小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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オバマと会った英首相、英国の拝金主義

 オバマ米大統領とブラウン英首相が会い、「特別な関係」を再確認したそうだ。スペシャル・リレーションシップだ、と。

http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk_politics/7918345.stm

 どうも先日の日米首脳会談の時と非常に似ている。いろいろなことを、「再確認」しあい(英側が)、心を落ち着かせている。片思いの相手のような感じのそぶりである。英側としては一生懸命やるわけだが。

 ブラウンーオバマの場合、会談の後、会見はナシ〔注:通常の壇上に立って、と言うスタイルではなし。部屋に記者団を呼んで、質問を受け付けると言う形でした)。なんだか本当に顔合わせ的な感じである。4月2日のG20サミット(ロンドン)でまた会いましょう、と。

 例のRBS銀行の元CEOグッドウインさんへの年金額は、当初65万ポンドぐらいと言われていたが、今は70万ポンドを超えるといわれている。昨年秋、銀行救済を巡り政府との交渉があり、グッドウイン氏が辞任・退職となった時、どうして政府担当者が巨大な年金に気づかなかったのだろう?それが不思議だ。というより、知らなかったらおかしいのだ。

 日本では同じことが起きるだろうか?つまり、公的資金を注入した銀行を辞めた幹部が、巨額年金をもらうことになって、政府から圧力があっても、「減額しない」ということが?・・・というのは反語であって、やはり「世間に申し訳ない」とかいろいろな理由で、減額に応じるというか、自分から減額するのではないか?こういう「頭を下げる」というか、「気配を察知して行動する」というのは、日本人のいいところだと思う。外に住むと、日本人の正直さ、潔癖さが妙に懐かしい。やりすぎる時もあるのかもしれないけれど(世間の目を気にしすぎる?)

 英国はビジネスマンも議員らもこういう点が(悪い意味で)すごいなあと思う。拝金主義というかー。昔(1960年代)、スキャンダルがあって、議員を辞任した、プロヒューモという人がいるのだけど、辞任後、表舞台から姿を消し、チャリティー事業に専念した。最初の仕事は、チャリティー団体の事務所のトイレの掃除から始めたそうだ。こういう人は非常にめずらしい。英国人が拝金主義になったのは、サッチャー以降と言われている。

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 (ピアニスト南野陽子さんが異文化の中で暮らす心得などをつづるコラムが入った「ニューズマグ」も、良かったら、ご覧ください。)
http://www.newsmag-jp.com/
by polimediauk | 2009-03-04 08:46 | 政治とメディア