小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「なぜBBCだけが伝えられるのか」(光文社新書)、既刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)など。


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ポッドキャストは最後まで聞かない人が多い、「エコノミスト」の新広告

 英国でポッドキャストを楽しむ人は今年5月時点で780万人。1年前は600万人だったので大きく伸びた(ラジオの視聴率調査団体RAJAR発表)。約420万人が週に一度はポッドキャストに耳を傾ける。しかし、今回の調査で驚きだったのは、録音したものを最後まで聞く人28%だけだったことだ。また、料金を払ってポッドキャストを楽しんだ人は4・5%しかいない。ただし、お金を払ってもいいと答えた人も結構いたようだ。しかし、広告が入ってもいいから無料であって欲しいという人も。

Podcast popularity grows - but only 28% listen to the end
http://www.pressgazette.co.uk/story.asp?sectioncode=1&storycode=43912&c=1

 一方、英エコノミスト誌が、8年ぶりに映画館で上映されるコマーシャルを作ったことが話題になっている。どこかの都市の街中で、赤い綱を渡る男性の奮闘振りが映し出される。以下のサイトから見れる。

http://www.guardian.co.uk/media/2009/jul/02/the-economist-cinema-ad-high-wire-tightrope-walker

 赤い綱はエコノミストを象徴するようだ。男性は身体を揺らせ、今にも落ちるんじゃないかと少し心配させながらも、最後まで無事に渡ってゆく。キャッチフレーズは「Let your mind wander」=あなたの心をさまよわせよう、ぶらつかせよう、の意味だろうか。心を自由に歩かせよう、ということか?ガーディアン記事によれば、綱渡りをする人物は心を楽しく刺激するスリル感を表す、とのことだ。今週から映画館で上映されており、テレビ局チャンネル4でも7日から出る。綱渡りをしている人は、モデルでなく、本当の綱渡り人(Florent Blondeau)だそうだ。

 このコマーシャルは普段はエコノミストを手に取らないような人、でも知的好奇心の高い人向けだそうである。男性の体が左右に揺れるたびに、「世界でいろいろとわけの分らないことがたくさん起きている。逡巡しながらも、解説・分析をしている」というように私には見えたがー。
by polimediauk | 2009-07-04 02:05 | 新聞業界