小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


by polimediauk
プロフィールを見る
画像一覧

日本の性暴力ビデオ?

 今、日本に一時帰国している。「コンカツ」なる言葉の不可解さに驚く。随分と息苦しいことになっている。「『婚活』時代」(ディスカバー携書)は(読むと結構深い)、前提が「女性は男性の収入に頼って生きるもの」という考えだ。子供を産み育てるには結婚しかなく、よってどうやって結婚するかを分析し考えることで、少子化問題も解消される・・・とする。データがたくさん入っており、トレンドを掴んで書いているわけだが、こういう考え方は非常に息苦しい感じがする。

 どうにかして、結婚をあせらなくてもよい、子供があるかないかで人間としての価値を判断されず、過剰な催促もされない社会にできないものだろうか。

 結婚をしている人の多くが気づいているように、夫婦は持ちつ持たれつで、最初から相手に頼ることを念頭に置いて、「条件」を求めてしまうと・・・ずいぶんさみしいことである。

 ・・・なんてことを書いても、少数意見であることは認識している。未婚女性がメディア報道などに変にあおられていないことを、強く願う。

 ニューヨークに本拠地を持つ、「イクオリティーナウ」という国際人権団体が、日本のあるビデオゲームの日本国内での発売を求める抗議活動を始めたそうである。昨日のテレビのニュースで知り、今日の新聞で読んだ。

 読売によると、英国の国会で2月、問題になり、アマゾンが扱いを中止したそうだ。本日付の英国の新聞サイトを若干見てみたが、キーワード検索ではうまく探せなかった。グーグルニュースで探すと米国発が多いので、英国では現在の時点では大きく騒がれてはいないようだ。

http://news.yahoo.com/s/oneworld/20090507/wl_oneworld/world3625201241726596

 問題となっている日本のゲーム「RapeLay」(イルージョン・ソフトウェア社制作とある)のキーワードをBBCサイトに入れてみたら、特に見当たるものがなかった。「国会で問題になった」というのは、どういう流れだったのか、すぐにはわからないが、かねてより、日本を含め暴力的なビデオゲームに対する規制、警戒感が英国を含む欧州では強い。何年も前に、私自身、知人に「日本のビデオゲームでどうしてあんなに残酷なの」と聞かれ、答えに窮した。
 
 なんだか?と思ったのは読売記事ではゲーム会社の名前などが出ていなかった。ヤフー英語に出ていた記事では、「レープレイ」、「イルージョン・ソフトウェア」とあるのだが。「横浜市のゲームソフトメーカーが2006年に売り出した」とは書かれているけれど。

 私はゲームソフトに非常に疎いので、このレープレイが(多くの日本のゲーマーにとって)どれぐらいのレベルのもの(許容範囲かどうかなど)か、判断しがたい。読売記事によれば、内容は「未成年と見られる女子2人とその母親を電車内で痴漢した後にレイプし妊娠や中絶をさせるまでを、コンピューターグラフィックスを使った画像で疑似体験するという内容」だそうだ。

 一種のファンタジーとして「これはこれ」と考えるべきかどうなのか?

 普通に考えれば、「どうしてこういう題材を選んだのだろう」、「一体だれがこのようなトピックを遊びとして扱えるんだろう」?と思うけれど、自分の頭が保守的すぎるのだろうか?英国は未成年を対象とした性行為や暴力に関する規制が厳しい。許容範囲が狭い。児童ポルノの単純所持でもダメだ。(ビデオを見ていないので、これが児童ポルノかどうかはわからないが。)

 今はいろいろなものが世界中で販売されてしまうので、ある国ではOKでも他国では受けいれられなくなる。

 時々、英国で日本のビデオゲームの話が問題になることがあり、ひやっとする思いをすることがある。(記憶が定かではないが、1年ぐらい前に、どこかの教会の内部を、殺りく場面に使ったビデオゲームがあって、教会が抗議をしたという事件があったと思う。)

 日本では4月末、すでに報道済みだが

http://www.asahi.com/digital/pc/TKY200904260151.html

 コナミがイラクのファルージャの戦いをメインにしたビデオゲームの制作を中止させた、ということを書いたブログもあった(5日付)。

http://www.escapistmagazine.com/articles/view/columns/the-needles/6038-The-Six-Day-Surprise

 ゲームはアトミックゲームズというところが制作予定で、コナミが出版社(配給者ということだろうか、パブリシャーとなっていた)だったが、現在までに計画から引きあげることにした、という。コナミの引き上げの理由は、米国から制作に対する懸念が表明されたからのようだ。
 
 「イラク・ファルージャの戦い」とは、ウイキペディア日本語によれば、以下である。

イラク戦争以降の混乱

 ファルージャは、イラク戦争によりアメリカ軍の占領を受け、同盟軍による占領統治ではアメリカ海兵隊が治安維持を担当していた。

 2003年4月28日から、学校に米軍が駐留していることへの抗議デモが起こったが、これに対し米軍が発砲。多数の死傷者が出た。これを米軍側は武装したイラク人からの自衛だとしているが、市民側は投石をしていただけだと主張。

 2004年3月31日、ファルージャで活動中の民間警備会社の社員であるアメリカ合衆国の民間人4人が現地武装勢力に殺害され、遺体が市民によって損傷される事件が起こると、その残虐な映像が世界中に配信された(殺された彼等は、実際は民間人とはいえ、民間軍事会社:ブラックウォーター社の社員(傭兵)であり、彼らのような人間は皆イラク市民の視点からはアメリカ兵と同一視されている)。犠牲者の家族達は、危険な地域に行かせるのに装備が不十分だったと、ブラックウォーター社を告訴している。

 4月、アメリカ軍はその報復としてファルージャの包囲掃討作戦を実行し、武装勢力が潜んでいたとしてモスクを空爆するなどの大規模な攻撃と、都市の封鎖により多くのファルージャ市民が巻き添えになったとみられる。市内の惨状がマスメディアによって報じられると、世界で反米の機運が高まり、三日で作戦中止に追い込まれた。11日から13日の一時停戦までに住民・武装勢力の死者は600人を超え、アメリカ軍にも大きな被害が出た。


 この2004年の戦いを再現するはずのものだったようだ。これをトピックにしてゲームを作ろうとしていた・・・ひやりの瞬間である。
by polimediauk | 2009-05-08 21:52 | 日本関連