小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「なぜBBCだけが伝えられるのか」(光文社新書)、既刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)など。


by polimediauk

英国の電子書籍購入者は全体から見ると、まだ少ない

 アマゾン・キンドルを購入してから数ヶ月が経った。ある原稿を書くために必要となった本(新刊)が電子書籍のみの販売で(仕方なく)、エイヤっと思ってキンドルを買った。PCにキンドルのソフトをダウンロードしたので、PCでも読めたのだけれども、とりあえず。

 その後、ノン・フィクションの新刊を一冊買い、あまり面白くないので読むのをやめた。今は長い小説(紙だと800ページを超える)を楽しんで読んでいる。今日、取材に出かけたときにかばんに入れると、軽くてよく、早めにアポイント場所についてしまったので、続きを読んでいた。紙の本だったら、持って歩けなかっただろう。

 キンドル版は普通にアマゾンで買うよりも本の価格がやや安いこともあって、これからも少しずつ買いそうである。目が疲れにくいというのもうれしい。もちろん、字をでかくできることも。キンドルは自分の英国アマゾンの口座に直結しているので、例えばほかの国のアマゾンの口座(日本など)では本が買えないのどうか、分からないのだけれど。

 5月19日、米アマゾンがキンドルの売上げに関するリリースを出している。
Amazon.com Now Selling More Kindle Books Than Print Books
http://phx.corporate-ir.net/phoenix.zhtml?c=176060&p=irol-newsArticle&ID=1565581&highlight

 印刷された本よりもキンドルの電子書籍が売れているーというもので、例えば4月1日以降、100冊の紙の本がアマゾンを通じて発売されたとしたら、105冊のキンドル本が売れたという。昨年7月以来、キンドル本はハードカバーの本(いずれもアマゾンを通じて、という意味)の売上げを超えた。今年1月までには、ペーパーバックの本の売上げを超えたという。

 ちなみに、リリースによれば、アマゾンが本を売り出したのは1995年で、キンドルを米国で導入したのは2007年11月だという。

 しかし、キンドルの本の売り上げがハードカバーとペーパーバックの本の売上げを超えたというのは米国の話であって、英国アマゾンでは、「売上げを超えた」のはハードバックの本のみ。ただし、4月1日以降、紙の本の倍の数のキンドル本が売れているという。英国でキンドルの販売が開始されたのは1年ほど前だ。

 メディアのニュースを扱うペイドコンテンツ(5月19日付)によると、英国では「ペーパーバックのほうがハードカバーよりたくさん印刷されているので、まだペーパーバックの売上げをキンドルが抜く事態には至っていない」と分析している。


Amazon Hasn’t Yet Reached UK Digital Books Tipping Point
http://paidcontent.co.uk/article/419-amazon-hasnt-yet-reached-uk-digital-books-tipping-point/

 この記事の中に、ボーカー(Bowker)という企業が行った、すべての書籍購入者の中の電子書籍を購入した人の割合をグラフにしたものが入っている。

 これによると、今年1月時点で、英国での割合は3・3%である。ずいぶんと低いんだなと思った。ちなみに、米国では12・7%である。これからドンドン伸びてゆくのかもしれないが、「電子書籍ブーム」と聞くと、いかにももっと多い感じがしていた。こんなものなのだな、と思ったグラフであった。


参考関連記事
 
Not So Fast, Tablets: New Reports Say Long Road Ahead
http://paidcontent.co.uk/article/419-not-so-fast-tablets-new-reports-say-long-road-ahead/

Comparing E-Readers | May 2011
http://paidcontent.org/table/comparing-e-readers-may-2011
by polimediauk | 2011-06-03 01:26 | ネット業界