小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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日曜紙「インディペンデント・オン・サンデー」の下落

 14日、英ABCが新聞各紙の7月の発行部数を発表した。日曜紙の項目を見ると、「インディペンデント・オン・サンデー」の下落振りに驚く。

 11紙ある全国紙の日曜版(日曜紙の全国版と言ったほうが正確だが)の中で、前年同月比及び今年2月から7月の半年分の前年比の両方で増加したのは大衆紙の日曜紙「デイリースターサンデー」と高級紙「サンデータイムズ」のみ。他は軒並みマイナスなのだが、インディペンデント・オン・サンデーの下落が極端だ。

 7月の前年同月比では19.98%減で、半年分の前年比では22.12%減。去年の7月は約20万部だったが、今年7月では約16万部に。まるでがけから滑り落ちる感じだ。これでは作っている方の士気も落ちるだろうし、広告主もいい顔はしないだろう。
 
 何だか薄くなったように感じられるインディペンデント・オン・サンデーで、やや寄せ集め的記事もあちこちに見られるけれど、まだまだ面白い記事がたくさん載っている、しっかりとした新聞なのに、何故これだけ極端に落ちているのだろう。「インディペンデント」というブランドが行き場をなくしているのだろうか。英国はやはり保守メディアが強い国、ということになるのかどうか。少なくとも、支持する読者がどんどん減っている。あるいは市場が飽和しているので、お金を使って(情報を買って)特ダネをとれるところでないと生き残れないのか。このままだとなくなってしまいそうだ。ちなみに、ガーディアン・メディア社が発行する、閉鎖の噂がある日曜紙オブザーバーだが、7月の発行部数は約40万部である。

http://www.guardian.co.uk/media/table/2009/aug/14/abcs-sundays-july-2009
by polimediauk | 2009-08-18 15:50 | 新聞業界