朝日の「Journalism」で電子新聞特集+英「エコノミスト」

何故エコノミストがよく売れているのか、世界のどこで誰に読まれているのか、何故独特の視点を出せるのかなどを自分なりに分析してみた。エコノミストの特別さは実際に読んでみないと、よくは分からないのかもしれないが、できうる限りかみ砕いて書いてみたつもりである。もしご関心があれば、手にとっていただければ幸いである。
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=13295
ところで、12月号の特集は電子新聞。「来た、見た、買った?電子新聞」とある。日経新聞と朝日新聞の電子新聞を担当者が説明した記事に加え、部外者がそれぞれ分析している。自社で出しているものを社外の複数の人に論評させるというのはなかなか、太っ腹だなと思う。
しかし、実際、この「電子新聞」という言葉、自分自身、不思議だなあと思ってきた。まず、どうも意味がよく分からなかった。つまり、紙の新聞があるとすると、これのいわゆるネット版といえばウェブサイトである。英国の新聞の例を見ても分かる。そして、スマートフォンやタブレット型端末だと、それぞれの機器の画面に合わせた仕様になっているーーこれも分かる。これを「電子版」と呼ぶ、というのも理解できる。紙版の紙面構成をほぼそのまま踏襲しているものを「電子新聞」と読んでいるのかなーー?そんな感じとして私はとらえてきた。いやしかし、それ「だけ」ではなく、アーカイブ機能も含めて、ほかにいろいろなことができるようになっているのだろうな(でも一体、どんな?どれだけ役立つのだろう?)。(英国の新聞の場合は、タブレット版で有料購読制を取っているが、これを「電子新聞」としてとくに分類している感じはない。)
日本語の「電子新聞」の定義について、頭が疑問符で一杯になる中、産経新聞の方が12月号にこう書いている。産経は紙版のレイアウトをそのままスマホなどで読めるようにしている。産経の方によると、「『電子新聞』が何を指すかは、社会的にも業界内でもコンセンサスがないのが現状である」。やっぱり、と思うわけである。その上で、産経ではウェブサイトに平行して「発行された紙面の内容を電子的に提供するサービス」を展開している、という。なるほど。
いずれにせよ、今月号を読めば、朝日・日経の電子新聞の狙いと強み・弱みが分かるようになっている。
最後に、編集後記がある。編集長の話として、iPadを使うようになって情報へのアクセスの仕方が変わったと書いている。これまでは、例えばPCの電源を入れて、メールソフトが立ち上がって使えるようになるまで、「じっと待たなければならなかった」と。しかし、いまや、iPadを使えば、スイッチを押して数秒のうちにメールが読める。外出中や寝転がっていても見れるようになった、と書いている。
まさにこれだなあと思う。私も、アイフォーンを買ったときに、本当に新鮮だったことを思い出す。アイパッドは、それにも増して、確かに立ち上がりがびっくりするほど早い。
スマホやタブレット端末のモバイル性やスピードは、情報取得環境を大きく変えてしまう。情報へのアクセスの頻度が変わるばかりか、どうやって情報を取るか、そして何を取得するか(難なく様々なコンテンツにアクセスできるので、ニュース情報だけでなく、本を読んだり娯楽作品を見たりするようになるのが自然であろう)まで変わる。
朝日や日経の「電子新聞」は、過渡期の1つの試みなのだろうと思う。来年の今頃は、果たしてどうなっているだろう?