小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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BBCのQIをどう考える?②それでもまだ信じられない人は、「アワ・マン・イン・アビコ」をご参照に

 前回、BBCのQI問題について書いたが、「私なら笑って、無視する」という表題や内容に、疑問や怒り(場合によっては)を感じた方が結構、いらっしゃるかもしれない。

 ある意味ではシンプルなことを、いかにそれがシンプルで、他愛ないことであったかを説明するために、汗をかいてしまうーそんな状況に私たちはいると思う。

 どれほど、「このクリップに関しては、大きく抗議するほどのことではないよ」「私はそう思うよ」と言っても、「被爆・原爆をコメディー番組のトピックにしたこと自体がいやだ」という感情は消えないだろうし、「第一、君(=小林)の判断力はちょっとおかしいんじゃないか」と、思う人も結構いらっしゃると思う。

 そこで英語ブログ「アワ・マン・イン・アビコ」の話になる。日本に住む英国人男性が書いたものであるようだ〔最後にアドレスをつけている〕。

 このブログの優れたところは、これが「英国人が」書いた部分(英国人――英国国籍保持者――のみが、今回のクリップの意味が分かる、と自動的に考えるのは、これはこれで必ずしも正しくはないが、まあそれは脇において)というよりも、もちろん、「英国人=英国のユーモアやもろもろが分かる」という部分は重要なのだが、それ以上におもしろいのが、この書き手が、自分の妻(=日本人)の母親、つまり義理の親に,事態を説明する、という部分である。

 その母親は読売新聞やテレビを見てニュース情報を得ている。

 そんな彼女に、いかに分かりやすく、的をついた返事をするか、そして、ここが肝心だが、「家族の一員として正直に、誠実に答える」必要に迫られる。

 ・・・まあ、やや深読みかもしれないが、非常におもしろい状況ができたわけである。

 こうして、この男性はーーすこしフィクションが入っているのかもしれないけれどもーー義母に、説明しだすー。

 私も、もし自分の日本の家族に聞かれたら、どうするかなと考える。うそはつけない。正直にかつ、わかりやすくなければならない。私の答えは「アワ・マン・イン・アビコ」のようなことになるだろうーー家族は「ふーん・・・」(でもなんだかよく分からないなあという反応)になるかもしれないが。

 メモ魔さんが読みやすく翻訳してくれている。良かったら、ご参照願いたい。
【ブログ翻訳】「私は如何にして心配するのを止めてQIを愛するようになったか」(Our Man in Abiko)
http://nofrills.seesaa.net/article/182228183.html

***補足〔長い!)

 他の方のブログやツイッターでもうご存知かもしれないが、英国でQIは人気番組の1つだけれど、あえて見ない人もたくさんいる。見るに値しない(十分なギャグがない、司会者が嫌い、下品など)と思ってチャンネルを合わせない人がたくさんいると思う。なので、「誰もがこの番組を愛し、ジョークに笑っている」わけではない。〔また、今、問題にしていることとは直接関係ないかもしれないが、私個人が見ることはほとんどない。理由は、著名人・知識人の司会者と彼にお世辞を言わざるを得ない周りのコメディアン・出演者たちとのくっつき具合が見苦しいから。家人はよく見ているようなので、男性には受けるのかなと思う。あくまで個人的嗜好の問題かもしれないが。)

 それと、被爆・原爆をジョークのトピックとして使うこと自体に、不快感を感じる、悪趣味と感じる人も、過半数ではないかもしれないが、結構いると思う。調査したわけではないので数字は分からないけど。家人ーー戦後生まれ、初老、日本居住経験10年以上ーの例を出せば、「QIの原爆を扱ったクリップ」と聞いただけで、「見たくない」と言ったーーただ、後で、日本軍による戦中の捕虜の「残酷な記事」を新聞で見つけ、私に持ってきた。また、知人の英国人たちと話していて、原爆の話になると、「本当にひどいことでしたね」とよく分かっている人が結構いる。英国人全体の話ではもちろんないが、「少人数でも、分かっている人は分かっている」し、日本に対する敬意は漠然とだがあるように思うー国の話をするとすれば、だが。(きりがないので、とりあえず、終。)
 


 
by polimediauk | 2011-01-24 19:39 | 日本関連