小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「なぜBBCだけが伝えられるのか」(光文社新書)、既刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)など。


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アイルランドがリスボン協定批准へー英保守党に暗雲?

 アイルランドで、EUの新基本条約「リスボン条約」批准の是非を問う国民投票が行われたが、「YES」票が過半数の結果がでた。これで条約が批准されることが決まった。英国でも国民投票を行うべきだと主張し続けているのが野党保守党だ。

 保守党キャメロン党首のインタビューと、保守党の元国防大臣リフキンド氏のインタビューをラジオで聞いていたら、何だか保守党の政権取得の見込みに暗雲が出てきたように感じた。

 http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk_politics/8288652.stm

 まず、「国民の声に耳を傾けるべきだ。投票にかけるべき」というキャメロン党首の方針はこれでこれで意味が通じる。同意するかどうかは別としても。しかし、「国民投票をやって、(協定批准を)否決するべきだと思う」と言っているので、非常に不安になった。今のところ、保守党は与党・労働党よりも支持率が高く、20ポイントほども差がついている。日本の民主党のように選挙に勝つのではないかと思われている。しかし、こんなことで急に支持率が下がる可能性がある。

 否決するために投票をするなんて、ばかげているに違いない。お金が無駄遣いである。・・・ということを、理路整然と言ったのがリフキンド氏。(さすが閣僚経験者である。)

 EU加盟国の全てが批准する方向にこれで大きく話が進んでしまったこの段階になって、「否決するために国民投票を」なんて、非現実的だ。リフキンド氏が言っていたように、一旦新制度になって、それから何とか自治の度合いを増やすように手練手管をつくす、というのがどう考えても現実的だ。

 一方、ブレア元首相のEUの初代大統領就任を阻止するために、保守党はがんばるようだ。これは大賛成なのだがー。

 保守党政権誕生が危うくなりそうで怖い。

 月曜日から、保守党党大会が開催される。うまくいくといいが。
by polimediauk | 2009-10-04 03:56 | 政治とメディア