小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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英総選挙 世論調査と投票とのギャップ 何故労働党がこんなに低い?

 5月6日の総選挙の投票日を前に、3大党首による最後のテレビ討論が昨晩、BBCで放映された。その後の「誰が勝った?」という問いに対し、複数の調査は野党保守党党首デービッド・キャメロン氏を一位にし、第2野党自由民主党のニック・クレッグ氏、労働党のブラウン首相を2位、3位にした。(以下のサイトの下の方に行くと、PDFで討論内容を書き取ったものが入手できる。)

http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk_politics/election_2010/8652771.stm

 調査によって若干数字は変わるのだが、例えばキャメロン氏41%、クレッグ氏32%、ブラウン氏26%、あるいはキャメロン氏36%、クレッグ氏32%、ブラウン氏30%など。ほとんどの場合、キャメロン氏がトップ。調査によっては僅差でクレッグ氏がトップだったところもあるようだ。2回目は3人がほぼ30%ずつだったので、ブラウン氏はやや後退した感じもあるーキャメロン氏に支持を取られたという感じか。第1回目でダントツのトップだった、クレッグ氏はあまり栄えなかった。経済問題は専門ではない感じで、繰り返しが何回かあった。キャメロン氏とブラウン氏は回を追うごとによくなって、政治経験の深さやブレーンの良さ(+雇えるだけのお金・余裕がある)を感じた。

 実際、ブラウン氏は「これが最後だ」という思いもあったのか、かなり迫力のある、重みのある(何せ首相なのだ)発言で、これまででベストだと私は思ったが、とにもかくにも支持率が低い。テレビ討論の調査でも、いつも最後。何だか、低すぎる感じがしないでもない。

 私が疑問に思うのは、テレビ討論後の調査にしろ、他の日の世論調査にしろ、継続的に労働党はビリになっているわけだが、「本当かな?」と。

 調査で(電話、ネット)で「xx党を支持ます・支持しません」というのは、ある意味、簡単である。ところが、投票日(来週の金曜日―常に平日)に実際に投票所に行って投票するのは、意識的な行動をしないといけない。仕事がある人は出かける前に行くとか、調整が必要となる。投票所が遠い人もいるだろう。「何だかばかばかしくなってやめた」と思う人もいるかもしれない。

 第1回のテレビ討論の後、急速に支持率を伸ばした自民党が、2番目に大きな政党になれるかもしれないと夢見ていたようであるが、現在60ぐらいの議席しかなく、これが本当に三ケタになるだろうか。世論調査と実際の投票率には大きなギャップがあるような気がしてならないのだが。

 英国の総選挙の投票率は日本に比べると高い。例えば大体70-80%で推移してきたが、最近は下がり気味。2001年総選挙では59%、2005年では61%で、英国にとってはこれは大きなショックとなっている。今回はこれだけ議論が盛り上がっているので、70%前後はいくかもしれないが。

 今のところ、保守党と労働党の大接戦となりそうだが、不景気+国の負債がでかい時、頼るのは誰か?何だか外の風が冷たい時、私ならあったかいところにいって毛布にくるまって、冬が過ぎるのを待ちたい。そうなると福利厚生が厚い・守ってくれる労働党か?しかし、英国民の現政権に対する怒りが相当に強いのも確かだ。「こんな不景気に誰がした?」「何故大銀行ばかり助けるのか?」「失業者がたくさん」「移民はもうたくさんだ」-。

 予想は不可能だが、労働党は支持率第3位という数字とはまた違った結果を来週出すのではないか?と思っている。いよいよ、ブレア前首相が選挙戦に本格的に参加するそうで、これがどれほど影響があるのか分からないが、一体どんな仕掛けがあるのかな?と興味シンシンである。

追加:何故木曜日が投票日?

・・・というのを聞かれたところ、日曜日は安息日ということがあるからかなと思っていたのですが、BBCラジオ4の「PM」という番組を聞いていたら、「なぜかわからない」とキャスターが言っていました。「慣習」という説と、「金曜日にかつてお給料が支払われていたので、その前に」という説を言っていましたが。1931年に、一度だけ火曜日だったことがあるそうです。

by polimediauk | 2010-04-30 17:43 | 政治とメディア