「世界」の宮前さん逮捕記事、「ガーディアン」の福島記事
この中の1つに、翻訳家・リサーチャーで米国に住む宮前ゆかりさんが、フェニックス空港で「パットダウン」と呼ばれる全身検査(「性器も含め身体全体を過剰に触る」のだという)の利用を拒否したことがきっかけで、性的暴行罪という不当な嫌疑をかけられ、逮捕されたエピソードをつづっている(「権利章典の崩壊 -私はなぜ逮捕されたのか」)。この体験を通じて、宮前さんは米国運輸保安局(TSA)の過剰なパットダウンによって、体につけた医療機器を取り上げられたり、手術の傷を手荒く触られたり、性的いたずらをされたりなど、様々な被害や精神的トラウマを乗客にもたらしていることを知ったという。
詳細は記事をご覧になっていただきたいが、「冤罪の責任を追及し名誉を回復するため」に、宮前さんは法的コストを捻出せざるを得なくなった。
弁護基金サイト www.facebook.com/YukariDefense
関連サイトhttp://causewayllc.com/yukaridefense.html
宮前さんは最近出た、「ウィキリークスの時代」(グレッグ・ミッチェル著、岩波書店)の訳者でもある。
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ガーディアンの土曜日版についてくる雑誌「ガーディアン・ウイークエンド」(9月10日号)に、ジョナサン・ワッツによる「福島 6ヶ月 まだ終わっていない」という長い記事が載っていた。
Fukushima disaster: it's not over yet
http://www.guardian.co.uk/world/2011/sep/09/fukushima-japan-nuclear-disaster-aftermath?INTCMP=SRCH
ワッツはガーディアンの元東京支局長で、今は中国特派員だ。福島の被災地を訪れ、人の気持ちのありようを探った記事だ。長いがあっという間に読める記事で、確かなもの・ことが消えてしまった3.11大震災の後で、それぞれの人が自分で危険度レベルを測定したり、場合によって福島を出て行ったりする様子を描く。
この記事で大きく表れてくるのが、おそらく日本全体でも共有される、政府や自治体そして大企業(東京電力)への強い不信感と将来に対する不安感だ。「誰も本当のことを言ってくれない」あるいは「どれが本当のことなのか、分からない・判断できない」状態の中で、母親、働き手、若者たち一人ひとりが、大きな不安感を抱きながら、生きている。
「静かに朽ちてゆく」状態の福島の状況を見て、ワッツは「放射能汚染については一年前よりは恐れていないが、日本については、もっと心配している」と最後に書いている。