小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

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ロンドンに新たな無料紙(今度は週刊で)-「協会報」より

c0016826_19485486.jpg ロンドン・ウィークリーという週刊新聞が今月上旬、創刊した。期待大だったが、スペルの間違いが多いなど、「プロ」のメディア評論家から批判が出た。それでも、続けることに意義があるのかもしれない。

 第2週目の批評と紙面内容は以下をご参考に。
http://www.guardian.co.uk/media/greenslade/2010/feb/12/london-weekly-second-edition

 ロンドン・ウィークリー紙の意味合いを16日付の「新聞協会報」に書いた。以下はそれに若干付け足したものである。

新ロンドン無料紙創刊
 「スタンダード」の独占崩す


 ロンドンの通勤客を対象とする無料紙市場に2月5日、新無料紙ロンドン・ウィークリーが参入した。主要無料夕刊紙2紙の相次ぐ廃刊後、有料紙から無料紙に転換したロンドン・イブニング・スタンダードが夕刊紙市場を独占しているが、ウイークリー紙の創刊はこれを崩す動きとなる。広告収入のみで運営する無料紙のビジネスモデルが再評価されたともいえよう。

 ウィークリー紙の発行は金曜日と土曜日。地下鉄の駅近辺で25万部が配られる。内容は「軽い読み物、ゴシップ、政治、健康、音楽、ファッション」。編集面(記事と写真)の3分の1は読者からの投稿による。発行元はグローバル・パブリッシング・グループ社で、創刊資金は1050万ポンド(約15億2千万円)。

 スタンダード紙による夕刊紙市場の独占に風穴を開ける存在として発行が注目されていたが、創刊号の原稿には誤植が目立ち、「レイアウトがあか抜けていない」「素材が古い」などの不満の声がガーディアン紙(6日付)に寄せられた。一方、ロイ・グリーンスレード教授(メディア学)は「綴りや文法の正確さを気にしない何十万人がロンドンにやってくる」点を指摘し、ウィークリー紙の広告媒体としての意義を指摘した(同紙、同日付)。

 好景気時代、広告収入を主要な収入源とする無料紙のビジネスモデルがもてはやされたが、景気後退による広告市場の縮小で、朝刊無料紙ロンドンペーパーが09年9月に、ライバル紙のロンドンライトがその2か月後の11月に廃刊に追い込まれた。1999年、アソシエーテッド・ニューズペーパーズ社が無料朝刊紙メトロを創刊して以来の「ロンドン無料紙戦争」が幕を閉じた格好となった。

 しかし、昨年10月、スタンダード紙が有料から無料に移行すると、無料紙モデルが再評価されてきた。有料時には20万部前後だった同紙の発行部数は、昨年12月で60万部を超えた(英新聞雑誌部数公査機構ABC調べ)。「主要無料紙が消えたことで、広告主からの引き合いが増えた」(同紙編集長)という。高級紙インディペンデントが無料化を考案中という噂も絶えない。

 メディア・コラムニストのピーター・ケーワン氏は、無料紙は不特定多数を読者としているように受け止められているが、実は配布者側は新聞を受け取る人物の性別や職種などの情報を把握している(「メディア・マネー」ブログ、09年11月10日付)。無料紙は特定の顧客に新聞を渡せるという点で、広告主にとって魅力的な媒体となる。ウィークリー紙の参入で、ロンドンの「無料紙市場は新たな競争の時代に入った」(同氏)という。

 ***

 感想:広告の意味では「競合相手ができた・増えた」ことになるが、ジャーナリズムの面では「?」であろう。今後どうなるかは分からないがー。ただ、イブニング・スタンダードは無料と言いつつも、一部では有料で販売されている。あまりにも需要が多く、一部では新聞販売店が20ペンスから50ペンスで販売しているというのである。

http://www.guardian.co.uk/media/greenslade/2010/feb/15/london-evening-standard-free-not

****他ご参考***

ロンドン・ウィークリーのウェブサイト
http://www.thelondonweekly.co.uk/

創刊号に関しての厳しい批判に対する、ロンドン・ウィークリー側の反論
http://www.prweek.com/uk/news/983009/London-Weekly-hits-back-critics-its-production-standards/
ガーディアンサイト上の批判
http://www.guardian.co.uk/media/greenslade/2010/feb/05/pressandpublishing
by polimediauk | 2010-02-16 19:49 | 新聞業界