小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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ツイッターとスティーブン・フライ+英ネット広告がテレビと新聞を追い抜いた件①

 前回、ツイッターがこのところ情報源になっていると書いたけれども、どうもうさんくさい奴として見られるようになったのが、約80万人のフォロワーを持つ、俳優スティーブン・フライである。(ちなみにブラウン首相の奥さんのサラさんはこれより多いフォロワーを持つという。)

 彼が一声ツイッターでつぶやくと、これを実際の行動に移す人が大分いる、というわけである。大分前に、ある本が非常におもしろい!とつぶやいていたことがあって、その後、その本がベストセラー入りしたという記事を読んだ。なるほどと思っていたら、どうも一種の社会評論家的なコメントを残し、これをメディアが追う、というパターンができているのに気づいた。今月上旬の保守党党大会で、ゲストとして呼んだ欧州議会議員がゲイ批判者で「こんな人を呼んではがっかりだ」とテレビで話していた。他にもいろいろ。最近はトラフィギュラ社のガーディアン報道差し止め事件(これはこれでかなり大きい事件!!)で声を発したと思ったら、昨日ぐらいには、ゲイのミュージシャンで「自然死」した男性の葬式の直前に、この男性が亡くなったのはゲイだったからではないかとも読めるコラムをデーリーメール紙に書いた女性ライターのことを問題視していた(フライ氏はゲイ)。メールのウェブサイトから、広告主が広告を引き上げる騒ぎにまで発展した(フライ氏のツイッターと直接関連してないかもしれないが。)

 テレグラフ紙のコラムニスト、ジル・ホーンビーという人の記事(17日付)によれば、9月16日、ブラウン首相がコペンハーゲンの地球温暖化会議に出るべきだとつぶやいたそうだ。そして22日、首相が出席を発表したと言う。(ただし、これも本当にフライ氏のつぶやきのせいなのかは分らないが。)

―英広告収入はネットに移動

 英国のネット広告がテレビや新聞の広告費を本当に抜いた・もうすぐ抜くのだろうかー?という疑問を、前に「ネット広告がもうすぐ紙媒体をしのぐ」というような内容を書いたときに、読みに来られた方から指摘された。

 この関係(媒体別シェア)が多くの人にとって分りにくいのは、統計を取る団体によって若干比較する基準を変える、例えば新聞と雑誌をひとまとめにして「出版」として数字を作ったり、「案内広告」「ディスプレー広告」など広告の種類によって分けたりする場合があるせいかもしれない。また、お金を払わないと(報告書を買う)全部の数字が分らない場合もある。また、団体に電話して初めて教えてもらえる場合もある。どこの団体も、自分の都合の良い数字を都合の良い値段などで出したいのだろうなーと想像する。

 以下は13日付で「新聞協会報」に出した、ネット広告の原稿に若干加筆したものである。

 英ネット広告が新聞を抜いた

 デジタルマーケティングの業界団体、英インターネット広告局(IAB)が9月30日発表したところによると、2009年上半期(1~6月)の広告収入はインターネットが前年同期比(以下同)4・6%増の17億5000万ポンド(約2573億円)となり、テレビの16億3800万ポンド(2408億円)、新聞の16億3500万ポンド(約2403億円)を抜いて国内最大の広告媒体となった。ネットの広告別シェア(23.5%)がテレビ(21・9%)と新聞(同)を上回ったのは、主要国では初めてとみられる(注:デンマークでは既に抜いたそうである、ガーディアンによると)。

 調査は会計会社プライスウォーターハウスクーパース(PwC)と世界広告調査センター(WARC)との協力で行われた。テレビ界最大手のBBCは視聴者からのテレビライセンス料で主に運営されている点に留意したい。

 上半期全体の広告費(74億6600万ポンド=約1兆975億円)は、経済状況の悪化を反映して16・6%減少した。ネット広告の増加は、広告費用削減の必要に迫られた広告主が、消費者が移動した先の媒体であるネットに比重を移したためだ。「不景気がデジタル分野への移動を加速化させた」(PwC)といえる。

 広告効果の計測が他媒体よりも明確であること、ネットの動画サービスの人気(動画に付随した広告は195%上昇)、ネットショッピングの増加、高速ブロードバンドの普及といった要素もネット広告の伸びにつながった。景気動向に左右されずに伸びたのは、ネット広告の中でも検索広告で、上半期では全ネット広告収入の62・6%を占めた。

 英広告協会による08年の媒体別広告シェアは、出版(新聞と雑誌)が36・5%でトップ。テレビ(24・0%)、ネット(19・1%)がこれに続いた。出版とテレビの急落とネットの伸びを加味すると、同協会は「09年にはトップの座をネットが奪う」と予測する(―つまり、新旧メディアの交代が起きていることになる)。

 一方、英大手広告会社キャラットによると、英国の広告市場は今年、前年比で約12%下落する。テレビ(12%減)、新聞(20%減)、雑誌(16%減)など大きな落ち込みが予想される中、ネットと映画広告だけが増加し、広告市場の本格的な回復は2011年になると分析している。

英インターネット広告局(IAB)
http://www.iabuk.net/
by polimediauk | 2009-10-18 04:49 | ネット業界