小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「なぜBBCだけが伝えられるのか」(光文社新書)、既刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)など。


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チャンネル4が過去の番組4000時間分を無料で開放

 チャンネル4が、過去に放映した4000時間分の番組を無料で見れるようにするそうだ。試験版は6月25日開始で、本格的には7月上旬から。

 チャンネル4の番組は、4ODというソフトを使って、放送局のウェブサイトからダウンロードできるが、放送日からxx日・・と区切らずに、過去の番組=アーカイブとして開放することにした、というもの。4ODはウインドウズのコンピューターのみで使えたが、今度はどのコンピューターでも使えることになる。

 4000時間(約1万の番組)というのは、チャンネル4のこれまでの番組数から言えばほんの一部だが、チャンネル4によれば、放映権などに関わる問題がクリアになったものをこれに追加して、どんどん増やしていくという。無料で見れる、というのが太っ腹である。

 民放最大手ITVは番組アーカイブをどうするのか、まだ計画を発表していない。メディアガーディアンによると、である。ITVとBBC,チャンネル4は、「カンガルー」というプロジェクトを立ち上げて、共通のサイトを通じて無料あるいは有料で過去の番組を見れるようにしようとしたが、今年2月、競争防止委員会から「やってはダメ」ということなって、あきらめざるを得なくなった経緯がある。今は、BT,BBC,ITVで「プロジェクト・キャンバス」を計画しているのだけれども。

 BBCのアイプレイヤーは過去7日間に放送された分のみに限っている。これ以上やるには、BBCトラストという経営委員会のお許しが出ないとできない。しかし、BBCのアーカイブプロジェクトも今進んでいる最中で、今のところいつ公開になるかは未定だ。

 チャンネル4のアーカイブ4000時間にどこまで過去のものが入るのかは分らないが、NHKの過去の番組視聴サービスが額は大きくなくても有料と聞いているし、チャンネル4が「無料」というのは、いいなあと利用者側からすると思う。無料+広告入り、ということになるのだろう。無料にしないと・・・・やっぱりやっていけないのだろうなあと思う。

http://www.guardian.co.uk/media/2009/jun/07/channel-4-back-catalogue-online-free
http://www.guardian.co.uk/media/pda/2009/jun/10/channel4-bbc
by polimediauk | 2009-06-14 05:21 | 放送業界