーブン・フライが出るらしい。オバマに関するジョークが必ずあるはずだ。ジョナサン・ロスの給料は高すぎるとは思うし、BBCでなくても、どこのテレビ局に出ようが視聴者からすれば関係ないのだから、BBCは高い額を払う必要はないだろう。

 -ロシア人富豪がイブニング・スタンダード紙の新しい所有者になるようだ。氏はロシアのリベラルな新聞も所有していると言う。ロシア人が・・・というのが時代の流れのような気がする。

 -・・・とにかく、オバマである。これから2日ぐらいは英メディアはオバマ一色になる。すると、「関係ない」というひねたコラムニストもきっと出てくる。何だか今から予測できてしまう。
by polimediauk | 2009-01-20 02:29 | 英国事情