小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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ホックニーやマッカートニーが夢中なアプリ&ソフトとは?+坂本龍一

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 普通の人(=自分も含め)がインターネットを使って何かを発見したり、楽しんだり、学んだり、消費行動をしているとしたら、世のアーチストたち(=創造性にあふれ、その創造性を使って、さまざまなことをしている人たち)は、さぞや、さらに面白がってインターネットとか、デジタル機器を使っているんだろうなあ、まったく新しい地平線ができているのだろうなあーーそんなことを、最近、考えていた。

 ある英国のアーチストの作品の作り方に衝撃を受けてから、こんなことを考えるようになった。

 それと平行して、BBCのラジオ番組(映画の番組)で、映画監督がデジタル機器を使って、これまでにないほどの低予算で短編映画を作った、と聞いた。ロバート・レッドフォードが始めた、米サンダンス映画祭への出品作品の1つだったと思う。

 次に、その人が言ったのは、「何せ、お金がない」ので、低予算で短編を作った後、宣伝費とかがまったくない。そこでどうしたかというと、使ったのはソーシャルメディアだった。フェイス・ブックなり、ツイッターなりを大いに駆使して、情報を広めたのだという。

 次に出たゲストの人も、同様のことを言っていた。そうか、映画もそんな感じなんだなあと思っていた。

 しかし、最初の大きな衝撃は、英国が誇るアーチスト、デービッド・ホックニーから来た。今、ホックニーは展覧会をロンドンのThe Royal Academy of Artsでやっているのだが(4月まで)、これに出展したのが、とってもきれいな、大胆な色使いの絵の数々(上の図をご覧ください)。そして、なんと、これをアイフォーンやアイパッドだけを使って描いたのだという。

 私はこれにとても驚いた。なんだか、ガーンとした。

展覧会の情報(ぜひこのサイトを開いてみてください)http://www.royalacademy.org.uk/exhibitions/hockney/

 そして、ホックニーがいうところによれば、アプリの「brushes」というのを使ったそうである。こういう話はアート関係の人からすれば、当たり前すぎる話なのだろうけどー。以下がそのアプリの紹介サイト。米国の雑誌のイラストもこれでやっている、という話が聞けるビデオがついている。

http://www.brushesapp.com/

 ホックニーが描くところをテレビで見ていたら、とても簡単そうにやっている。私もやってみようかなと、絵心がまったくないのに思った。しかし、このアプリは有料だったので、ひとまずartstudioという無料アプリを試してみた。以下はその説明のサイト。

http://itunes.apple.com/jp/app/artstudio-lite-o-huikaki-peinto/id395508420?mt=8

 私はこのアプリをアイフォーンで開いて、適当に描いてみた。そしたら、すぐに絵ができたのである。早速、保存した。知らない人が見たら、誰もこれを私がアイフォーンのアプリを使って描いた、それも絵なんか描くのは学校以来ということも知らないだろうな、と。頭の体操にもいいかもしれないと思う。ちょっとしたイラストを手紙とか、メールとか、名刺とかに入れるのも面白いかも。夢は広がるのである。

 今度は音である。音楽はまったく???なのだけれど、そして今のところ試すつもりはないのだけれど、「サンデー・タイムズ」の2月5日付に、ポール・マッカートニーの話が載っていた。彼は新しいアルバムを出したので、いろいろなところでインタビューを受けている。その中で注目したのが、メールとかインターネットとかをほとんどやらないというマッカートニーが、音楽作りでコンピューターを使うことに夢中らしいのだ。

 まず、アップルのマックを使っている。そして、オーケストラの音を作るときに立ち上げる。大きな画面の前で、「とっても簡単」という、Cubaseというソフトを使っているという。これの案内は以下のウェブサイトから。 http://www.steinberg.net/en/shop/cubase.html

 これを使うと、まるで「中毒になったみたい」になって、「何時間も」やっているそうなのだ。ただ、メロディー作りには、今までのやり方、つまり、ギターと鉛筆を使うそうだが。

 ネットはほとんどやらないけど、Cubaseで何時間も時を過ごす・・・かなり、好きなんだと思う、このソフトが。

 最後に、上の2つの話とは直接つながらないのだけれど、前から一度ブログに書き留めておこうと思ったことがあったので。それは坂本龍一さんのこと。「英国ニュースダイジェスト」昨年10月13日号に掲載された独占インタビューでこんな一説があった。

 まず、インターネットを使った音楽や映像の配信サービスについて、「こういうことがあったらいいな」と思う技術があるか?と質問されて、その答えがこうであった。

 「ユーストリーム中継でライブを観る人が、ライブそのものやアーティストに対して働きかけるチャンスを与えられるような仕組みがあればよいなあと思っています。僕は常々、『おひねりを投げる仕組み』って言っていますけど」

「分かりやすい例を挙げれば、コンサートの生中継を行っているアーティストの映像を観ながら、そのアーティストの曲を買うことができるような仕組み。その映像を流している画面にリンクを貼って、CDの販売サイトとかアイチューンズに飛んでもいいのだけれど、そのまま同じ画面で、つまりハードルがもう少し低い状態でおひねりを投げられるといいなと。そういうのを作ってくれともう何年も頼んでもいるんですけど、あまり広がらないですね」

 「ただ技術的には、例えばインターネットの決済サービスであるペイパルを使ってできないこともないはずです。東日本大震災の発生直後には、ニュース映像を観ながら、同じ画面上でクリックすれば寄付できるという仕組みをユーチューブで見かけましたし。それが早く普及するといいですね」。

 ***

 アーチストの側から見た、ネット、あるいはデジタル機器の使い方。なんだか結構面白いと思う。
by polimediauk | 2012-02-15 08:46 | ネット業界