小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

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英紙インディペンデント、いよいよロシア人が買収か

 英国の総選挙は5月6日で、ほぼ決定のようだ。与野党の選挙キャンペーン的な言動が目立つ。

 高級紙の一つ、インディペンデントがロシア人の富豪でロンドン・イブニング・スタンダード紙の大部分の株を持つ、アレクサンドル・レベジェフ(レベデフ)氏が買いそうである。公正取引局OFTが、買収が公正なビジネス上の競争を阻害するかどうかに関して、調査をしない、と発表したのである。

http://www.guardian.co.uk/media/2010/mar/17/oft-alexander-lebedev-independent

 先月、インディペンデント紙を所有するINM社と、イブニングスタンダードの75%の株を持つレベジェフ氏とが、OFTに対し、買収となれば問題が生じるかどうかのおうかがいをたてていた。OFTは4月末までに答えを出せばよかったのだが、急きょ、17日、結果を発表。INM社が株主総会を開くので、これに間に合わせた感じがある。

 何だか嫌なことになってきたな、と思う。富豪・ビジネスマンなどが英国の新聞を所有するというのは、1つの伝統であるけれども、イブニング・スタンダードもインディペンデントも、というのはやっぱり、言論の多彩さを維持するためには、良くないだろう。どうしてこれを阻止できないのかー。というのはやや反語だけれど。もし阻止しようとしたら、それこそビジネスの邪魔をしたとか、保護主義だとか、いろいろ言われるだろう。理由なく止めるわけにはいかない。しかし、不快である。

 インディペンデントは1980年代半ば、高級紙テレグラフにいた記者3人が創刊した。高級紙の中では最も歴史が浅いが、「左」系でずっとがんばってきた。今の編集長はロジャー・オルトン氏。その前はオブザーバー紙にいて、部数をぐんと伸ばした人だ。

 インディペンデントの部数はずっと下がりっぱなしで、他の新聞もそうなのだが、高級紙の中ではガーディアンとともに下げが大きい―年間比較をすると。ともに二けた台の減少だ。「なくなってしまうよりはいい」ということなのかもしれないけれども。イブニングスタンダードもずっと買い手がなくて、レベジェフ氏が買ってしまった。インディペンデントを買収すれば、レベジェフ氏が英国の新聞を買うのはこれで2紙目になる。ロンドン地域ではインディペンデントを無料化するという噂が絶えないー主にガーディアンによれば、だが。ガーディアンはインディペンデントとライバル同士だ。


―イブニング・スタンダードの買収劇やレベジェフ氏の過去記事

元KGBが夕刊紙を所有
「イブニング・スタンダード」の敗因
http://ukmedia.exblog.jp/10784806
by polimediauk | 2010-03-18 08:39 | 新聞業界