小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)には面白エピソードが一杯です。本のフェイスブック・ページは:https://www.facebook.com/eikokukobunsho/ 


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無料週刊誌「R25」創刊1周年


「無料」の可能性

 欧州で見られるようなフリーペーパー〈通常の新聞のようなニュース記事が入る日刊紙だが無料)は日本では出ないのか?と思っていたら、雑誌で既に人気が出ているものがあった。

 読売新聞6月22日付けの記事によると、リクルートの無料週刊誌R25がそうなっているそうだ。1つのビジネスモデルとして興味深い。最後の評論家の武田徹さんのコメントも、 様々な示唆を与えてくれる。

 (以下、貼り付け。)

無料週刊誌「R25」創刊1周年
“広く、浅く”入り口提供

 通勤のサラリーマンらが素早く手に取る。ラックに積まれた雑誌がたちまち減っていく――。リクルートの無料週刊誌「R25」が来月、創刊1周年を迎える。無料ながら、有料誌に近い誌面で雑誌界を驚かせた同誌は、首都圏の読者に定着し始めたように見える。

 「R25」は映画で言う「R18指定=18禁」と同様で「25禁」の意味。25歳以上、具体的には25~34歳の男性を主なターゲットに創刊された。毎週木曜に発行され、首都圏1都3県のターミナル駅やコンビニ、書店など約4500ポイントで配布されている。

 当初50万部でスタートし、昨年9月以降は60万部を維持している。実売率ならぬ“捌(は)け率”は100%近い。実はトップクラスの有料週刊誌並みの部数なのである。この春には新卒者向けに「R22」、さらに今週、ボーナス商戦をにらんだ「+(ボーナス)R25」という特別号も発行している。

 編集長の藤井大輔さん(32)は自らと同じ世代の男性について、「既存メディアとの接点が薄いと言われるし、わが社の情報誌からも離れる傾向があった。それを再び引き戻すのが創刊の目的」と説明する。ただし関心を持てば、情報を検索する能力は高い世代でもある。そこで「興味の入り口、社会の入り口、活字の入り口になるような編集を心がけてきた」という。

 例えば毎号25本掲載されるコラム。幅広い話題やニュースを扱い、“そもそもの話”から説き起こしつつ、すっと読ませる。ライターの技能は高い。デザインの統一感も目をひく。原則48ページと厚さはないけれど、有料誌に引けを取らない誌面と言ってよい。

 フリーペーパーの団体、日本生活情報紙協会がまとめた「全国フリーペーパーガイド2003改訂版」によると、1156紙誌が発行され、総発行部数は2億2000万部を上回る。ただし同協会が「女性密着、地域密着、暮らし密着」を掲げる通り、無料紙誌は地域情報、生活情報に強い。近年は編集ページに力を入れる媒体も増えたが、「R25」は基本的に全国ベースの記事・広告を載せている点で、とりわけ有料誌とよく似ている。

 むろん販売収入でなく、すべて広告収入で発行されている点はまったく異なる。記事と広告の関係についても、誌面上は「読者が欲しい情報であることに変わりはない。いかに楽しんでもらえる形に加工するかを、むしろ考えている」(藤井さん)。だが記事と広告を連動させる誌面作りは、ファッション雑誌などでは普通に行われてきた。

 ただし「R25」として、有料誌と競合するつもりはないのだという。書評誌「ダ・ヴィンチ」編集部も経験している藤井さんは「有料誌は味付けを濃くし、コアな読者をつかもうとしている。うちの雑誌は“広く、浅く”。それを入り口に、もっと活字の世界に入って欲しいという気持ちが強い」と語る。「R25」の定着は、有料誌が対価に見合う情報を、優れた編集技術で提供できるかどうかを問い直しているのかもしれない。

 メディア論に詳しい評論家の武田徹さんの話「ネットの普及で『情報はタダ』という価値観が広まってきた。大学生たちと付き合っていると、出版物は相対的に高いと感じているようで、実用誌以外はあまり買わない。だが彼らは情報の信頼性に対するクールな目を備えている。有料誌はそれにこたえる方向性を求められているのではないか」

by polimediauk | 2005-06-24 14:14 | 新聞業界