小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「なぜBBCだけが伝えられるのか」(光文社新書)、既刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)など。


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ソニーの「リーダー」の使い心地は? 英国の例

 ソニーの読書用電子端末「リーダー」は日本ではヒットしなかったと聞くが、何故か英国では人気がじわじわあるようだ。書籍チェーン「ウオーターストーンズ」によれば、昨年の9月からほぼ1年で、約3万台を販売し、10万冊余が端末にダウンロードされたと言う。今年中に米アマゾンのキンドルが発売されると聞いているが、ますますこの市場が伸びそうだ。出版社ランダムハウスの本はアイフォーンにダウンロードできるようになっている(しかし、本を読むには、アイフォーンの画面はやや小さすぎると思う)。

 私はソニー・リーダーを書店で見かけて、手に持った感じが軽くて、字が大きくて読みやすくて、いつか書いたいと思っているが、実際に使った人はどう思ったのだろうと気になっていた。

 今、夏休み中に何を読むか?が知識人の間で話題になっているが、これにあわせたのか、テレグラフ紙に Why not pack an ebook for your holiday(電子ブックを休暇に持っていこう)という記事が出ていた。

 その中でまず、テレグラフのエディターの1人が試したところによれば、「トーストの大きさで、軽い」リーダーには114冊の主に古典的な作品がダウンロードされていた。本を選択するのは簡単で、読むのも楽しかったが、頁をめくる時に、左のボタンを押すので、これがやややりにくい。頁をめくる時、英語の本の場合、通常は右手でめくるからだ。また、頁めくりの時、一瞬、画面が光り、白地の背景に浮かび上がる黒字のテキストが、黒字の背景に白地のテキストに変わるそうだ。これがちょっと気になる、と。また字体がどの本も一緒なのでつまらない。

 児童作家の1人は、欲しい本を探すまでに苦労した。頁を変えるときに左のボタンを押すのもいやだそうだ。また、普通に紙の本を読んでいる時は「あそこにこんな文句があったなあ」と覚えていられるが、リーダーではそういうことができにくい、と。頁をめくる時に画面がいちいち黒くなるのもやはり好まれていない。

 元医師の女性はリーダーを気に入った。夜中にベッドに持っていけるし、次の本を読みたくなったら、起き上がって書斎に行く必要もない。すでにダウンロードされているから、と。また、大きな字であることが高齢の自分にとって都合よく、ソニー・リーダーが欠かせない存在になったというー。やはり一度は手にしたいソニー・リーダー(あるいはキンドル)。本はとにかく重い。書棚のスペースも限られている(私の場合)ので、読書用電子端末はいいなあと思っている。
by polimediauk | 2009-08-07 17:45 | ネット業界