小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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ロンドン五輪① ーお勧めサイト+BBCによるロンドン五輪の放送予定とは

 ロンドン五輪開催まで、あと2週間ちょっと。日本で「盛り上がっているかどうか」とよく聞かれたのだが、街中に行けば英国の国旗があちこちに出ているし、英国内の聖火リレーの様子もよく報道されている。テレビも特集番組が続々ではある。リレーの人気(私も近くに来たら、沿道に並ぶ予定)や、チケットの売れ行きはよい様だし、と。・・・これって、「盛り上がっている」ことになるのかな?

 誰と話すかにもよるだろうけど、「五輪?楽しみだね」っていう人は私の周りにはあまりいないけど、これには、もっと別なことにお金を使ったほうがいいんじゃないかとか、ロンドン市内の交通規制があったりすることで、不便になるからなどの理由があるだろうと思う。

 それでも、緊縮財政やいろいろな悪いニュースがたくさんある中で、自国で開催される五輪大会は明るい話だし、やはり、どことなく誇らしい気持ちも少しはあるのだろう。でも、誰しもが多かれ少なかれ「どっかで失敗する(へまをする)んだろうな」みたいなことを感じているだろうとも思う。

 新聞紙面では、五輪を批判するような記事が多い。いったん開催すれば、紙面は1面からスポーツ面まで、五輪(の賞賛)記事でいっぱいになるのだろうけどー。

 現地のニュースサイトのお勧めとして、

*私が時々書いている、「英国ニュースダイジェスト」のロンドン五輪特設サイト
http://www.news-digest.co.uk/london-olympics/
専用ツイッター・アカウント
@olympics_digest

*および「ジャーニー」

http://www.japanjournals.com/index.php?option=com_wrapper&view=wrapper&Itemid=1
その特集記事:ロンドン「十五輪」物語
http://www.japanjournals.com/index.php?option=com_content&view=article&id=2871%3Aolympic1&catid=72%3Asurvivor&Itemid=103
(この記事はなぜか途中のページに飛んでしまうので、必要に応じて、最初のページに戻ってお読みください。)

をあげておきたい。

***

 先月、「英国ニュースダイジェスト」に、五輪開催中のBBCの放送予定について書いた。以下のアドレスにきれいな表がついて載っているが、

http://www.news-digest.co.uk/news/news/in-depth/9113-london-olympics-tv-schedules.html

 以下は、若干補足した分である。

―すべての協議を生中継

 ロンドンは、7月27日から8月12日まで開催される第30回夏季五輪競技と、同じスポーツ施設を使って、8月29日から9月9日まで開催される第14回夏季パラリンピック競技の主催地となる。

 ロンドンが夏季五輪大会の主催国となるのは、19世紀末に始まった近代オリンピック(ピエール・ド・クーベルタン氏が創設、同氏については「関連キーワード」参照)の開始から数えると、1908年、1948年に続く、3回目。1つの都市が夏季五輪を3回開催するのは、ロンドンが初めてだ。

 そんな名誉ある大会を、「私たちの生涯で最大のスポーツ・イベントだ」と定義するのは、BBCの編集幹部ロジャー・モージー氏である(BBCウェブサイトより)。そこで、「視聴者が一瞬をも見逃さないような、競技報道を行う」と宣言している。具体的には、すべての競技を生中継するという。その放映時間はトータルで2500時間にも及ぶ見込みだ。デジタル時代の技術、メディア環境を使って、視聴者が「いつでも、好きなときに、好きな競技を視聴できるように」するという。

―ストリームや専用アプリも

 BBCの五輪報道の中心になるのは、テレビのチャンネルではまずBBC1だ。このチャンネルは原則として、常時五輪報道を行う。定時のニュース番組がはさまれた場合、補足する形でBBC2が五輪番組を放映する。BBC3も独自の五輪番組を常時放映する。

 BBC1がそのときに扱っていない競技を視聴したり、後で視聴したいときには、デジタル・テレビ用リモコンの「レッド・ボタン」を押し、BBCが設置した五輪専用の24の高品位画質のチャンネルの中から、視聴したい競技を選択する。有料テレビのスカイや、ケーブルテレビのバージン・メディア、あるいはフリービュー、BTビジョンなどの利用者は、こうしてオンデマンド視聴を楽しめる。

 ネットにつながっている、いわゆる「スマート・テレビ」やコンピューターを利用する場合は、BBCのスポーツサイト(bbc.co.uk/sport)が便利だ。サイトは競技の映像をストリーム放送する。生中継の動画は巻き戻しも可能で、競技の最初を見逃してしまった利用者に役に立ちそうだ。スマートフォン及びタブレット向けの専用アプリも用意されている。

 ラジオ好きの人には、五輪開催期間に限って放送される「ラジオ・ファイブ・ライブ・オリンピック・エキストラ」がお勧めだ。

 BBCはまた、「LONDON2012」という特設サイトが立ち上げ、五輪に関わるニュース、スポーツや芸術、地域の情報などを掲載している。開催まで待ちきれない人には、5月19日に始まった聖火リレーの様子を生中継しているウェブサイト(http://www.bbc.co.uk/torchrelay)はどうだろうか。

―パラリンピック放送はチャンネル4で

 夏季五輪後に開催のパラリンピックの放送は民放チャンネル4が担当する。「モア4」などのデジタル・チャンネルやオンライン・サイトを用いて、合計で150時間に上る競技の様子を放送予定だ。パラリンピック用サイト(channel4.com/Paralympics)では、競技の同時ストリーミング放送が視聴できるほか、全選手に関わる情報、パラリンピックで競われるスポーツの情報などを発信する。

 五輪開催中、デジタル時代のさまざまなツールを駆使した、「いつでも、どこでも」の報道を楽しめそうだ。

―関連キーワード:Pierre de Coutertin:ピエール・ド・クーベルタン

 近代オリンピックの創立者、フランスの教育者(1863-1937)。芸術家の貴族の家庭に生まれる。自らもボクシング、フェンシング、乗馬などのスポーツを楽しみ、1887年、スポーツ復興運動を開始。1894年、オリンピック競技大会復活会議を開催。1894年、国際オリンピック委員会の会長に就任。同年、近代リンピックの最初の大会がアテネで開催された。女性の競技参加に反対したため論争を招き、1925年、会長職を辞任。1937年、ジュネーブで死去。「参加することに意義がある」はペンシルバニア司教の講和に感化されたもので、クーベルタンが生み出した言葉ではないが、オリンピックによってスポーツを国際舞台の頂点に押し上げた功績は大きい。
by polimediauk | 2012-07-11 17:15