小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「なぜBBCだけが伝えられるのか」(光文社新書)、既刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)など。


by polimediauk

イランに関するイベント他

 イラン革命から30年ということで、様々なテレビ番組が放映されたり、イベントが開催されている。

 イランのことに詳しい人には「そんなことは分かっている」という内容なのかもしれないが、BBCが放送している三部作「イランと西洋」(Iran and the West)を見ると、いかにイランと米国がボタンのかけちがいをして数十年を過ごしたかが分かる。イランによる米国人人質事件がこれほどの影を米政治に落としているとはー。

 特に驚いたのは、第1回目で、人質解放のために努力を続けたカーター元米大統領によるイラン側との交渉が、次の大統領レーガン氏の就任式当日まで行なわれていたことだった。結局、最後の最後、就任式が終わった直後、つまりカーター氏が大統領ではなくなった時に解放交渉が成立した。何としてもカーター氏の手柄にしたくなかったかもしれない。

 番組は英国に住んでいる人であれば、BBCアイプレイヤーで見れるほか、幾度か再放送がある。2月21日に最後の回が放送される。

http://www.bbc.co.uk/programmes/b00hmrvt

http://www.bbc.co.uk/programmes/b00htnkq

 次期大統領選に立候補する予定のハタミ氏のインタビューもある。

 この番組のプロデューサー、ノーマ・パーシーさんに聞いたところ、NHKでも2月中位に放映されるようだ。日にちは分からないが、NHKに映像を送って放映のOKが出たと聞いた。

追記:イランと革命のドキュメンタリーは、NHKBSで2月23日から27日まで、放映されるそうですね。最後まで見た感想は、やや米国と言うか欧米寄りだったかな?という感じもしました。特に最後の回で、英国がいかにイランに妥協させながらも制裁を解除しようとしたかという件の説明があって、「イランはこれを振り切った」というニュアンスで、突然終了します。もう少し見たかった感じがします。ロシアとか中国は一体どう関与していたのかも気になります。プーチン氏も一瞬出ます。少々真面目すぎる感じもあるんですけど(息を抜くところがない)、おもしろいです。ワインでも飲みながら、ご鑑賞ください。

 上の番組がおもしろいと思っていたら、もっとおもしろいのがあった。同じくBBCで放送されたのだが、「イランと英国」Iran and Britainという題だ。英国では23日の午後7時半から再放送される。

http://www.bbc.co.uk/programmes/b00hq1w7

 イラン在住のジャーナリストが取材したもので、イランでは「アンクル・ナポレオン」という小説+テレビドラマ(70年代に放送)が人気だそうだ。これは、1940年代の設定で、何でもかんでも「物事の裏には英国人が関与している」という妄想に取り付かれた男性の話。コメディーだが、こうした感情は、イラン人の多くに根付いていると言う。20世紀初頭からの英国のイランへの関わりを辿ると、植民地化はされなかったものの、英国とロシアの勢力争いの舞台になったり、石油産業(後国有化)で割を食ったりと、英国はずい分と「裏で操る」ことをしたと感慨深い。

 少々先になるが、3月3日、グローバル・ポリシー・インスティチュートというシンクタンクが、「オバマ政権とイラン」という題でイベントをロンドンで開く。午後5時から。http://www.global-policy.com/ 出席にはメールで登録する必要がある。
by polimediauk | 2009-02-16 21:57 | 政治とメディア