インディペンデントが、新たな高級紙「i(アイ)」創刊予定
http://www.pressgazette.co.uk/story.asp?sectioncode=1&storycode=46155&c=1
http://blogs.pressgazette.co.uk/editor/2010/10/18/independents-new-daily-i-could-spell-the-end-for-indy-mothership/
とても面白いことになってきた。というのも、なんと、価格が1部20ペンスなのである(約26円ぐらい)。値段はサンなどの大衆紙と同じぐらいなのに、「高級紙」=クオリティーペーパー、とはいかに?とても面白い組み合わせで、発想の転換というか、「そういう手があったのか」と思った。
アイは、「高級紙の既存読者や、一時読むのを止めてしまった人」を対象にしている。
アイの創刊時には、インディペンデント自体も刷新して出すそうである。インディペンデントをはじめとして、タイムズやガーディアンなど、平日に販売されている全国紙の高級紙の価格は、一部、一ポンド(136円ぐらい)である。(経済紙のフィナンシャル・タイムズを抜く。)高級紙市場で、アイは破格の値段で勝負することになる。
発行会社となるインディペンデント・プリント・リミテッドの会長でアレクサンダー・レベジェフ氏の息子Evgeny氏は、父と自分は「自由なプレスが民主主義の基本的なツールだと信じています」「新聞には将来があると思っていますー非常に重要な将来が」と述べている。
レベジェフ父子はまず、ロンドンの夕刊紙で経営が困窮していたイブニング・スタンダードを買い取り(大株主となり)、これを有料から無料に変えて、息を吹き返させた。今、大体65万部は配布されているようだ。一部50ペンスの有料のときは、20万部前後であえいでいた。誰も買い手がおらず、レベジェフ氏は名目1ポンドで買ったのである。
スタンダードが不振に陥った一つの原因は、2006年ごろに過熱化した無料紙競争だが、すでにこの時しのぎをけずっていた、ロンドン・ペーパーやロンドンライトなどの無料紙は市場から撤退している(経済・金融のシティーAMは続いているが)。ロンドンの夕刊無料紙としては一人勝ち状態のイブニング・スタンダード。(個人的には、ショービズ関係の記事がどうも多くて、ぴんと来ない部分もあるが。)
ゆくゆくは、1986年創刊の左派系高級紙インディペンデントも無料化するのではないか?という噂がたえないが、今すぐ無料化はないようだ(現時点ではだが)。
アイの紙面内容とインディペンデントの紙面内容はどこまで共有化されるのだろう?互いにライバルになって、共食いにならなのかどうかが、気になる。
プレスガゼットの編集長(上記記事)は、アイの創刊で、将来的にインディペンデントは消える、という予測を立てている。
英新聞界、ひさびさの明るいニュースである。来週の火曜日が楽しみだ。
関連エントリー:ご参考
「イブニング・スタンダード」の買収劇
http://ukmedia.exblog.jp/10784806