小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「なぜBBCだけが伝えられるのか」(光文社新書)、既刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)など。


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「ニュースに課金するか赤字を垂れ流すか」、チャンネル4に新CEO

 日本ビジネスプレス(JBPRESS)というところが、あっという間にフィナンシャルタイムズの記事を翻訳してくれている。すごいものだ。FTのガッパー氏の記事だが、同氏は有料化は1つのビジネスモデルとして悪くないのではないか、意味があるのではと説いてきた。

ニュースに課金するか赤字を垂れ流すか
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/2613

一部引用

 購読料を払って顧客になる読者の数はごくわずかだろう。しかし、それは必ずしも問題ではない。調査会社アウトセルが今週公表したところによれば、米国でオンラインの新聞を読んでいる人のうち、有料化されてもオンラインニュースサイトを利用すると答えた人の割合はわずか6%だった。

 もしこれを額面通りに受け止めるなら(筆者はそうすべきだと思わないが)、ガーディアンはオンライン版の購読者を210万人獲得できる計算になり、一気に黒字に転換できるだろう。そう、わずか1%が残るだけでも35万人の購読者を獲得できるのだ。(
引用終わり)


―チャンネル4に新CEO

「ニュースに課金するか赤字を垂れ流すか」、チャンネル4に新CEO_c0016826_2011178.jpg 一方、長い間CEOのポストが決まらないでいたチャンネル4に、やっと人材が見つかった。有料テレビ(視聴料を払って見る:事実上はケーブルテレビのチャンネルの1つ)UKTVのトップ、デビッド・エイブラハム氏(46歳)だ。

 同氏の就任の時期は未定だが、前任者のアンディー・ダンカン氏が11月に辞任してから、なかなか次のCEOが決まらないでいた。

 この人事はチャンネル4にとって、一つの区切り的な意味を持つ。

 振り返れば、市場の激変(オンデマンド、ネット、広告収入の減少)への対抗策として、前CEOのダンカン氏はBBCとの提携をめざし、さまざまな交渉を続けてきた。BBCは自分のところのテレビライセンス収入を分けてほしいというチャンネル4の本音を拒絶し、提携はあっても実際にお金は出さない方向で結論を出した。

 一方、政府のデジタル制作の白書「デジタル・ブリテン」(昨年6月発表)で、何らかの支援策が明記されるのではないかとダンカン+チャンネル4側は期待したものの、めぼしいものは出なかった。

 一気にダンカン氏の去就が問題になりだし、最後には辞任に至った。ところが、代わりにチャンネル4のために頑張ろうという人がなかなかいなかった。広告収入は思うほどに増大しておらず、「沈みかける船」に飛び乗って、これを何とかしようという人、できる人はなかなかいないように見えたのだった。

 エイブラハム氏の就任で、チャンネル4にとって、新たな時代が始まることが期待されている。チャンネル4の会長職も来週には変更となり、ルーク・ジョンソン氏からテリー・バーンズ氏になる。

 エイブラハム氏の経歴だが、BBCの商業部門BBCワールドワイドと、ケーブルサービスのバージンメディアとの合弁ビジネスとして2007年できたのがUKTV。UKTVG2というチャンネルを「DAVE」と名称を変え、人気チャンネルにした手腕で知られる。推定年棒は49万ポンド(約7000万円)だそうである。(テレグラフ、ガーディアンより)
by polimediauk | 2010-01-23 19:40 | 放送業界