小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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GALAC:「不倫隠しで集中砲火のサッカー選手 カネの力で報道差し止め狙う」、英国の名誉棄損裁判

 ニフティーネットに、月刊誌「GALAC」(放送批評懇談会発行)5月号に書いたサッカー選手ジョン・テリーの報道差し止め事件に関する記事が載っている。事件発生から掲載までにややタイム・ラグがあるのだが、ご関心のある方はご覧いただきたい。

http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/galac-20100420-01/1.htm

 金持ちや著名人が自分に都合の悪いことの報道を差し止め、差し止めをしたこと自体も報道させなくする、通称「超差止め令」が、昨今問題になっている。テリーは不倫疑惑報道を超差し止めにしたため、メディアの怒りをかった。これが過熱報道の1つの理由だったような気がする。不倫疑惑報道を出せば、人は新聞を買い、テレビを見る。金の卵を取られて、頭にきた、と。メディア側は「報道の自由」と言うだろうけれど。

 最近、この名誉棄損裁判で非常に大きなケースがあった。それは科学ジャーナリスト、サイモン・シン氏と英国カイロプラクティック協会のバトルだ。最後は事実上シン氏が勝ったのだけれど、同氏は裁判費用の大きな財政的負担を抱えた。また、フリーの同氏は事実上仕事が干上がったようで、これも相当痛い。-やはり、巨額を自由に使える人でないと、なかなかこの手の訴訟を続行できない。

 この件に関しては、「英国ニュースダイジェスト」のニュース解説が非常によくまとめている。是非ご覧になっていただきたい。

著名作家の記事で議論が再燃 -名誉棄損と科学報道
http://www.news-digest.co.uk/news/content/view/6276/263/
by polimediauk | 2010-05-01 20:25 | 英国事情