NYタイムズ有料化に関する興味深いコラム+「FTコム」担当役員インタビュー
アマゾンとマクミラン(アマゾンがマクミランと価格の件で争いごととなり、マクミランの本がアマゾンサイトから消えた件)の話や、NYタイムズのサイト有料化の話など、非常に詳しく、かつ本当におもしろい。新聞サイトの有料化問題に関しては、以下のNYタイムズの話が私は特に面白く思った。
NYタイムズが有料化するってニュースなの?
—When the inevitable and known fact becomes a news item
http://oharakay.com/archives/2024
何故私が「特に」面白いと思ったのかというと、大手新聞サイトの有料化問題で、いろいろな議論をつらつらとネットで拾っていると、あることに気付いたからだ。つまり、日本の新聞の話と英語(米英)の話、それも英語の大手新聞の話とは、ある意味、別物ではないかという点である。
大原さんはNYタイムズサイトが有料化されたら(すでに一部は有料だが)、おそらく、購読者になるだろう、と書いている。それはつまり「NYタイムズが読みたいから」である。
私自身は、英国の新聞サイトの「有料化」(これまた一部有料になっているところがあるのだが)は、ビジネスモデルとして「アリ」だと思っている。有料化が一般的・観念的に正しい・正しくない、と言っているのではなくて、①もう事実、そうなっている、②あまりにも経営が苦しいので、生き残りのためにやるところはあるだろうし、③お金を出してでも読みたい人がいる(それが収入減少分をカバーするかどうかは別として)、④今やろうとしているところが、ブランド力の強い新聞である、⑤有料化はすべて読めなくなることを意味しない=つまりおそらく一部有料化になるという予想…などの理由による。
しかし、この「アリ」というのは、米英の新聞、特に「英国の新聞」のハナシである。なんと表現したら最善なのか迷ってしまうが、土壌・環境がそんな感じなのである。英語のニュース情報というのは、英語が国際語というだけあって、本当にありとあらゆる種類・量がある。競争が非常に激しい。ブランド力をつけて、情報を有料で売る、というのも、1つのモデルとして「アリ」であって、それで民主主義がおろそかになる・・というのはあまりない感じがする。前回書いたが、英国の新聞はこれまで、無料で圧倒的な情報量をサイトで出してきた。無料メディアBBCの存在が大きいので、「無料の圧力」がすごくある。しかし、「いや、待てよ、別のやり方でやってみようではないか」という揺り戻しもあるように思う。
日本の新聞の場合、サイトで無料では全部出していないようであるし、日本の新聞サイトのやり方と米英の新聞サイトのやり方を、必ずしも一緒には語れない感じがする・・・と思っていたので、大原さんのコラムを読んで、いろいろ刺激を受けた。
前回の「NSK経営リポート」の原稿には、フィナンシャルタイムズのFTコム担当役員のインタビュー記事もついていた。この記事の基になったインタビューそのものをまとめ、ニューズマグに出している。ご関心のある方は閲読いただきたい。読者との直の関係を望むので、アップルとの協力(マイクロペイメント)はないと言っていたが、どうなるだろう?
「FTコム」担当役員インタビュー:「世界で200-300万人のコア読者に力を注ぐ」
http://www.newsmag-jp.com/archives/2936