小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「なぜBBCだけが伝えられるのか」(光文社新書)、既刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)など。


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WikiLeaksの創始者、一月ぶりに姿を現す

 内部告発サイトの「WikiLeaks(ウィキリークス)」を作った人物が、一時姿を消していたのだが、やっとまた現れたというニュースが流れている。何故姿を消したり、現れたりがニュースになるのかは、その前段として、(知っている方は多いとは思うが)以下のAFPにも出ている。

http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2734104/5853596


 WikiLeaksは4月、バグダッド市内で米軍のアパッチヘリコプターが、ロイターの2人の記者ら数人を銃撃して殺害する様子をとらえた映像を公開していた。ユーチューブでも流れていたので、見た方は多いかもしれない。

 AFPの記事(6月8日付け)によれば、この件で、ブラッドレー・マニング(Bradley Manning)特技兵(22)がイラクで逮捕され、現在、クウェートで拘束されている。
 
マニング特技兵は「機密映像や26万点にもおよぶ秘密外交文書」をWikiLeaks側に渡した疑い。

 ガーディアンの記事によると、
 
http://www.guardian.co.uk/media/2010/jun/21/wikileaks-founder-julian-assange-breaks-cover

 このサイトを立ち上げたのは、オーストラリア人のハッカーでジュリアン・アサンジ氏。同氏はマニング氏が拘束された直後あたりから、人前には姿を見せない状態が続いていたが、ブリュッセルでガーディアンの取材に応じた。アサンジ氏は欧州議会の情報公開に関するセミナーに出席するためにブリュッセルにいたようだ。

 同氏は米国防省が同氏の拘束に動くと見ているわけではないようだが、弁護士が「米国には行くな」と言っているという。

 米サイト「デイリービースト」によれば、米当局が懸念しているのは、米軍に関わる機密情報がさらに公開されてしまうのではということだそうだ。

 アサンジ氏は「命が危ないとは思っていない」。クウェートにいるマニング氏に連絡を取ろうとしたが、まだ取れていない段階だという。ウィキリークスは一連の米軍に関する情報の情報源がマニング氏だとは言っていないが(内部告発のサイトで、情報源は出さないのが基本)、「情報源だという疑惑がかけられている」ので、マニング氏を「自由の身にするべきだ」とガーディアンに語っている。

 バグダッド市内での米軍のアパッチヘリコプターの動画の作成にはアサンジ氏とともにアイスランドの政治家(Birgitta Jonsdottirさん)が関わっていた。「毎日、18時間は働いた」とはJonsdottirさん。

 ウィキリークスはアフガニスタンで起きた、米軍の攻撃で、140人ほどの市民が亡くなった情景を撮った動画を近く公開予定だという。米側は亡くなった人は95人で、そのうち65人は武装兵だったと説明していた。

 米当局は、今後、いったいどんな手を取るだろう(取り得るだろう)?「報道の自由」「内部告発者の擁護」といった面からは思い切った手を出しにくいだろうが、自国の兵隊なら「機密情報の漏洩」ということで、何らかの処罰を加えることができるのだろうか?

 ガーディアンには「ウイキリークスって何?」という記事がある。インターネット界の「ロビンフッド」ではないか、と・・・・。

http://www.guardian.co.uk/media/2010/apr/06/pass-notes-wikileaks

 ウイキリークスのサイト
http://www.wikileaks.org/


by polimediauk | 2010-06-23 03:02 | ウィキリークス