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小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「なぜBBCだけが伝えられるのか」(光文社新書)、既刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)など。


by polimediauk

BBC、ガーディアンがiPadアプリを続々発表

 iPad(アイパッド)の発売は英国では今月末だが、米国で発売済みのアイパッド上で、BBCニュースの専用アプリが既に動いている。BBCの受信料を払っている英国民より、一足お先に、米国民・米国に住んでアイパッドを手にした人が新しいアプリを使っている、という奇妙な状況になっている。

 BBCニュースのアイパッド用アプリは、BBCの商業部門がモバイルIQという会社を使って開発したもの。アプリ自体は無料で既に無料アプリランキングの12位になっているという(ペイドコンテツによると)。

http://paidcontent.co.uk/article/419-bbc-ipad-app-popular-in-u.s.-but-brits-may-be-denied/

 ニュースの文字情報、ソーシャルメディア、動画、ラジオ、ニュースアラートなどのサービスがあり、オフラインでも使えるようになっているという。(上の記事の下の方に動画がついている。)

 モバイルIQはBBCのアイフォーン向けアプリを作った会社だ。これは今月位から英国で使えるはずだったが、「競争が阻害される」という新聞出版協会からの主張をBBCトラスト(経営陣とは異なる。BBCの活動がその目的にあっているかどうかをチェックする、自主規制・監督団体)が受け入れて、経営陣が再考することになっている。導入前にストップがかかった状態だ。

 BBCは新規サービスを始める時、これが民業圧迫にならないかどうかをトラストに検証してもらう手続きをしなければならない。ところが、BBCのウェブサイトによれば、米国で使うアイパッドアプリは英国の外での商業活動の1つになるので、トラストの検証は必要ない、という。

 BBCはアイフォーンなどのスマートフォーン上で、見逃した番組を見れるサービス、「BBCアイプレイヤー」を使えるアプリを計画していた。もしかしたら、アイパッドで先に使えるようになってしまうかもしれないー。英国民の悔しさ感がますますつのる。「これは本末転倒か?」と、ペイドコンテンツ記事が問いかける。

 また、ガーディアンがアイパッド用写真アプリ「ガーディアン・アイウイットネス・フォトグラフィー」を開発していたことが分かった。

http://www.guardian.co.uk/help/insideguardian/2010/apr/06/theguardian-eyewitness-app-ipad

 ガーディアンでは紙面を大きく使って、印象的な写真を掲載するページを設けている。これのデジタル版というわけである。これも既に米アイパッドでは無料ダウンロードできるようだ。開発はキャノン。

 ガーディアンは既に、アイフォーン用の有料アプリを発売し、これがとても人気になっている。今回の写真アプリもぐんぐん利用者を増やすのかどうか。

 各社の競争が具体的に見えだした今日この頃だ。
by polimediauk | 2010-04-07 06:37 | ネット業界