小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


by polimediauk

息子殺しの母とボーイフレンドの顔写真がでかでかと

 今朝(11日)の新聞各紙には、大きな顔写真が2つ載っている。「ベイビー・P」と呼ばれた赤ん坊を虐待死させた事件で、母親とそのボーイフレンドに5月、実刑判決が下っていたが、この2人の身元はずっと伏せられたままでいた。しかし、この2人のケアの元にあったほかの子供たちがそれぞれ養育先を見つけたことで、裁判官が2人の個人情報の報道禁止令を解いたのだ。BBCサイトにも写真が出ている。

 http://news.bbc.co.uk/1/hi/england/london/8194235.stm

 日本の感覚からすると、あまりにも懲罰志向が高いように見える。罪は罪だが、勧善懲悪というか、「悪い人を罰したい」という心情というか欲望(?)を満たすために出しているかのような報道ぶりだ。情報公開や今後の同様の犯罪を防ぐという抑止効果、それに「顔写真や実名などが出ないほうがおかしい」と考えるのは根拠があるとしても、そのやり方があまりにも懲罰的過ぎるように見える。

 実際、実名・顔写真が出てしまったので、この2人が受刑生活を終えて世間に戻ってきた時、同一人であることが分らないように様々な諸策が施される予定だ。例えば名前は別なものになる。健康保険とかそのほか様々な社会保険がらみの情報もすっかり新しいものになるはずだ。顔の様相を変えることもある「かも」しれない。また、報復などによる攻撃から守るため、警備がつくことも考えられる。こうした処理は全て税金でまかなわれる。―本当に驚くことばかりだ。
by polimediauk | 2009-08-11 17:48 | 新聞業界