小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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「銀行は小さいほうがいい」?ジリアン・テットのFT記事

日本から帰る直前、銀行がさらに大きくなるニュースがあったと思ったけれども、確か英国ではもう大きくしないという話が出始めていた頃で、「英米と逆の動きになるのかなあ」と思ってみていた。

 6・19付けのFTでジリアン・テット記者が、銀行の大きさに関して触れている。

When it comes to global banks, size certainly does matter

http://www.ft.com/cms/s/0/2070af96-5c6a-11de-aea3-00144feabdc0.html

 昔は大きくなるのがトレンドで、金融業界の垣根を取っ払って、グローバル・バンクとして通常の預金者を相手にする小売もインベストメントバンク業務もすべてやる・・・という感じだったけれども、例のリーマンの破綻や、それ以前のベアスターンズの危機から、「大きくなりすぎて、破綻でもしたら、もう収拾がつかない」と米英の金融当局あたりが考えるようになった・・・という話。スイス・ナショナル・バンクの次期トップが、国内の銀行に対し、サイズを小さくするようにと指導するかもしれない、といったそうだ。

 イングランド銀行のキング総裁も、金融監督行政は銀行が「大きくてつぶせないように」気を配るべきではないか、といったと。(キング氏はイングランド銀行にもっとパワーが欲しい、とも言っている。銀行を監督するパワーがないのに、インフレを抑えたりすることはできないよ、と。1997年以来の三位体制への文句?BBCのロバート・ペストン記者は「最初は支持していたが、次第に考えを変えたのでは」と分析。)

 テット氏は、今回の金融危機を分析した本を書いている(Fool's Gold)。今読みかけたばかりだが、具体的でとてもおもしろいー今のところは。資本市場のエディターになった時、実はいろいろなことが全く分らなかったのだけれども、自分とは全く風習が異なる世界の場所に行っていろいろな風習を学んでいった時のように、段々と学んでいったそうだ。彼女は長銀から新生銀行への転換を本に書いて、これは日本では評価されなかったと思うのだけれど、今度の新しい本はどうなるだろう。

 日英で金融危機に関する本がたくさん出ていて、すこしだけ私も読んだが、あるとき、日本の新聞社がまとめた本を読んでいたら、突然気づいた。「これは日本を中心にして、書いているな」と。当たり前かもしれないが、「世界の・・・」とかつくと、「海外の話かなあ」というイメージがあった。世界で起きる事象をトピックにして書いていても、それが日本の読者に向けて書く場合、日本のことを中心にして書いているーー例えば、アメリカの経済の話を伝えるとき、日本で読んでいてびっくりしたのは、「円」で表記がまずあること。普通、「ドル」でそれから括弧で「円」かなあと思ったのだが。アメリカの話で、円・・・となると、いつも頭に??がついていたものだった。視点が違うのだ。その点、おもしろかった。
by polimediauk | 2009-06-21 08:24 | 新聞業界