放送業界

マードックがWSJモバイルの有料化へ+エディンバラテレビ会議(下)

 ルパート・マードックが、ウオールストリートジャーナルのモバイル版(ブラックベリーやアイフォーンなどスマートフォーンで読める分)を有料化する、と述べた。来月からいよいよ有料化となる。すでにWSJの電子版あるいは紙版の有料購読者になった人は、継続して無料で読める。そうでない人は、年間104ドル(約1万円相当)。このサービスを手掛ける人のインタビューはご参考として下に。

http://paidcontent.co.uk/article/419-interview-handmark-ceo-paul-reddick-on-making-murdochs-wsj-mobile-app/

 なんとも素早い動きである。「やる」と言ったら、どんどん進んでいく。ただ、有料制と言っても、一本も読めなくなるのかどうか???である。PCのウェブでは読めても、携帯ではまったく読めなくなるのかどうかーたとえばスポティファイみたいに。無料音楽ダウンロードソフトのスポティファイはアイフォーンではプレミアム会員(毎月一定額を払う)にならないと、まったくアクセスできない。

 WSJの記事がスマートフォンでまったく読めなくなった場合(仮定)、「じゃあ、購読しよう」として、お金を払う人っているのかな(反語だが)?

 以下はエディバンラ会議の原稿の(下)である。(9月15日付、新聞協会報掲載。)

 英テレビ会議
 コンテンツ有料化問題の是非


 英スコットランド・エディンバラで開催された「エディンバラ国際テレビ・フェスティバル」では、オンラインコンテンツの有料化問題などが議論された。放送業界は、インターネットの普及による視聴行動の変化や不景気による広告収入の減少で、新たな収入源を探す必要に迫られている。

 「オンラインでお金をもうける方法」と題する8月28日のセッションの中で、オンラインゲーム会社「プレーフィッシュ」を急成長させたクリスチャン・セゲルストラレ代表は「双方向性に加えて独自の価値を作り出せば、コンテンツクリエーターはお金を稼げる。頭を絞る絶好の機会だ」と述べた。

 米マイクロソフトの英消費者・オンライン収入部門を統括するアシュリー・ハイフィールド氏は「将来の視点」と題する29日のセッションで、英国内で反発の強い、利用者の消費行動などに焦点を合わせた「ターゲット広告」を放送事業者が積極的に利用し、こうした広告の効果を分析する優れたツールが出てくれば、「2、3年後には放送事業者のネット収入は爆発的に増える」と予測した。

 ニュースサイトの課金では、米ニューズ・コーポレーションが英国で発行するタイムズなど一般紙数紙のサイトの有料化を、来年半ばまでに実施するとしている。新聞サイトの課金制は今回のフェスティバルでも話題に上った。ニュースコンテンツの提供という面で、放送と新聞の境目がぼやけているからだ。

 経済ジャーナリズムの将来を語った29日の記念講演の中で、BBCのロバート・ペストン記者は「自分の考えをまとめるためにブログにまず書く」と話した。ブログを核としてニュース番組で報道活動を行う。競争相手として意識するのは、他のテレビ局と米英の新聞社の電子版だという。

 同氏はテレビの広告収入が今後、毎年2けた台で減少していくと予想し、毎年一定額のテレビ・ライセンス料で運営されるBBC以外のメディアでは「課金制の導入は避けられないと思う」と語った。

 一方、フェスティバルの筆頭主催者であるガーディアン紙で、デジタルコンテンツの提供を管理するエミリー・ベル氏は、ニュースサイトの有料化を「ばかげた考えだ」とブログなどで一蹴している。

 同氏は「ニュースは無料と考える多くの人の意識を変えるのは非常に困難だ」「ジャーナリストは一人でも多くの人にコンテンツを読んでもらいたいと思うものだ」と述べ、課金は利用者の数を制限することになるとの考えを示した。

 ペストン氏は講演の中で「『支払えない』人が『知ることができない人』になったとしても、私たちは安心していられるだろうか」と述べ、ニュースという民主主義社会に重要な情報が有料化されることで、支払う余裕のない人が疎外されてしまうことを危惧(きぐ)した。

 また、「必要な事実を手中にできない時、人は議論ができなくなる」と語り、「議論をすることは民主主義と同義語」とした英ジャーナリスト、故ウォルター・バジョット氏の表現を引用した。
by polimediauk | 2009-09-18 15:32 | 放送業界

ジャーナリズムの話いろいろ+欧州事情も


by polimediauk