小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

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オランダ政府、連立崩壊―アフガン問題で 歯止めになるか?

 オランダ連立政権が、アフガン派遣問題を巡り、20日、崩壊していたことを知った。以下は東京新聞より

オランダ連立崩壊 アフガン駐留で対立激化
2010年2月21日 朝刊
 【ロンドン=松井学】オランダのバルケネンデ首相は二十日、アフガニスタンに派遣している軍部隊の駐留延長をめぐる連立政権内の対立が激しくなったことから、「現内閣はこれ以上、共に進めない」と記者会見で述べ、連立崩壊を発表した。
 同首相は北大西洋条約機構(NATO)が求めているオランダ部隊の駐留延長を図ったが、連立政権の第二党・労働党が強く反対。キリスト教民主勢力を率いる首相は分裂回避のため前日から長時間協議したが、合意できなかった。連立崩壊を受け、首相は五月にも総選挙に踏み切るとみられている。
 オランダは今年八月以降に部隊を順次撤退させる方針を掲げていたが、オバマ米大統領のアフガン新戦略を受けて、NATOが駐留延長を求めた。
 オランダ軍部隊はアフガン南部ウルズガン州で約二千人が国際治安支援部隊(ISAF)の作戦に従事。
 南部は反政府武装勢力タリバンによる攻撃が多発、オランダ兵の死者は二〇〇六年の駐留開始以後、二十一人に上り、国内世論は早期撤退に傾いている。
 同国では三月三日に地方選挙があり、劣勢が予想される労働党が、駐留延長に強硬に反対することで、支持回復を狙ったとみられている。
 連立政権内の対立点はアフガン駐留延長にとどまらない。オランダが〇三年のイラク戦争を支持した決定は違法だと結論づけた今年一月の同国の独立調査委員会の報告を受けて労働党を中心に、開戦時に首相だったバルケネンデ氏への批判も強まっていた。
(引用終わり)


 左派の労働党と保守中道系キリスト教民主勢力とは、かなり政策が違うようで、総選挙後に連立政権が発足するまで、随分と(3-4か月?)時間がかかったことを思い出す。

 「違法」のイラク戦争に加担したこと、「テロ戦争」の一環でアフガニスタン侵攻を続けていることなどへの反対の声がオランダ国内ではよほど強いのだろう。

 衝撃だ。つまり、政権離脱を政党が決めるほど、こだわる問題なのである。そうであるべきであろう、人が死ぬ話なのだから。

 今、英米を中心に大規模アフガン侵攻計画が進行中だが、どうか思い直してほしいと思っている私にとって、このオランダの動きが何とか歯止めにならないかと期待している。

 どんなに英政府が説明しようとも、どうしてもアフガン侵攻・あるいはアフガンの和平・国づくりなどと、「英国のテロの脅威を取り除く」(政府の説明)こととが、論理的につながらないのだ。(イラクの大量破壊兵器の無理な論法のように・・・。)

BBCの関連記事
http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/europe/8526933.stm

 今、ブラウン首相がいじめっ子だったかどうか、部下を殴るほどだったかどうかが、トップストーリーになっている。この分析はBBCの政治記者ニックロビンソン氏のブログが詳しい。
http://www.bbc.co.uk/blogs/nickrobinson/2010/02/browns_behaviou.html

 とにかく、選挙戦まっしぐらである。(4月22日か、5月上旬の総選挙説が出ている。)


by polimediauk | 2010-02-22 01:23 | 新聞業界