「BBCよ、女性も投票するんだぞ」―英総選挙
英国で洋服を買いに行くとき、ウインドーショッピングでもいいのだが、実際に洋服を手に取ってみると体のサイズがでかいものが多いーこんな経験をする日本女性はかなり多いのではないかと思う。(逆に日本に帰ると、体に合いそうなサイズのものがたくさんあって、感激するわけだが。)
実際、体が小さいインド系、パキスタン系の女性もたくさん住んでいるので、よく探せばいろいろあるのだけれども、一通りウインドーショッピングをして、何だか馬鹿にされたような思いがして帰宅する・・・そんなことがかつてよくあった。
つまり、自分は想定購買者の中に入っていないな、と。相手の視野に入っていない。これに対するがっかり感。中に入っていけないような感じ。疎外感。
話は飛ぶようだが、英国でも(日本のように)政治の世界にもっと女性を増やすべきだ、メディアの目立つところにももっと女性が出るべきだーという声がある。これを、単に「フェミニズム」の一つとして解釈すると抜け落ちるものがある気がする。つまり、女性は人口の上で半分だし、女性は重要な存在なのだから、もっと女性の声を・・・と考えるとしたら、である。「女性独自の視点」(???)ということで、女性を重宝するやり方もあったな。(日本の媒体の某ウェブサイトは女性記者だけのコーナーがある。驚きである。「記者」という職業で男女のどこが違うのだろう?)
「女性が」という部分が大事なのでなく、「一定の特性を持った人たちに、政界なりメディアの目立つ部分がほぼ独占されている」という点が問題なのだ。
サンデータイムズのコラムに
Dear BBC, women vote too (BBCよ、女性も投票するんだぞ)
http://www.timesonline.co.uk/tol/comment/columnists/guest_contributors/article7086628.ece
という記事があった。
具体的にコラムニストが指摘しているのは、BBCの朝のラジオ報道番組「TODAY」のプリゼンターが一人を除き、全員男性であること、そしてこの番組のエディターが、「女性にはこれほど難しい仕事はできない」と発言したことだ。この番組では、政治家を相手に丁々発止のインタビューを行う手腕が問われる。考えてみれば本当に失礼な言い方(エディターが)だな、と思った。
この記事の中で紹介されているのが、政府の数字で、若い女性の大学進学率が51%であるのに対し、男性は38%、新任弁護士の60%が女性だという。
・・・というのはフェミニズム的な「もっと女性を」という見方とも言えるが、コラムニストは、「自分は白人、中流階級、女性」であり、そんな自分も疎外感を感じるのであるから、「アジア系、あるいはイスラム系の人の疎外感はいくばくか」と書く。
私は「TODAY」を熱心に聞かなくなってずいぶんになる。その大きな理由の1つは、「男性、中高年、白人、英南部」というグループに属するような人々がプレゼンターで、ものの見方、言葉の応酬の仕方、価値観が似通っており、何だか鼻につくようになったからだ。同じような考え方の同じようなバックグラウンドというのはインタビューされる方(政治家など)も同様だ。コラムニストは、BBCの夜の解説番組「ニューズナイト」を見ての同様の感想を書いている。
女性も投票しているーまさにそうだなと思う。